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第6話

 時間は少し巻き戻る


「ミーシャ・・・」

「「お姉ちゃん!」」

「グスン、グスン、皆・・・」


 ミーシャを連れて来た人族は、裏組織の人間である。


 一人の人族の男が周りの獣人族に声を掛ける。

「あれ、ガオスさんは?」

「ヘイ、今、野暮用で、席を外してます」


「困りましたネ。契約の履行を見届けて頂かないと、それに、赤い精霊様にも会いたい」


 ・・・


「これはヨドムの親分、すみません。野暮用がありまして」


「グシシシ、ガオスさん。折角、来たのだから、精霊様にお目通りをお願いしたいのですネ・・」


「ヘイ、気まぐれなお方で、3日前に、東の方向に向かって旅立ちました。それで・・あの、もう、胡椒は召喚できないのですが・・すみませんね」


「グシシ、構いませんよ。精霊様は気まぐれですからね。東は海ですね・・・ってなりませんよ。ガオスさん。護衛は付けたのですか?」


「・・・・・」


「このような場合、『知らない』と答えるべきです。すぐに、西に行ったと分かりますよ」


「旦那、あの娘は・・・自由にしてやって下さい!」


「・・・・まあ、いいでしょう。沢山、稼がせて頂きましたからね。それに・・・魔族領に向かったのなら、正解ですよ」


 ・・・ワシはヨドム、裏組織の人間だから、匂に敏感です。精霊騒動は度々起きますが、今回は桁が違う。

 まあ、外国に情報を流しておきましょう。

 それにしても、娘一人で旅は危険です。

 護衛を付けようと言っても、彼らは信用しませんね。

 裏組織だから当然ですネ。





 ・・・



 ☆精霊国の王宮


 今日はブリトニー王女に来客が訪れていた。

 客間で談話に興じている。

 相手は大国の王女にして、外務卿のモンブラン候の夫人

 無下には出来ない。


「ブリトニー王女殿下、異世界転生された聖王国の聖女様が、こちらの世界に転生する前に、平民学校で28名がカミカクシにあったと時事語りを聞いたと言っておりましたの。貴国の勢力圏で・・・異世界人が28名現われておりませんか?」


「まあ、モンブラン夫人、そうですの。聞いておりませんわ。警戒するように騎士団に通達しますわ。異世界人は野蛮な力がありますから・・怖いですわね」


 ・・・まだ、我国が、異世界人28名・・いや27名保有していると発表するのは早い。


 我国の社交界に忽然と現われおった。我国の数倍の国力、魔王軍を背後からけん制してもらわなければならない。

 いや、戦って双方自滅せんかのう。


 女神信仰のやつらは、異世界人を人と同じに扱う。意味が分からないわ。


「ところで、このお城はとてもキュートでございますね。私の老後は、旦那様とこじんまりしたお城で過ごしたいですわ。

 参考に各所を見学させて頂けませんか?」


 ・・・何だと、今、勇者は部屋に閉じ込めているが、確認するつもりか?


「まあ、左様でございますか。老後が近いと大変ですわね。この城は見せるほどではありませんわ」


「オ~ホホホホ、いいえ。備えあれば憂い無しですわ。ブリトニー王女殿下の老後は、兄弟姉妹沢山おられて寂しくないですわね。私の父上は、お母様一筋で、愛妾どころか、側妃もとらなかったから、兄妹は兄と私だけの2人だけですの」


 ピキッ


「まあ、王城は・・軍事機密ですわ。案内は信頼できる方でないと・・出来ませんわ。申訳ございません」


「オホホホホ、我国の田舎の観光用の古城と勘違いしましたわ、ごめんなさいね」


 チラ、チラと妾は何回もドアを見る。適当な時間に陛下から急用と呼びに来させるようにメイドに命じたのに、仕事ができないやつよのう。


「あら、もう、こんな時間ですわ。では、また、お会いしましょう。ブリトニー女王陛下」


 モンブラン夫人、嫌みで女王と言ったかのう。

 まあ、もうすぐじゃ。魔族領を併合したら、女神信仰圏併合も夢ではないのう。



 モンブラン夫人が、お付きのメイドに、ドアを開けられ退室した数十秒後、


 ドンドン!と強い力でノックする者がいた。


「誰じゃ。ノックが遅いぞ。妾は嫌みを聞かされまくったぞ!何?」


 ドアが開いて、現われたのは近衛騎士団長である。


「殿下、陛下がお呼びです。至急、謁見の間までおいで下さい」

 近衛騎士団長は、モンブラン夫人との会談が終わるまで控えていた。


「へ、何故じゃ」


 普段、政に興味を持たない。女の尻を追っかけている父上が・・・


「何故じゃ。何故、妾の後ろに衛兵を付ける!」


「「・・・・・・」」



 ☆謁見の間


「ブリトニーよ。面を上げろ。これは何だ?」


「「「クス、クス、クス」」」


 王位継承権を争っている腹違いの兄弟姉妹たちの嘲笑が聞こえる。


 侍従がある物を盆に載せて、ブリトニーに見せる。


「銀貨!」


 ・・・アズサが嫌がらせのために、『ブリトニー女王陛下ご即位記念品』と書かれた味塩胡椒のプラスチックの器の底に、強力接着剤で、銀貨を貼り付けたものだ。

 当初、初めて見るプラスチックの容器に誰も見向きもされなかった。識字率も高くない。


 そこで、銀貨をはり付けておいた。10個の内、1個、貨幣は人目につきやすい。

 たちまち、大評判になり、文字が読めるものまで到達した。


「知りません。私は知りませんわ!」


「ほお、貴重な胡椒に塩を混ぜて、ワザワザ銀貨まではり付けて配る大金持ちは限られるな。まあ、中々の味だ。だから、分かる。胡椒に塩を混ぜる発想は大金持ちしか思いつかない。国王たる余よりも金持ちの発想だろうよ」


「本当に知らないのですわ!」


 ・・・妾の事業は上手くいっている。下手したら父上の宮廷費よりも稼いでいる。目立たないようにしていたのに・・・

 父上は、自分が無能と分かっているから、少しでも追い落とす可能性のある芽は潰す。座にしがみつく能力だけは高い。次期王もまだ指名なさらない!


「陛下、これは不敬罪ではありませんか?」

「そうですわ。私では考えられないわ」


 弟妹どもめ。勇者サルに殺させても良いが、諸刃の剣だ。自分の可能性に気が付く。クーデターは最後の手段。


 しかし、父王の取り扱いは慣れているわ。この男は下劣だわ。


「陛下、分かりましたわ。犯人は、私の出資者の一人でございましょう。勝手にやったことです。どうぞ、ご処罰下さい。その財産も国庫に帰属なされるがよろしいでしょう。

 私、個人の賠償として、ダークエルフの銀髪の巫女を進呈しますわ。こちらは勇者軍が育つまで待って頂きたいですわ」


「うむ・・・そこまで言うのなら、以後、気を付けろ」


 ・・・ふう。出資者の大商人を一人斬るのはイタいが、平民じゃから良いであろう。

 しかし、大損害じゃ。

 しかし、妾の事業、塩と胡椒、砂糖の利益を回すか。


 それにしても、弟妹たちに、あれだけ高価な品をバラ撒く力はない。

 あのモンブランのBBAか・・・

 なら、これ以上、追求は出来まい。


最後までお読み頂き有難うございました。

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