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最終話

 ☆あれから、5年後


 結局、この男と結婚した。


「アハハハハ、そうゆうワケで、何度か、いや、何十回か土下座して、やっと結婚してもらった。アリサも、好きな男が出来たら、連れて来い。お父さんが、ボッコボコ、いや、試合をして、試してやるぞ!」


 ジィ・・・


「・・・お父様・・1回目は、死体を担ぎながらプロポーズ、2回目は、メリケンサックをプレゼントしてプロポーズ・・何かと残念です。でも、お母様の命を2回も助けてくれて、とても、偉いのです!」


「そうか、そうか、抱っこしてあげよう」

「おヒゲのそり残しがチクチクするので、却下です!」

「アハハハ、『却下』は母子相伝か?」


「フフフフ」

 ・・・・メリケンサックは密かに回収した。婚姻を承諾したときに、見せたら、泣きながら走り回った。

 嬉し走りだそうだ。アルの故郷の風習、意味が分からないわ。

 しかし、理解する。出来なくても遠くから見守るのが結婚だと思う。


 娘アリサは、表情があまり出ない子だが、だからこそ、わずかな表情が目立つ。気持ちがわかる可愛い子だ。


 この世界は・・何かとデリカシーがない。

 私の妊娠に合わせて、周りのカップルも子供を作った。同世代のご学友を作るために。


「お嬢様!ミーアと一緒にお昼寝をするの!」

「いいえ。ガオリンとボール遊びするの。お嬢様がボールを投げて、私が取ってくる。楽しいよ!」

「私は、お嬢様にヒールをかけたいですわ!」


 ミーシャちゃんの子ミーアちゃんとガオスさんの子ガオリン、エミリアの子、エミリー、


 そして、


「アリサちゃんは来年幼年学校入学です。勉学に励むべきです」

「うわ、アキヤお兄ちゃん!今日はお休みなの?!ヤッター!」


 アキラ様の子、アキヤ君は、大真面目だ。


「フフフフフ、にぎやかね」


 ・・・私は、民族や国家は虚構だと言う人がいる。確かに、民族や国家のために戦うのは、モチベーションが沸かない。


 しかし、この可愛い子たちのためなら戦える。可愛い子を守る為に作られたのが、民族や国家なのだ。


「・・・では、集中力が増す午前中に勉強です。お昼ご飯を食べて、ボール遊びをして、おやつを食べて、お昼寝!その後、魔法の授業をしてもらいます。エミリーのヒールかけてもらう役は私がやるのです!」


「「「はい!」」」


 5歳で、各種族をまとめようとしている。こらからの魔王に求められる資質だ。

 しかし、無理強いはしたくないが、この子が大きくなったら、自分に職業を選ばせる余裕はこの世界にはない。

 せめて、軍人、役人の2択だ。



 更に

 ☆アズサが、この世界に来て、20年が経過した。


 ☆旧カク伯領


「アハハハハハ、まさかこの世界に、同志がいたとはね。金野同志」


「はい、夢野君・・夢野様、助けて頂いて有難うございます」


「弁舌の金野と、魅惑の聖女の2人で新しい世界を作るのよ!」


 ・・・ならず者の下で、徴税の作業をして、10余年・・・ある日、夢野君が転生してきた。



 ☆



「ちょっと、私は女よ。女神様の化身よ!」


「何だ。BBAの聖女か。回復術あるのかよ~~~~あれ、ホワ~~~~~」


 ・・・・


「ユメノ様と共に理想社会の実現をしよう!」

「ユメノ様の、魅力を分からすだけで、世界統一出来る!」


「フフフ、金野議員だけは、魅惑の術をかけないであげる」


「有難うございます・・・」


 夢野同志は言う。


「家事も育児も男女平等よ。それを認めない女神圏から、女性を解放する!女性解放軍を作る!」


「「「オオオオオオオーーーー聖女様!」」」


 ・・・早急ではないかと意見具申は出来ない。私は、この世界に来て、身の危険を感じる術だけは身についた。

 伝統的な憲法9条を厳格に守る考えでも、占領下で、サボタージュやデモを起こす権利はあるというが、ならず者たちに、それをしたら、殺されるだろう。

 やらなくても分かる。佐々木君、いや、佐々木様の元に戻りたい・・



「聖女様、ご報告!商人から、献上品が届いています。魔族領ヤクーツからの高級化粧品だと言っています」


「まあ、持って来なさい」


 ・・・私は、魔族領と聞いただけで逃げる事にした。あの女は化粧品の言葉で理性を忘れている。

 今のうちだ。

 魔族領、佐々木が関わっていたら、聖女の魅惑の術も・・・研究し尽くしているだろう。

 この世界に来ても、武器を召喚するだけではなく、運用まで研究した女だ。

 普通、武器を持っただけで、満足するだろう?今なら、分かる。本当の頭の良さとは。


 聖女夢野は、箱を開けた。


 その瞬間。


 ピカ!と閃光が生じた後、ド~~~~~ンと爆音が響いた。



 ☆カク伯爵邸より、8キロ先


 魔王お召し鉄竜、ササキ

(74式戦車)


 戦車のハッチから、1人の女子が、双眼鏡で、爆煙を覗きながら、口をパクパクしている。


「・・・これで、終わりなの?聖女災害派遣で来たけども」

「アリサ少尉、そのようです。戦車は公式では、一度も使用していませんね。ここから、8キロ先の屋敷をピンポイントで狙おうとしたのに残念ではありますが、任務達成を喜ぶべきです」

「オルト軍曹長・・・私の初陣なのよ。そうね。何かと残念ね」


「だめだと、少尉殿、気持ちは分かるけど、次の作戦だと、掃討戦を行うだが?」


「いいえ。あくまで、依頼は、聖女の討伐よ。文献によると、術者が死ぬと、魅了は消えて呆然とする。ほっといていい。後は、対勇者戦闘団は2キロ地点まで進出、対魅了魔道具をつけた私たち戦車小隊で、検死を行います!」


「「「了解!」」」

「アキヤ軍曹長!戦車小隊以外の機械化部隊の指揮をたのむど」


「ドス軍曹長殿、了解です!命令下達!戦車小隊以外は、2キロ地点まで進出、警戒せよ。女性解放軍との戦闘は最小限!」


「「「2キロ地点まで進出、警戒、了解!」」」


 このアリサたちの一連の行動を、カメラで写している班がいた。

 広報班である。

 この映像は数千キロ飛び。

 魔王城まで、届けられた。


「アズサ・・無事だよ。初めての戦闘をこなしたぞ!さすが、私たちの娘だ!」

「アル、魔王軍剣部隊の訓練の指揮は・・・」

「アハハハハ、娘の初めての戦闘を目に焼き付けたぞ!」

「いいえ。帰って来るまでが、戦闘よ。録画してあるから、さっさと仕事に戻りなさい」

「そうゆうアズサだって、会議すっぽかして来たくせに・・」


「いいえ、魔王として・・・ごめんなさい。心配で、心配で・・・グスン」

「良いってことだ。愛して・・」


「さあ、会議に戻るわ。アルも教官業務に戻りなさい」



 ・・・・


 娘アリサの活躍を見終わったアズサは急いで会議室に向かう。


「ごめんなさい。娘の初陣を見ていました」


「「「アハハハハハハハ」」」

「あの聖王国から依頼のあった討伐ですな」


「今日の議題は、四天王の役職の発表です」

「魔王様、それは?」


「はい、女神圏に通告する魔族幹部4人の新たな呼び名でわかりやすくし、各自の使命を明確にします」


「ただ殺しに来るヤカラに対処する役職ですな」


「最弱の四天王の触れ込みで、魔族長アキラ様、彼に挑んで、絶望感を味わってもらいます。次に、人族からの降将、堕天使、剣聖アル、いえ、アルバートが、この世の秘密、実は魔族と人族は仲良くなれると、説得します。

 死霊使い枠は、勿論、骸骨博士さんとアリーシャさん。森林地帯枠は、オーガのムサビ君とガオン君の大狼部隊」


「「「ウオオオオオオオオオオオ」」」


「ヨシ、最弱は俺に任せろ!」

「新しいゲーム召喚してくれんかの」


「俺、いいんですか?臆病者とあれから言われて・・・グスン」

「ガオン!」

「ムサビ君、だからだよ。臆病は危険察知能力が高い。これは戦いに必要な能力。それでも勇気を絞って戦うのが、魔族勇者だよ。君が一番、勇者の心を理解出来ると思ったからね。お父さんの推薦もあるよ」


「俺、頑張る!」

「ガオン!」


「頑張らなくていい。いずれも、無理と分かったら、すぐに引いて、勇者パーティーを通すこと。最後は、私が64式自動小銃で狙撃します」


「「「了解!」」」





 ☆☆☆旧カク伯邸内


「セトル軍曹長・・・薬量は?」

「はっ、研究用跳躍式対人地雷を2つ入れておきました」

「多すぎでなくて・・・合計、10人を殺傷して、10人を戦闘不能にする薬量よ」

「はっ、意見具申です。聖女が、他人に開けさせる可能性を考慮しました。しかし」


「「本人が開けるのとは思わなかった!」」


「気にするでねえだ。実際の戦闘はこんなもんだ。むしろ、華やかなダンスのように、台詞を言いながら戦闘を行う方が嘘だと」


「ええ、ドスの言う通り。女神教のシステムだと、勇者を生み出し続けます。人格方正な勇者が誕生する一方、こんなワケの分からない勇者も誕生します。

 まだ、まだ、戦いは続きますよ。次の事を考えましょう」


「ええ、私たちの本当の戦いはこれから・・・なの?」


 小競り合いが続き。クズ勇者も召喚される世界であるが、人々は平和を感じている。


 何故なら、最強の対勇者戦闘団が、魔族にはいるからだ。

 この怪物のために、人族諸国は団結し、小競り合いしか起きなくなった。


 30年後、何故、勇者は魔王を倒さなければならないのか?と宗教改革が起きる。

 人は伝統とは呼べない因習にとらわれやすい。しかし、因習を疑う者も必ず現われるのだ。



 ☆そう遠くない未来


「さあ、勇者パーティーの旅立ちの時が来ました。今日は、魔族の協力の元、古の勇者がたどった道筋をたどり、魔王城まで、表敬訪問をします。総距離3000キロ!」


「昔は、争っていたそうですね」


「ええ、信じられませんが、そうですね。勇者アルバートと、魔王アズゥサは、戦いの最中恋に堕ちたそうです。その故事にちなんで、勇者たちが旅立ちます」


「あ、魔族名物の馬無し車が来ました。最新の魔道車、ワシムマーク2に乗って、魔族の名族、リサ・ササキ様が来ました。出立の合図をしてもらいます」


「「「ワアアアアアアアアーーーーー」」」


「皆さんは、選りすぐりの勇者様ですね。期待していますよ」


「「「はい!」」」



 人間は愚かだ。因習にとらわれやすい。しかし、必ず因習を打ち破る者たちも出てくる。

 勇者の魔王討伐の因習は、伝統へと昇華した。



「さあ、皆さんの、いえ、私たちの戦いはこれからです!出立!」



「「「オオオオオーーーー」」」




最後までお読み頂き有難うございました。

いいね。ブクマ、評価して頂いた方、本当に有難うございます。

とても、励みになりました。

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