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8.卓越した二人

 魔力から生み出される光、それは魔力を凝縮した高密度の魔力の塊。命の次に重要とされる魔力、それを集めることで光が灯り、熱を生み出す。

 それは魔力を炎に転じるような魔法ではなく、単純な魔力による攻撃方法。魔法の展開には魔法陣が必要になるが、魔力の攻撃について魔法陣は必要ない、即ち魔力による攻撃速度は魔法を凌ぐ。


 それは、魔力感知は出来ても、それを防ぐ時間がない。

 なぜなら、その速度は音と同じ科、それを凌ぐからだ。

 だが、アルスはそれを真っ向から打ち砕くためにエルディスが定めた地点に槍の穂先を突き付ける。

 その槍に魔法強化は必然、後はアルスの技量で切り抜ける。

 他の種族よりエルフは魔力を知覚する力が高く、大気の魔力が視覚的、色付きで見えるらしい。

 そして魔力は世界に満ちる要素であり、これは酸素とは違い、魔力自体なくても人には害を及ぼさないが、世界には必要な要素だ。


「硬いな……流石に――」


 今のままではエルディスが放った魔力の弾は砕くことは出来ないが、アルスは削ることを諦め、自分の力にするために魔力操作を行う。

 エルディスの魔力操作は卓越している。

 それによって構成された高密度の魔力弾を触れている剣先から弾という形を身長に解く。

 これは火薬と同じであり、暴発する可能性も考えられる。そもそも、これが爆発物なら導線に火がついている状態だ。

 ミスをすれば、固められた魔力が拡散する。


「ぐぅ……」


 慎重に、慎重に、解く、解く、解く、解く。

 こちらに向かってくる動きを受け止めながら、弾の状態を保ち、魔力の外郭を崩し、中身を徐々に抜いていく。

 ただ解体しているわけじゃない、この仕組みを学習する。

 ノエ達とは違う魔力の運用、魔力操作だけで初級魔法レベルの単純な構造でありながら、上級魔法レベルの難易度の魔力の弾、魔弾。

 正にこれを成す者は天才に分類される。

 ノエ達より倍の時間を生き、エルフの中でも希少な自然の色を有している個体。存在自他の性能、その潜在能力は約束されている。

 逆にこれほどの才能を持っているから、これを成せるのだろう。


「くふ……まさに――」


 アルスは笑う。

 単純にこの状況が、面白いと感じた。


 そして――


「まさかの大当たりを引いたんだな――」


 そして力を込める。

 魔弾の構造を知り、その仕組みを自分の身体強化へと活用する。

 魔力による外郭、そこに内容を詰め込む。物体と同じく内包する量が多ければ、性能は発揮され、だが、大体の魔法でも魔力を詰め込みすぎると放つ前に魔法陣が砕け、魔法が破綻する。


 しかしそれは卓越した魔力操作、更に魔力を見て、その構造を正確に理解することで成すことができる。

 それは物の収納と同じで、向きや配置でその一つの空間に入る量が異なると同じように……。


 ゴリッと槍がエルディスの放った魔弾を貫き、霧散させる。


「ふッ――――」


 アルスの表情は不気味な笑みを浮かべていた。

 それは面白いと感じ、夢中になっている時のものだが、不気味で悪人面なのは無意識的なものであり、アルスにとっては不本意だ。

 彼もまた天才の部類だからこそ、新たな知識に今までにないくらいの感情の高ぶりを感じているのだ。


「まだまだッ!!」


 エルディスもまだ戦う気はあるようだ。

 実のところアルスとエルディス、お互いが負けず嫌いであり、だからこそお互いが納得するまでこの戦いは終わらないだろう。


 バリッと空間が裂ける。

 それは光を伴って衝撃を生む、雷――アルスはそれを纏いながら、音速を凌ぐ素早さで空気、芝生、魔力を焼き、エルディスに迫る。


「嘘ッ」


 エルディスの本音が零れた。

 正直、今のアルスの動きには目で追えなかった。が、近づいてきたという意思から受けに徹する。

 横目に槍、正面に見えないことからアルスは背後を取ったことを理解し、腕を動かす。


「――いや、もういい。これは殺し合いじゃない、模擬戦闘と言っただろう」


 そう、槍はエルディスに触れる手前で止まっていた。


「ぅはぁ~……」


 一気にエルディスの中から緊張が抜ける。

 アルスの言葉がなければ、本気の殺し合いのつもりでいた

 それだけお互いが夢中になれるほどの相手だったのだろう。


「で、次はセンシアだが……センシアはどこまでできる?」


「え……………………身体を、動かすこと、くらい、です」


 その反応からセンシアの戦闘能力は獣人の子供並であることをアルスは理解した。


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