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5.奴隷契約

 エルフと獣人の希少種。

 たしかに通常個体より珍しいものだが、奴隷対象の知識を持っている奴隷商会を以ってしても正確な価値を見出すことは出来ていない。

 そんなことを知ったのは値段が二人合わせて金貨四〇〇万だったことだ。

 それを金の延べ棒を八本で支払った。


 そして手続きが始まる。


「では、奴隷商会のご利用は初めてだと思いますので、支払い以外の手続きの説明を行います」


 買い取った奴隷二人とともにベルベによってアルスとノエは奥へと連れていかれた。

 奴隷商会に関連するものの中で代名詞と呼べるものは奴隷売買の次に奴隷契約という魔法を開発した起源だろう。


「では、手を前に……」


 ベルベは奥からスクロールを取り出す。

 あれは魔法が記されたもので魔力を流すか、魔力の炎で燃やすことで使用できる簡易的な魔法使用方法だ。

 それをまずアルスとエルフの間で燃やす。

すると手に熱が灯り、内部から赤い光が漏れて、エルフの少女の首枷に魔法的効果が齎される。

 奴隷契約。

 それは両者の関係を契約者と奴隷というものとする魔法。契約者と奴隷には契約者の血液と魔力による繋がりによって契約者の不満をした場合に罰として呪いじみたものが発動する仕組みとなっている。

 起源として奴隷売買という商売を円滑に進めるために捕獲魔法から派生したもので、売買した後の事後を防止し、評判を良くするために奴隷契約に辿り着いた。


 そして順調にエルフと獣人との奴隷契約が済んだところで奴隷商会を後にする。


「ふぅ~、衝動買いに近かったな」


「ふふ、それでも良いことでは?」


 そんなことを話しながら、買った二人の少女を見る。

 エルフの少女はムスっとした不満そうな顔、獣人の少女は不思議とした顔をしている。


「さて、ノエ、頼むよ」


「はい、よいしょ」


 アルスの命令によってノエは転移魔法を発動した。


 そして一瞬にしてアレフリード家の屋敷、その庭にいた。

 流石、エルフのノエ、正確な魔法の技能で魔力の波すら起こさず、転移を成功させた。


「さて、まずは君たちの名前を聞いておこうかな?」


 アルスはエルフの少女を見る。


「わ、我は……エルディスじゃ」


 うん、と頷いて次に獣人の少女を見る。


「せ、センは、センシア」


「エルディスにセンシア、これからよろしくな。まずはノエ、身なりを整えてくれ」


「はい。お任せください。それでは二人共、こちらに。契約者であるアルス様の詳細について並列してご説明しますので――」


 新たな仲間、更に子供だからか、ノエは嬉しそうに二人を促し、屋敷内へと入る。

 身なりの整え、ノエ、エル、ルアの三人によって即座に身体の洗浄、二人に似合う服装を見繕う。

 その間、アルスは自室で今後のことを考える。

 たまたまエルフと獣人の希少種を手に入れたことで戦力になる可能性はある。

 まぁ、打ち解けるには時間が必要なため、まずはハッキリと自分たちの用途を伝える方がいいだろうと決めたことで仕事が速いノエ達によって奴隷から見違えたエルディスとセンシアが自室に入ってきた。


「アルス様、完了しました。洗浄は完璧に、服装は髪色に合わせたドレスにしました」


 明らかにいつも以上に声が高い。

 だが、アルスにもそれは聞き覚えがある。まぁ、今はなくなったが、小さい頃、服装選びに関しては……。

 多分、着せ替えか、可愛い存在には可愛い服装という女性特有の感性だろう。


「ありがとう。流石だ、ノエ」


「ありがたきお言葉、ありがとうございます」


「話しの後に一緒に昼食を取りたい」


「はい。既に想定して準備しております」


 流石、察しが良い。

 長年の経験からメイドの中でも優秀過ぎることが自分の家の使用人であることをアルスは再確認して二人を見る。


「さて、ノエから紹介があっただろうが、改めて初めまして、俺はアルス・アレフリードだ――俺は君達を買ったわけはただ一つ、君達の才能を十分に発揮させて俺の戦力にすること、俺はこの家のために魔物討伐を主に行っているんだが、わけあって自分で戦力を整えた、つまり君達には魔物と戦って十分な戦力になることを俺は望んでいる」


 そうはっきりと言った。

 奴隷を買う理由は様々だが、アルスの今のところの仕事である魔物退治に投資することにした。


「まぁ、こう言ってもまだピンとこないだろうが、俺は子供の頃に言った理想、王様になりたいなんてことは思わないが、それと同等の大きな偉業を成したい。かつてのアルド・アレフリードのように」


 それが今のところの彼の理想。

 まずは嫁より、大きな偉業を成すことを打ち明けた。


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