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9.冒険者仲間

 その後、センシアのある程度の戦闘能力を確認したところでアルスは実戦することに決めた。

 別に予定が入っているわけではないし、アルスはエルディスとセンシア冒険者ギルドへと向かった。

 冒険者ギルド、その大半の任務は魔物にまつわるものが占め、探索や採取系の任務であろうとその全てに魔物の危険性があると注意書きがされている。


「やる任務は魔物の討伐か?」


「あぁ、そうだ。それが一番、金になるからな」


「ほぉ、それと同時に危険性が高いのじゃろ」


「ご名答……まぁ、俺のレベルなら問題ないが……」


 そんな会話をしているアルス、それに対してエルディスは周りの冒険者の目が気になる。

 まぁ、一人の成人を迎えた青年とその青年より半分以上年下の少女を二人連れている時点でおかしいのだが、エルディスはそれだけじゃないだろうと推測する。

 ノエ達に着替えさせられたエルディスとセンシアは誰が見ても貴族の令嬢であり、それならば男の方も貴族の奴だろう。

 それにアルスは良い意味でも悪い意味でもこの国の冒険者ギルドでは有名な話だ。


「おい、あいつって一匹狼の――」


「そうそう、ヤバすぎるだって――」


「奇抜で変態で異端で――」


「じゃあ、あれも普通ってこと?――」


 酷い言われようだが、アルスが微妙な表情をしていることから全てが真実ではなく、憶測によって彼の噂は構成されているようだ。

 まぁ、しかし女を侍らせている男なんて珍しいようで珍しくはない。

 そこに行きつく過程は資金が豊富で、性欲に正直というか、自慢と自己顕示欲が大半以上を占める奴が取る行動だ。

 まぁ、それが悪いわけではない。

 人として自慢する気持ち、自己顕示欲というものが少なからずなければいけない要素だからだ。


「はぁ~」


 と、アルスは少しの間でまたしても噂が拡大していることに飽き飽きしてため息を溢す。

 噂というものはその成り立ちから正確な事実からかけ離れていることが多い、だから事実を知りたければ、本人に聞くしかない。

それでも打ち明けた本人の事実を受け入れる者も噂が記憶に定着したせいで簡単には信じ切れないだろう。

 客観的には幼い少女を侍らした男の事実は、戦力として才能溢れる二人の少女を引き取った、いや奴隷として買い取ったのだ、と事実を述べても良い内容ではない。


 そんなことを考えているとアルスに一人の男が近づき、話しかけた。


「やぁ、アルス!!」


「ッ――」


 その爽やかすぎる声色を向けられて、アルスはゲッとした実に分かりやすい嫌な顔をしながら、横に振り向く。

 それは赤髪のアルスとは違い、上品な金髪の青年。

 エルディスから見ると二人の年齢は対して差はなく、同じ歳だろうか。アルスの反応からアルスにとっては嫌なものなのだろうが、完全に毛嫌いしているわけではない。


「グレン……この時間にギルドにいるなんて仕事熱心だな」


「あぁ、そうだな。アルスも復帰か?」


「あぁ、まぁ、そうだ」


「なら、俺といつも通り、魔物討伐いかないか?」


 何も策はない、ただ純粋な提案だ。

 だが、そんな純粋であろうと悪意があった方がマシな行動をする。所謂、天然な性格だが、その性格がアルスとの相性が最悪なのだ。

 アルスからすれば、嫌な奴に他ならない。

 その一つの要因として金髪の青年グレンはアルスと同じく貴族であるが、アレフリードとは違い、貴族としての地位は高く、そのためか、成人して二人の許嫁を貰ったのだ。

 一人は桃色の長髪のゾフィアと短い銀髪のリウレという二人の少女を連れている。歳は当たり前だがエルディスとセンシアのような十歳ほどの少女ではなく、成人したか、手前の少女だ。

 その二人も貴族であるが、貴族という裕福で安定した地位にいるはずなのに進んで冒険者稼業をやるなんて、ぶっちゃけ変わっている。

 まぁ、アルスには家が没落しそうだから、という理由があるが、グレンの家であるヘリスデンベル家はアレフリード家より裕福であり、グレンには冒険者になる必要性はないが、彼の性格から経験をしておきたいのか、初めから冒険者という職業に憧れを抱いていたのだろう。


「……なんだ、嫌味か?」


 と、いつの間にか悪態が自分の口から零れていた。


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