第2話 真の勇者
「王女殿下、お早く、彼奴が来ます!」
「国境まで行けば、友軍が来ていると、法王猊下から、密書が届きました」
「はあ、はあ、はあ、もう・・ダメ、少し、休ませて」
「「王女殿下!」」
・・・・私はこの国の王女メルダ、勇者から逃げて来た。
護衛騎士団を殺され、馬車を壊され、今の伴は、護衛騎士と戦闘メイドの二人だけ。
法王猊下から、密書が来た。
国境付近まで、友軍が、勇者が来ていると書かれていた。
「もうすぐです。後、もう少し、頑張れば、真の勇者様と会えます」
肉体的な疲労に、精神が勝てない。
草むらに隠れて休んでいたら、あの忌々しい声が聞こえてきた。
勇者守の声だ。
「お~~~い、お姫様!どこ行った?」
「ヒィ、あれが来たわ!」
このまま草むらに隠れてやり過ごせれば・・・
【天翔る階段!】
勇者守が、叫びながら、ジャンプすると、そのまま空中に留まった。
3回もジャンプすると、50メートル空中に留まる。
「あ、お姫様が隠れていた!僕が今助けるよ!悪い臣下に誘拐されたお姫様を助けた僕、正に勇者じゃねえ?」
「ヒィ」
「王女殿下・・・私の背中に、ケリー、足止め・・頼むぞ」
「はい!」
護衛騎士の方が体力がある。とっさの判断で姫を背負って逃げようとしたが、
守の逆鱗に触れた。
「あれ、僕の嫁に、許せない・・サンダー・・」
と詠唱途中に、
バン!ヒュ~~~~~ン
と音と共に、火を吐きながら、音速を超えるナニカが守に向かって来た。
「え、何?!」
ドカーーーーーン
飛翔体は守にぶつかり、守の肉体は四散した。
「爆裂魔法・・・真の勇者様・・」
☆1キロ先
「あれ・・・これは人間に撃つものではないわね。お高いから滅多に訓練できないわ。セトル軍曹、覚えたわね」
「はい、覚えました!」
アズサ率いる対勇者戦闘団が、91式携帯地対空誘導弾を撃ったのだ。
音速を超えるスピードに守の認識は間に合わなかった。
・・・車両から降りて、施設偵察をしていたら、空に何かいた。人型の魔物だと思ったが・・
まさか、本命の勇者だったとは、
「勇者様、真の勇者様が来て下さったわ!」
「「真の勇者様、ご助力有難うございます!」」
「いや、私ら、魔王軍だよ。勇者を狩ってナンボの魔王軍・・」
「アハハハハハハハ、なるほど、真の勇者様だとバレると、似非勇者たちは逃げ出すから、魔王軍に擬態したのですな。このロバート、感服しました」
「さすが、真の勇者様ですわ!」
・・・いや、人の話を聞けよ。目が・・怖い。
ここで、魔王軍と無理に理解させたら、彼らのアイデンティティーが崩壊するかも知れない。
私らが討伐しているのが、本物の勇者だと知ったら、
作戦が終わるまで、まあ、ここはあやふやにしよう。
「あの、情報の提供をお願いします」
「はい、ここは王女である私が・・・どうか助けて下さい」
・・・この国の始祖は異世界から来られた勇者様でした。
魔物があふれるこの地を、人が住めるように、魔物を討伐し、当時の村人達から王に推戴されました。
その始祖が出現した平原に彼奴らが、現われました。
☆
彼奴らは、異世界では、禁足地とされたところで、「ばーべきゅー」なる行事をしていたそうです。
「あんた方、ここは神隠しが多発する地だ。それに、雨で、地盤が緩んでいる。土砂災害が起きるかもしれない。悪い事は言わない。バーベキューは止めなさい!」
「うっせー、ジジ!」
「ウケる~」
「先輩、炭の準備出来ました!」
村の古老が止めるのも聞かず。「ばーべきゅー」の行事を強行し、土石流に飲み込まれ、この始まりの平原に転移したそうです。
・・・
「いてて、土砂崩れが起きたと思ったら、ここはどこだ?あのジジ、もっと、止めろよ。そんがいばいしょうって奴?できるんじゃね?」
「飛翔馬先輩、スマホ、アンテナ立っていないよ。もしかして、異世界?!」
「ウケる~転生した系」
「じゃあ、守、ゲームとか詳しいだろう?教えろよ」
「はい、オープンと叫んで下さい。オープン!」
・・・
「ギャハハ、高校中退の俺が賢者、守が勇者で、鬼羅羅が、聖女、何の冗談だ!」
「ウケる~」
「はい、これからの流れですが、城に行って、王様から、魔王討伐とかドラゴン討伐の依頼を受けて、褒美として、お姫様と結婚する流れです」
「俺は鬼羅羅がいるから、守、童貞卒業だな。良し、城に行こう」
「ウケる~」
☆ヤマダ城
城に来た似非勇者どもを
門番と騎士達が止めます。
「「「お前達、誰だ!」」」
「先輩、NPCです。村人みたいなものです。殺してOKですよ」
「ヨッシャ!」
「ウケる~」
歯が立ちませんでした。
それで、父王が、客人として迎える作戦を立てました。
「良く来られた。異世界の友人達よ。用件は何だ?」
「あ、それいいから、サクッと仕事と、報酬の話をしてよ。お姫様はどこ?」
「ウケる~トランプの王様みたい」
「ギャハハハハハ」
ええ、城での彼奴らの無礼な行状を、注意する騎士や臣下を、すぐに殺し。
宰相が、彼らの寝込みを襲おうと刺客を放ちましたが・・・
その・・・深夜なのに、ペガサスとキララが、行為におよんでまして、
すぐに、気が付かれました。
「おい、こいつら、何だよ。魔王軍ってやつか?」
「先輩、人間ですよ。今、勇者のスキル・・自白できるもの無いかな。オープン!」
「ウケる~」
・・・・
「飛翔馬先輩、宰相の手下でしたよ」
「はん。なら、先輩の事務所だと、カチコミがあったときは、籠もるって言ってたな」
「飛翔馬先輩、ステータスのここをイジると、結界が出来ますよ」
「お、じゃ、籠もるか。守も同じ部屋に来いよ。セックスは見て見ぬふりな」
「ウケる~」
はい、それから、抹殺が更に難しくなって、この国のA級冒険者も一騎打ちで負ける始末。
それで、聖王国に救援を求めましたの。
「うわ~、ペガサス、キララ、外人ですか?・・・いえ、黒目、黒髪ですか?」
「ええ、似非勇者らしく、金髪に染めてましたが、そのうちに、黒髪と金髪のまだらになりました」
「それから、「ばーべきゅー」なる儀式をやりたがり。貴重な胡椒を沢山要求され、国家財政は火の車です。
冬期用のブタは潰し、農耕用の牛まで潰すように要求されていますわ」
・・・日本人だと想定して、作戦を立てますか?
「王女殿下、作戦があります。国を救う重大な任務ですよ」
「ええ、真の勇者様のおっしゃることなら、頑張りますわ」
アズサが作戦を立てた。
しかし、それは、あまりにも稚拙に見えた。
「戦闘団長殿、意見具申をします!敵を侮ってはいけません。この作戦が成功するとは思えません」
「オラもそう思うだ。オラの村でもそんな馬鹿はいないだ」
「う~ん。なら、これは、万が一、上手くいったら、めっけものの仕掛けと考えましょう。あくまでも誘導目的にしましょう。施設班のセトル軍曹を長にして、皆、お願いしますよ」
「「「了解!」」」
☆ヤマダ城
「あの、勇者様がた。女神様から、お手紙が来ました」
「あん?何?それよりも、守いないんだけど」
・・・話、聞いてくれない。
「はい、村娘さんを追いかけて行ってしまいました」
「ウケる~」
「なら、今晩童貞卒業だな。姫さん。守をしっかり捕まえておかないと、ペガサスファミリーに入れないぜ」
・・・ペガサスファミリー?意味不明だわ。怖いわ。何を考えているのか分からないわ。
頑張るのよ。亡くなった宰相、護衛騎士、戦闘メイドの分まで頑張るのよ!私が真の勇者様のお手伝いをして、国を救うのよ。
【あの、教会に女神様からのお手紙が天から届きました!私どもでは読めない字です!】
はあ、はあ、はあ、
「・・・大声出して、どったの・・・お、日本語だぜ。鬼羅羅、見ろよ」
「何、何?異世界転生した勇者たちよ。コスメセット、ゲームステーション5を贈った。王城前広場に取りに来い・・だと」
「ウケる~」
「姫さんよ。誰にも触らせるなよ!」
「ウケる~」
☆王城前広場から、200メートルの位置
「皆、確認です。広場に来たら、狙撃、勇者が躱したら、バイク班が、戦車の前まで、誘導する。そこで・・・四方から飽和攻撃をします」
「「「了解!」」」
「戦闘団長、来ました。二人です。頭は金髪混じりの黒」
「プリンね。さあ、まず。私から撃ちます・・あれ、開けそう?」
((プリンって何だろう?))
王城前広場には箱が設置されてあった。
箱には、
日本語で、「女神より」と張り紙が貼られている。
「おい、あれ、ウルカウで売れるんだよな」
「ウケる~」
勇者二人は、ためらわずに箱に手を掛けた。
その瞬間。
ドカーーーーンと爆破の音が響き、キノコ型の黒煙が上がる。
「へっ」
アズサが指示をしたのは、箱にブービートラップを仕掛けること。これは、さすがに触らないだろうと皆が思っていたが、
コロン!と爆風と共に、200メートル先まで、二人の首が転がってきた。
「セトル軍曹・・・薬量は?」
「はい、72式対地竜地雷2個分です!」
「多すぎ・・・」
「了解です。以後気を付けます!」
アズサも感覚が麻痺をしていたが、平和な日本にいたら、ブービートラップは想像出来ないものである。
・・・もしかして、これで終わり?戦車は?折角、作戦の幅が広がったのに、
「今回も使えなかったわ!」
一人アズサはつぶやいた。
最後までお読み頂き有難うございました。




