鍛冶屋のやる気
町を歩き回り情報収集する。
どうやら鍛冶屋は今酒場で酒を飲んでいるらしい。
昼間からいい身分だ。
酒場にいくとずんぐりとしたおっさんがカウンターで酒を飲んでいた。
多分あれが鍛冶屋だろう
「あのすいません。鍛冶屋の主人ですか?」
「んー?鍛冶屋〜?鍛冶屋かと言われれば確かに鍛冶屋だけどよーもーすることないんだよ〜鍛冶屋は廃業なんだよ」
本気の酔っ払いだ。
なんの役にもたちそうにない。
「こんなんだけど、どうするの?」
「良いの良いのこれで、どうして廃業なんだよ」
「モーやりたくないんだやりたくないんだ」
「違う違うやりたいけど材料が無いんだろ!やる気はあるだろ?」
「鉄は倉庫に腐るほどあるんだ。特別な剣を作る火山の石も余ってる・・・」
「いやいや取りに行くから!取りに行くんだよ!そしてその材料でこの錆びてボロボロの剣を鍛え直すだろ!新しい素材を見つけては鍛えなおし新しい素材を見つけては鍛えなおしそれを繰り返して勇者の剣育てるだろ!」
アレクが涙ながらに鍛冶屋に訴えている。
本人がやる気がないと言っているのだからあきらめて他をあたるか新品の剣を買ったら良いと思うんだけど
「なーに言ってるんだ?もう俺は剣を作らないんだ」
そういうと鍛冶屋は酔いつぶれて寝てしまった。
「どうすんの?寝ちゃったわよ!」
アレクが何か考え込んでいる。
「・・・作るか」
「ん?何を?」
「もう鍛冶屋の主人は頼らない自分で作る」
鍛冶屋に移動する。
「出来るの?作ったことはあるの?」
「無い!見たことはあるから多分できる!」
「・・・」
絶対に無理だと思う。
やるって言うなら気に済むようにしたら良いけど・・・。
「確か鉄を溶かして・・・」
カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!カン!
鉄を打つ音
「よーし!出来たー!」
アレクが剣を掲げる。
ボロボロだった剣が更に不恰好な剣になった。
「うーん鞘にも収まらなくなった」
全然出来てない。
なんでやろうと思ったんだろうか。
「何やってんだお前ら?」
鍛冶屋の主人が起きてきた。
「下手くそだなこういうのはだな」
カン!カン!カン!カン!カン!カン!
「こーんな感じでやんだよ」
鍛冶屋の主人が剣を叩くとなんとなく剣っぽい形に戻った。
「良かったー何とかなったー」
お前がなんとかしたわけじゃない
と思ったけどあえて言うのはやめた。
ボロボロの剣は鋼の剣になった。