アズサの偽装の心得
☆地球1970年代アフリカの小国
東西冷戦が激しいころでな。
政府が社会主義政権、
反政府軍を西側のスポンサーの支援を受けた傭兵団が援助した。
空軍もないような国だ。偵察機すらない。民兵に毛が生えた程度の国軍だ。
当然、陣地の空への隠蔽はいいかなと皆は思ったが、隊長は、
「空に注意だ!空も偽装をしっかりやれ」
「「「了解!」」」
皆は納得した基本だからだ。
しかも、不可解な命令が下る。
「いいか。夜の22時から、0時の間、絶対に外に出るなよ。偽装陣地から出たら、射殺する!」
「「「了解!」」」
しかし、その時間に、外に出た者がいた。
見つけた隊長は、
ズドーーーン
一発、撃った。
これには、傭兵達は怒り。隊長に詰め寄る。
「「「そこまでやることですか?」」」
「軍法会議は?」
詰め寄られた隊長は渋々話した。
「いいか?奴らのバックにはソ連がついている。奴らは、偵察衛星で、写真を撮り。我等の位置を、政府軍に伝えるのだ。あの時間は、偵察衛星が上空に来る時間だ!日本製のカメラを使っていたら、一発で人まで判別されるぞ!
そしたら、軍事顧問団が砲を撃ってくるぞ!素人の政府軍じゃない。バリバリのソ連の軍事顧問団がな!」
「なら、隊長、何故、それを言わないんですか?」
「アホウ、軍事機密だからだ」
「それじゃ。それを教えたのも・・・」
「それ以上、聞くな!」
だから、相手を軽んじて、空に向かって偽装しないのは間違いであると・・・
・・・・
「アズサ様!時間ですわ」
「エミリア、有難う」
・・・眠っていたら、魔王様の話を思い出した。
今、私はエミリアとともに、サキュウバス族の集落を見廻りに行く途中だ。
交代で休憩している。結構な距離を移動した。
最近、また、冒険者たちが狩りを始めたという情報が出回っている。
だから、少しの休憩の間にも、木々の枝や草を車の上に乗せて、空への偽装もしている。
この世界、精霊王国方面に、怪鳥部隊はいないと言うけれども、油断は出来ないわね。
「あら、鳥?白い鳥」
偽装で置いた枝の間から、鳥を見つけたが・・・その鳥は、森の中に消えて行った。
☆森の中
一人の男が、座禅を組んで半目の状態で、瞑想をしていた。
その男の肩に鳥がつかまる。
すると、男は、まるで、今、意識が戻ったように、話し出す。
「リーダー、あっちの方角に、雷の魔導師軍団はいませんぜ」
「そうか、なら、念には念を入れて、おい、ヨハンズのパーティ、斥候に行ってこい。
サキュウバスを狩って大もうけするぜ」
「「「ヘイ」」」
この森には、およそ100名の冒険者クランが潜んでいた。
・・・フフフフ、次々と冒険者が狩られるが、発想の転換よ。奴らは多く見積もって100人、
だから、いないところを襲えば、簡単よ。
南方出身のシャーマンを雇い。
更に、斥候に一個パーティを出す。
クラン規模で出れば、万が一、奴らと遭遇しても、やりようもある。奴ら、近接戦闘に弱い。近づいて・・
パン!パン!パン!パン!
「何、晴雷だ。奴らがいたぞ」
「行くぞ。大勢で出て、近接に持ち込むぞ!」
・・・さすがに、全滅はないだろう。
もう、7人いたパーティは斥候に特化した者達だ。第一、出てから1分も立っていない!
上手く行けば、躱して、肉薄しているかもしれない。
が、森から出たら、あの女がいた。木と鉄の魔法杖、大将首だ!
距離は・・・200から300、
「一気に、距離を詰め陣形を取るぞ!」
「「「オオオオーーーーー」」」
しかし、斥候パーティ、全員の死体を確認する。
「な、何だ。先遣パーティが、1分前には生きていたぞ、皆、やられたのかよ?」
全滅しただと、
すると、大将首が下がり。
別の女が撃つ。
しかも、連続攻撃だ。
パン!パン!パン!
パン!パン!パン!
パン!パン!パン!
「ヒィ、あの女だけ気を付ければ良かったのではないのかよ!」
スキがない。
回り込もうとする冒険者を、あの大将首が確実に殺す。
パン!
・・・・・・・
「はあ、はあ、はあ、はあ、何故、分った。そして、どうして、いなかった。シャーマンの目を誤魔化せた」
「鳥は木の上に巣を作る。しかし、あの鳥は森の中、低い位置に飛んで行った。エサをとるためかもしれないが、念のために、出撃した。何故、誤魔化せたかについては、軍事機密だから言えない」
「そうか、死ぬ間際でもダメか・・・」
パン!
この日、この地で、一番の冒険者のクランが、たった二人に全滅したとの激震が冒険者ギルドに走る。
最後までお読み頂き有難うございました。




