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プロローグ

 ☆自由都市ラクーア


 この都市を、庇護をする領主や王はいない。自主独立がこの都市の特徴でも売りであった。怪しい物でも、この都市では売り買いできた。

 各国は、この都市の利便性のため放置。半ば中立地帯として都市は存続できた。


 都市を攻める盗賊は、商人で結成された防衛隊や、傭兵で対処してきたが、

 それでは、対処できない危機が現れた。


 魔王軍が攻めてくるのだ。




 ☆ラクーア城壁外


「エンジンブレーキ!」


 ガタガタガタ!ボーボー


「運用出来ちゃったわ・・・精霊王国王都の攻城戦の戦訓で、74式戦車を召喚したけどね。もっと、新しい戦車があるが、人工衛星のない世界、旧式の方が良い場合もある」


「ドス軍曹、未解明なことが多い。分からないことはやらない」


「了解だと!」


 ・・・この105ミリ砲で遠距離から城壁を吹っ飛ばす。


 ・・・この都市を攻める理由は、ブックメーカーの掛け金の徴収。

 戦前に、私とヨドムさんのお金を掛けた。


 しかし、戦後になって、イチャモンを付けてきた。


『当事者だから、払えない。掛け金も没収?自由都市だけに、自由すぎるでしょう』


『規則ですから』


『後付けでしょう。当事者と言っても、負けるように戦ったのなら分かるけども、私たちは、勝ったのよ。下馬評だと圧倒的不利でしたよね』



『さあ、それなら、取りに来ていただくしかございません。わが方にはラクーア防衛隊と・・・・秘密兵器・・・おっと、これは、言ってはいけない規則でした。ご内密に』


 使者の態度から、判断が難しい。

 戦争はしたくないけど、魔王軍商売は舐められたら終わり。


 魔王様の命令の元、対勇者戦闘団を基幹とした魔王軍と、新生精霊王国軍で、攻めることになった。

 精霊王国軍が参加したのは、ヨドムさんのお金もあるからだ。しかし、建国まもなくお金がない。数百人のアリスちゃんの護衛という感じだ。


「使者は余裕の態度だったわ。アリスちゃん、いえ、アリス女王陛下、勇者を召喚している可能性があるとして、自衛隊の部隊を召喚する可能性は?」


「いえ、アズサさん。キャ、違った。魔王軍司令官殿、あり得ません。この召喚方法は数人がやっとです。カス王家が、魔石を多量に使い。数十人規模に、無理やり拡大したのです。来ても、数十人です。手持ちの武器がやっとでしょう」


「そう」

 ・・・敵に武器弾薬を召喚できる私がいないとは言い切れない。

 本職の自衛隊がいたら、戦えるか?いえ。仲間を信じるのよ。

 ダメだったら、逃げればいい。



「ヒヒヒ、大丈夫ですヨ」

「ヨドムさん。慢心は禁物だよ」


「いえ、この都市には有名な商人がいますから、大丈夫です。もし、転生者がいたら、アズサ殿が試されますネ」


「そうね」

 私が転生者に甘い・・・と言うことね。





 ☆一月前、自由都市ラクーア中央ギルド


『ドメル殿、頼みますよ。情報網から、相手は、あちらの世界の騎士団です。ジエイタイに対抗できる人を召喚して下さい』


『畏まりました』


 ・・・私は精霊王国の宮廷魔導士だった。王都陥落後、この都市まで逃げていき。

 商会長議会に、雇われたのだ。

 どうにか、難を逃れたと思ったら、また、魔王軍が攻めてきおった。


 わざとらしく、金の取り立てと、各国に宣伝している。


 不気味な軍隊がいるから、各国も援軍を寄こさない。


 それに、

 ラクーアは魔族領侵攻の投資をして失敗、今は金がない。傭兵も雇えないと噂・・本当のことを世界中が知っている状態だ。



 ☆


 召喚に使う高価な魔石を多量に用意でいない。一人がやっとだった。


 召喚して出てきたのは、騎士ではない。向こうの世界では賢者議会の賢者だと?ジョブは弁士?」


 しかし、たった一人だが、自信満々に言う。


『敵は自衛隊?!なら、簡単です』


『賢者様、頼もしい。どうやって対抗しますか?』


『無抵抗です!憲法9条があります。自衛隊は憲法違反です。さらに侵略をするなら、世界から非難されます。世界中の非難で軍を引くでしょう』


『吟遊詩人で魔王軍の悪逆を宣伝するってことですか?』


『マスコミが望ましいでしょう』


『時間が掛かります。その間に落城したら』


『占領されたら、サボタージュをするのです。サボタージュは、国際法上、違法ではありません』


『しかし、相手は魔王軍です。虐殺されたらどうしますか?』


『それなら、世界中から、魔王軍は非難され、ラクーアの民は自由に準じた気高い民として、世界から賞賛されるでしょう』


『それはあまりにも破滅思想だ!』


『まあ、最悪の場合です。私はあちらの世界では自衛隊を指揮監督する側です。この世界でも私の命令で、自衛隊を、自由都市ラクーアの防衛隊に出来ます』



『それは・・・頼もしい・・のか?』


 ・・・まるで、桃源郷の住人と話をしているみたいだった。



 ・・・・・・・


 ☆現在


「来たぞ!先頭に鉄の地竜がいる。魔王軍だ!」


「フフフフ、さて、私の出番ですね。皆様、大船に乗った気持ちで待っていてください」


「「「任せましたぞ」」」


(無理だろう)

 ドメルは生き残る次の策を考えた。

 あの28番に取り入ろう・・と



 ☆城壁外


 城門から一人の背広の40代半ばの男が出てきた。


「・・やはり、日本人、勇者の可能性あり。警戒しつつ前へ」

「「「前へ、了解!」」」


 男は手を腰に当て、慇懃にアズサに尋ねる。


「君、自衛隊の長か?」


「違います。魔王軍です」


「自衛隊だろう。私は議員だ。自衛隊の指揮権は私にある」


「自衛隊の最高指揮官は、内閣総理大臣です。議員にはありません」

 ・・・一応、あちらの世界の本で自衛隊の運用を調べた・・・けど、この人あれだ。議員をかさに着て、自治体の職員に直接命令をして物議を起こした人だ。


「な、な、な、馬鹿にして、そもそも自衛隊は憲法違反だ!」


「はい、そうですか」


「どうしても、侵略をするのなら、私をひいてから、行きなさい!」


「ドス軍曹、戦車前に」


「了解だと!」


 ブオ~~~~ンとエンジンが鳴り響き緊張が走る。



「な、なに、私は、何百回も国会で質問をした勇者だ!・・」


 その時


 ドン!ドン!


 遠くで、火薬の音、銃声が響いた。


「銃!この世界で私たち以外にも、銃を使う集団がいる!」


 私は一瞬、慌てた。その想定はしていなかった。


 だとしたら、

 いや、銃の音が、私たちのものと違う。大きい。


 ブポ~~~~~~~ン!


「ほら貝!」



 城門が開き。一人の男に率いられた火縄銃を持った集団が現れた。


「降伏するけえ。大義のない戦は嫌いじゃ。わしらは、ラクーア防衛隊、わしは、商人でもある。18代目ヨザエモンじゃ」


「ヨザエモン?日本人?」

 名前は古い日本人の名前だが、血が交じって、ラテン系のような風体。

 忘れていた。召喚された者は過去にもいたはず。


「まあ、城に入ってください」



 ・・・・・・



 ・・・今回の取り決め。あまりにも、ヒドイということで、ヨザエモンさんがクーデターを起こしたのだ。今は、中央ギルドを制圧中。



 ドン!ドン!


「私たちの銃よりも、音が大きい。それに、撃つときに、肩を引いている」


 ・・・・



「確かに、お金は受け取りました。しかし、もう、この都市は、お金はないのではないですか?」


「ハハハ、無一文です。商売に失敗したら、道理ですわ。酒呑童子軍に負けた。それだけです。また、ご先祖様のように、行商から始めますわ」



「ふ~む。じゃあ、こうしましょう。貴方と賛同した商人は信用が出来ます。魔族領で作った商品を売ってみませんか?それまで、私の掛け金はお預けします」

 ヨドムさんの方は・・」


「アズサ殿、違いますネ、長はアリス陛下です」


「・・・これは失敬」


 ・・・ヨドムさん。アリスさんを教育している。

 アリス陛下は、ヨドムさんに尋ねて、いくら、お金があれば国が回るか確認しているわ。

 情報や策を述べるのは宰相の仕事、最終決済は、アリス陛下がするべきね。


「割賦払いで結構ですわ」


「お二人方、有難う」


 彼は、首筋が見えるように深くお辞儀をした。

 首を切ってもいいという仕草だ。


「しかし、ドメル神官は処刑をお願いします」


「ああ、勿論」



 ☆都市広場


「もし、大人しくしていれば、見逃すつもりでした。女神信仰圏では人為的な召喚は禁法とされています。貴方の生きる地はこの世界では寸土もありません」


「ヒィ、貴女は仲間がいなくて、寂しいのではないですか!私は召喚出来ます。あちらの世界の見目麗しき吟遊詩人も、歌い手も、男も女も、魔石さえご用意して頂ければご用意できます。魔法陣は私の頭の中にございます!」


「あら、それはいいわね。しかし、本とか仲間はいないのかしら、召喚師団を作りたいわ。もっと、大勢を呼びたいのよ」


「ハハ、それは残念、本当にないのです。本は落城の時、燃えてしまって、私以外の魔導士も戦死、お金さえご用してくれたら、私が一からつくり・・・」


「ヨザエモンさん。斬って」


「心得た!」


 ドメル神官は言葉途中でポロン!と首が落ちた。


「・・・召喚という名の袋かつぎめ」

「全く、誘拐よね」


 ヨザエモンさんも、憤っている。

 同志だ。

 もう、これで、人為的な召喚をする者はいない。


 自由都市ラクーアは、魔族領に組み込まれた。

 ヨザエモンさんと数家の商人以外は、処刑し、規模は小さくなったが、新たな門出である。


「防衛は大丈夫なの?」

「殿、ワシらは商人でもあり兵士でもあり忍びでもあるのじゃ。危なくなったら、魔族領に逃げさせてもらう」

「ええ、そうして、えっ、殿?!」


「ああ、この都市のスポンサーじゃきい。名前はどうするね。商業都市アズサではどうかのう」


「無理!」


 結局、防衛軍には、ここは魔族の庇護がある免状と、手出ししたら魔王軍が出張ると吟遊詩人ギルドにお金を払い宣伝をすることになった。


 ヨザエモンさんは信用できる。鋼鉄製の武器と、新兵器、滑車付きの弓、コンパウンドボウを渡そうと決意する。


「商業都市、天村アマソン!はどうか?ご先祖様の出身地じゃ」


「・・・・いえ。何かあれね。ラクーアでいいわ」


 しかし、アズサは、新たに召喚された議員を忘れていた。

 彼は無視されていたのだ。


「君!保護したまえ。自衛隊は国民の生命と財産を守る義務がある」


「自衛隊じゃないわ。そうね。捕虜として拘束、尋問を行うわ」


「「「了解!」」」


「・・・ヨドムさん。どう?転生者に、甘い?」

「及第点です。取り調べはするべきですネ」


 あれ?!私は気になった。召喚って、


「アリスちゃん。転生者は、女神様が、向こうの世界で不慮の事故にあった人を呼ぶのよね。それ以外に、ないのかしら」


「いいえ。例外ですが、突発的に召喚される場合があります。しかし、報告が上がるまでは気にする必要はないでしょう」


「なるほど」



 しかし、その頃、


 ☆ヤマダ王国、始まりの草原


「いてて、土砂崩れが起きたと思ったら、ここはどこだ?」

飛翔馬ペガサス先輩、スマホ、アンテナ立っていないよ。もしかして、異世界?!」

「ウケる~転生した系」



 勇者が始祖の国で、転生者たちが現れていた。







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