言い争いと失礼と
スエンの村に行くには大きな森を抜けなければいけない。
森か・・・虫とかいっぱい出そうで嫌なんだけど森を抜けないとスエンにはいけないのでしぶしぶ森へ行く。
それにしてもここに来るまでも魔物らしい魔物にも合わないぐらい平和なのにゾール復活の兆しってなんなのかしらなんか無駄な旅をさせられている気がしてならない。
うっそうとした森の中を虫におびえながら歩くこと3時間、森を抜けたに。
森を抜けるとすぐに村が見える。
村の入り口で何か言い争っている人がいた。
1人は結構な老人完全に髪の毛がなくなった頭と真っ白な長いヒゲ、知らない老人だ。
そして言い争いの相手は・・・知ってる人。
アレクだ。
アレクが言い争っている。
「だから氷の羽衣が必要だって言ってるでしょうよ」
「よそ者に売ってやるものはないんじゃよ」
「世界を救うには氷の羽衣がないとダメなんだけど」
「世界がどうかは知らんが無いものはない」
「なんでないんだよ」
「氷の羽衣の材料になる青の鉱石がないんじゃよ」
「取りに行けばいいじゃん」
「鉱石が取れるのはこの辺だと森の中の洞窟だけなんじゃが今は水の精霊が荒ぶっていて危険じゃから取りに行けん。だから羽衣は作れないし、よそ者に売る分なんて到底ないんじゃ」
「じゃあいつ精霊の荒ぶりは収まるんだよ」
「それはわからん。明日かもしれないし来年かもしれないし100年後かもしれん」
「そんなには待てん!もういい。俺が青の鉱石を採ってくる!」
「だめじゃ許可できん!危険じゃ!」
「関係ない!羽衣がないと先に進めないんだ!」
「知らん危ないから許可はできん!」
「もう許可なんか要らない!俺は行く!鉱石取ってくるから氷の羽衣ちゃんと作れよな!あと精霊おさめて水龍の矢取ってくるから村にある水龍の弓もよこせよな!」
そう言うとアレクは走り去っていった。
無茶苦茶だ。
だめだって言われてるのに、しかもなんかよこせって言ってた。
失礼極まりない。
「あの・・・彼はどこに?」
恐る恐る老人に聞いてみる、
「なんじゃ?あんた、あいつの知り合いか?」
「いえ違います。ちょっと気になっただけです」
とても知り合いだとは言えないし言いたくない。
「森の西側にある洞窟に行ったんじゃ水の精霊が荒ぶっているから危険じゃというのに、死んでも本当に知らんぞ」
老人はぷりぷり怒っている。
危険かーじゃあ行きたくないなーと思ってはみたものの言わなきゃいけない文句はあるし、見捨てたとなると化けて出そうだし、何より寝覚めが悪い。
洞窟へ向かうことにした。