竜魔王ゾール③
「終わった・・・今回も終わった。帰ろう」
勇者バルデウスらしき人はそういうと城の外に出て行った。
なんだか一瞬の出来事ではあったけど、ものすごい殺戮ショーを見せられた気がする。
しかも一方的な大虐殺。
相手が魔族とは言えちょっと引くレベルだった。
「あの・・・ガザエル?号泣中悪いんだけど・・・今のって・・・何?」
「勇者だ!にっくき勇者だ!あいつ毎年毎年来やがって・・・」
勇者・・・っぽいのは見ればわかる。
でも聞きたいのはそこじゃなくて、この殺戮ショーは一体何なのか?
「アレクこの状況っていったい・・・?」
「感動した。感動したよ。かっこよかった。とにかくかっこよかった。やっぱり勇者っていいよな。あの名シーンも見れたし世界の半分を断るんだぜ!」
こいつはこいつで涙を流しながら感動中で話にならなかった。
とりあえず2人が落ち着くまで待つかと思ったその時、竜魔王が立ち上がった。
!!!!
どういうこと?
さっき倒されたはずなのに?
戦闘態勢に入る。
私ごときの戦闘力で何とかなるとは思えないけどやれるだけのことはやるしかない。
アレクが剣を構え前に出る。
「俺も一撃で倒す!!」
無理無理あんたそんなに強くないじゃない。
呪文を唱える体制に入る。
次の瞬間、アレクの剣と私の杖が弾き飛ばされた。
「まて・・・戦うつもりはない・・・もう戦いにはつかれてるんだ」
竜魔王ががっくりと肩を落とす。
「そうだぞ。お前らこれ以上竜魔王様に負担をかけんじゃねぇよ」
なになに?戦わない?戦いにつかれた?
「何を言っているのよ!竜魔王と言えば残虐非道!非道中の非道!戦いを好み常に血に飢えている鬼畜野郎!そう教科書には載っていたわ」
「人間の教科書はろくなことが書いてないな。まあかつてはそんな側面もあったのも確かだけど」
ガザエルに軽く嘆かれた。
「疲れたんじゃよ。完全に疲れた。なんせこの50年毎年のように勇者がやってきて戦いを挑んでくる。倒されても倒されても、また倒しに来る。死んでは蘇り死んでは蘇り、魔族は完全に死ぬことはないが倒されて苦しくないわけではない。毎年この苦痛がやってくる。しかも年々勇者は強くなっていき、もはや全く歯が立たない化け物になってしまった。しかも徐々にここに来るサイクルも早くなっている。もうやめたいんだ。というかやめてほしいんだ勇者に、一切人に危害を加えないからもうやめてほしいんだ。お前何とかしてくれないか?」
しょぼくれた竜魔王に懇願されて困惑する。
「竜魔王様ぁぁぁあ・・・」
それを聞きながらガザエルはまた号泣しだした。




