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17.明かされる心

 アルスは素早くに身体を洗い、二つの内、一つのベッドにドサッと横たわる。


「はぁ~……久々だからか、エルディスのせいか、随分と疲れが……」


「ふふん、なら我が癒してやろう」


 いつの間にかアルスが寝ているベッドへと上がり、顔を近づけてくる。

 この年齢でと思ったが、エルディスはエルフであるため、見た目より数倍、数十倍の時を生きているため、エルディスは子供ではなく、大人であることをアルスは再認識する。


「それが疲れを溜めているんだ。今はそんな雰囲気には……」


 そんなことを口にしていると隣から何か聞こえてきた。


「あぁん、あぁん、グレン様ぁ」


 壁が薄い、まぁアレフリード家のように魔法にてあらゆる対策を施している建物が全てではない。

 このそれを行う技術も、それを行う費用もかかるため、物理的な隔てで我慢してもらおうということだろうか。

 そもそもここに止まる客はそうゆうことを目的としているのか。

 この部屋、ベッドの配置が左の部屋、グレンが泊っている部屋と同じ配置ならば、向こうのベッドはこちら側にある。


 いや、それだけじゃない……。


「まさか、既成事実ってやつか? 奴隷の分際で、と言いたいところだが、安易すぎないか、それとも本当に俺のことを好意的に思ってくれるなら、そこに至るまではまだ早すぎる」


「ほほう、変りなく冷静な判断じゃの」


「俺は別にその欲求がないってわけじゃないか、制することができないけだものじゃないし、お前達はそんなことのために買ったわけじゃない。それに買った初日でこんなことってどうゆうことだよ」


 そう言い捨て、エルディスからそっぽを向く。


「でも、向こうはお楽しみじゃぞ?」


「……おい、その魔法を止めろ。眠れないだろ」


「エルディス、向こうから聞こえる声は?」


 センシアは純粋無垢な眼でエルディスに問い掛ける。


「ふふん、あやつらがやっていることは?」


「おいッ、エルディス!! なんのつもりだ……これ以上、訳の分からないことをするなら、奴隷契約に基づいて強制命令をするぞ」


 それは奴隷契約の一機能。

 主と奴隷、その立場を表す魔法技術であり、その表しである主から奴隷への一方的な権限にして強制命令。

 それを下された奴隷である者は否が応でも命令に従うことになる。自分が奴隷であることを自覚する、自分の手足は勝手に動き、命令通りに事を成し遂げる。

 その内容がどんなものであろうと……。


「ふふん、それが良いのじゃ」


「ッ……お前」


 エルディスは子供じゃない、長寿とされるエルフの中でも長生きの部類に入る存在、アルスでも圧倒的な年上。

 だからこそ、今日、自分とセンシアを買った男、アルス・アレフリードに主と奴隷という立場を逆に分からせよとしている。

 彼女は奴隷を止めるなんてことはない、だが相方であるセンシアの状況でそれは変わるだろう。

 しかし自分達を買った男は下衆ではなく、良い人物だからこそ、主と奴隷の関係性を分からせる必要がある。

 彼が自分達を買った目的は戦力のため、だがそれでも彼の腹の内が読めない。

 だが、一つ気付いたことがある。

 奴は見た目にはこだわらないのか、それとも子供でも戦わせる非情の持ち主……なんてことはないため、分かるとするならば――


「主様はなぜ、我とセンシアを買ったのじゃ?」


「ッ――」


 それはこの状況になった核心を突くものだ。


「そ、それは……気になった、から……」


「ふふん、それだけかの? それだけでか弱い女子おなご二人を戦闘要員として?」


「……それはそうだが……」


「まぁ、仕方がない。主よ、いや、今はこの関係性はない――」


 長年の経験からか、緑髪のエルフの少女エルディスはアルスの顔を強引に正面に動かし、自身も更に顔を近づける。


「――貴様は我とセンシアのような女子おなご、幼女が好みだからじゃ」


 その瞬間、心に強い衝撃を受けた。


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