ため息と新たなる任務
「待っていたぞ!よく来てくれた勇者リオーネ」
あれが国王
威厳があるような無いような、煌びやかな服を着ただけの普通のじいさんにも見える。
「国王!ご報告があります」
ムキムキ隊長がこれまでの経緯を説明する。
「はぁ・・・」
国王が深い溜息をつく。
「あいつ・・・まだやっているのか・・・」
頭を抱えうなだれる。
「勇者リオーナよ勇者として今からドクマに行ってくれぬか?」
ドクマ?かつて竜魔王が居城を構えていた大陸。
今も人が近づかない、魔のエリア。
「いやいやいや無理です無理です無理です」
「勇者リオーナよ勇者として今からドクマに行ってくれぬか?」
んっ?今ちゃんと拒否したよね。
「申し訳ございません無理です」
「勇者リオーナよ勇者として今からドクマに行ってくれぬか?」
んー?
「アレクなんとか言って何も伝わらない!」
アレクに助けを求める。
「お任せください!この勇者アレク今すぐ行きます!」
おいおいおいおい何を行ってやがるこのクソ野郎。
「無理です私たちでは荷が重いです」
しっかりと断る。
「おお!そうか行ってくれるか勇者よ。頼んだぞ!」
私の言葉が届かない。
王様はずいぶんお年のようだしボケてるのかしら?
「いえあの王様・・・無理・・なんですけど」
「ドクマに行くにあたって案内人をつけよう!ガザエル!ガザエルはいるか?」
兵士が駆け寄り跪いた。
「ご報告いたします。ガザエル様はこちらにはおられません」
「どこに行った?」
「西のガンナップ国へ行かれたのかと思われます」
「何っ?なんでじゃ?」
「漁業の視察だと言っておられました」
「全く大事な時に!」
「勇者リオーナ、ガンナップへ行ってガザエルを連れ戻してはくれぬか?」
ここに私の選択肢はあるんだろうか?断ってもどうせまた私の言葉は届く気がしないし竜魔王がいるドクマへ行くよりはよっぽど安全そうだし引き受けることにした。
「でもガザエルって人がどんな人か知らないんですけど?」
「それは心配ないお前らの教科書にも載っている有名人だすぐに分かる」
ふーん教科書になるような有名人、名前はガザエル、そんな人いたかな?学校で習ったたことを思い返す。
ガザエル、ガザエル、ガザエル・・・!!!
「竜魔王四天王!!」
「おおそうじや、そうじゃその四天王が1人紫電王ガザエル、あいつならドクマの案内も問題ないじゃろ」
いやいやいや無理無理だって竜魔王の手下よ!
そもそも勇者に殺されたかと思っていたのに生きていたの?
「むむむむむむ無理です」
本気で無理、だって魔王軍の四天王って人類の敵じゃない。
しかも超恐ろしい。
「お任せください。すぐに行ってまいります」
アレクが安請け合いをする。
「うむ頼んだぞ」
「ちょっとちょっと状況わかってる?竜魔王四天王よ?」
「大丈夫大丈夫、四天王なら何回も闘ってるし大丈夫だろ!さあ行こう」