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7.模擬戦闘

 昼食を終え、さっそく庭でアルスはエルディスとセンシアの能力を見定めることを始める。

 魔法に長けたエルフ、身体能力が優れている獣人という今、思えば千六としてバランスが良いものになっている。


「さて、まずは魔法に関してだが……」


「ちょっと待つのじゃ。そもそもお主は何ができる?」


「ん、何でもとはいかないが……あぁ、じゃあ、強さの証明として手っ取り早いのが一対一の勝負だな。よし、そうしよう」


 許可は取らないし、あらゆる案の中でもわかりやすい方法を彼は好む。

 それに関してエルディスは何も反論することはなく、距離を開けてアルスとエルディスは対面する。


「模擬戦闘だ……いいな?」


 アルスは虚空から槍を顕現させる。

 この時点でアルス・アレフリードは魔力で武器を生成するという卓越した魔力操作の才能を有している。

 それはエルフでも難易度は高いもので、その武器の強度はそれを作り出した者の技能に左右される。

 その武器の内部構造に隙間があれば、通常の武器にも劣るが、魔力で完璧な構築を成せば、鉱石を叩き、最高の武器を作った以上の性能を発揮するだろう。


「わかっておる。だが、手加減はせんッ」


 そう言い、エルディスは格闘家のように腰を低くし、左の掌を突き出して右手を引いた体勢を取った。

 それはアルスがイメージしていた魔法を使う者たちの戦法とは全く違っていた。

 それをノエ、エル、ルアの三人は仕事をしながら、窓の外で行われようとしている戦闘に興味津々だった。


「ッ――」


 戦いの口火を切ったのはエルディス。

 十歳ほどの少女が駆けるその速度は異常であり、もう既に魔法によって身体強化を施していたのだ。


「ふッ」


 その速度に最初は戸惑ったが、すぐに集中力を高めてタイミングを合わせて槍を薙ぎ払う。

 それを予想していたのか、アルスの攻撃を見て、回避したのか、エルディスは地面を蹴り、アルス以上の高さまで飛ぶ。

 アルスは目でエルディスを追いかけ、真上を向いたところで二人は目が合う。

 その手足には小さな魔法陣が展開されている。

 遠目からは見えないほど、小規模でありながらも、性能は高い、自分より倍の体躯の相手であろうと勝利できるほどの身体能力を発揮できる魔法技術。

 それに杖で遠距離から攻撃かと思ったら、エルディスの戦い方はその真逆だ。


「――【模倣】、魔法技術」


 そして生まれながらにしてアルスに宿る能力を解放する。

 それは【模倣】……目の前で起きた事柄を知覚することで自分のものとする力。

 しかしそれは等価なものではなく、基本的に劣化である。魔法によって身体強化を行う技術を【模倣】したとして、アルスが得られるものは魔法による身体強化のやり方、つまり彼が【模倣】できるのは目に見たような表面上のものであり、後のことはアルスの技能や経験によって力が左右される。


 この世界の人間は全員ではないが、稀に生まれながらして『能力』を所持している者がいる。

 アルス・アレフリードもその一人であり、この【模倣】は今まで前例のない新たな能力である。

 その種類は様々で、能力を自覚し、使いこなせば、人類の中でも最強と呼べる存在となれることは【模倣】のように努力が必須など、概要では能力所持者は選ばれた者だろうが、所持する人によって能力の真価が発揮されるかどうかも分かれる。


 ガンッと魔法で強化したエルディスの拳を槍で止める。

 更に接触と同時に炎がアルスを包み込んだ。


「ぐッ!!」


 だが、アルスの槍はエルディスを勢いよく押し、距離を取る。


「ふぅ~、急な炎にはビックリしたわ」


 通常の拳の威力に上乗せの炎という殺す気まんまんのようだが、幼い頃から魔法に関してはエルフによって英才教育を受けていたため、魔力操作に関してはお手の物、反射神経と同時に全身に魔法によって身体を保護したのだ。


「では、レベルを上げるぞ」


 やはり、さっきの初撃はエルディスにとっての手加減のようだ。

 その瞬間、エルディスの身体から魔力が溢れ、小さな拳に光が灯る。


「ライトブロウ――」


 そして右手を突き出すと魔力を凝縮したもの、光となった魔力がアルスに迫った。


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