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第23話

「近衛騎士団長!王女殿下が負傷されました。召喚獣に連れられて待避しています!」


「・・・ほお、それは・・・名誉の負傷だな。王族でたいしたことだ」


 近衛騎士団長はブリトニーと対立をしている王族を押しているが、さすがに、いいざまだとは言わない。


 次の瞬間、

 ドドーーーーンと爆音と主に、城門が崩れる。

 扉が吹き飛び。

 城門の上の楼閣も崩れ落ちた。


「来るぞ!カタパルト用意、弓隊用意!重装歩兵で前を守れ!」

 カタパルト、大型弩を数門保有、これだけでも、数人は仕留め勢いは止められるであろう。

 と騎士団長は算段する。


「さあ、瓦礫を乗り越えて、来い!蜂の巣にしてやる!」


 一方、アズサたちは、無反動砲で城門を崩したはいいが、思いがけない事態に陥った。


(しまった。瓦礫で門が塞がった。これでは、一度、装甲車を魔法袋に収納して徒歩で危険な城門を通らなければならない。一気に殲滅が難しくなった・・)


 アズサの心の声に反応するように、団員達が意見具申をする。


「戦闘団長殿、このまま、徒歩で突撃しましょう!こちらには銃があります!」


 しかし、アズサが、助言を求めたのは、今回が新顔のロゼだ。


「ロゼ回復術士、どう思う。このまま、突入したら、成功すると思う?」


「・・・成功すると思いますが、弓で何名か負傷する恐れがあります・・私はそれが心配です。防弾チョッキというものは確かにすごいですが・・・その投石など、衝撃には対応出来ないと思います・・・」


「団長殿、俺たちは、負傷など恐れない!このまま行きましょう」

「私は、ロゼに意見を求めているのよ」


「し、失礼しました!」


 ・・・そう、作戦は素人が分かるほど良い。

 団員達は勝ち戦が続き。気が大きくなっている。

 死ぬのを恐れよ。

 負傷を恐れよ。

 意味のある死や負傷する場を提供するのが私の役目だ。



「なら、ここから、攻撃する手段があるとすれば?」

「ええ、こちらに、負傷者は出ませんが、相手は逃げる者もでるでしょう・・」


 ・・・逃げる。これだ!

 こちらに向かって逃げるように誘導すれば、精霊国唯一残った武装勢力を殲滅できる。


「分かったわ。二段作戦で行きましょう・・」


 アズサたちは、城門前から200メートルで停止し、新たな作戦を実行する。



 ☆☆☆城門内


 土煙で未だに視界が悪い。

 いや、ますます煙が立ち、視界が悪くなる。


「何故だ!」


 アズサ達は、地球では中東の紛争で、戦車隠しで行われたぐらいしか聞かない煙を使った作戦を実行していた。

 発煙筒を城門方向に投げ。

 煙に乗じて、施設班を突入させ。

 瓦礫の上に、指向性散弾を5台設置させた。


「設置完了!」


 指向性散弾とは、対人地雷全面禁止条約を結んだ日本は、戦術で対人地雷を使用できなくなった。

 防衛省は、代わりになるもの。地面上設置型の地雷、クレイモアを大型に改良し、仕掛けワナの装置を撤去し、

 人の操作で起爆できるようにした。

 地面に埋めない。

 人が操作する。

 だから、対人地雷ではないのである。


 対人地雷に代るものとして、陣地の障害物としての用途であるが、


 アズサは攻撃に使う。


「エミリア、ドローンを飛ばせ。迫撃砲の弾着観測をせよ」

「迫撃砲の観測、了解!」


「「「迫撃砲、準備完了!」」」


「砲撃地点、敵、近衛騎士団の最後尾!距離、600メートル!撃て!」


「了解!」



 ☆☆☆城門内


 ヒュ~~~ン、ヒュ~~~ン


 ドン!ドン!


「騎士団長。遙か後方で爆裂魔法が炸裂しています!」

「・・・爆裂魔法士が城内に忍び込んだか。なあに、すぐに魔力切れを起こすだろう。それよりも前に・・」


 ドン!ドン!


 音が段々近づいて来る。恐怖が間近に迫ってくる。

 しかも、後方、左右の三方から、音が近づいてくる。


 アズサは、まず。大雑把に撃って、大きく修正し、段々と小さく修正するように命じた。訓練の通りだ。


 やがて、爆音に混じって、悲鳴が聞こえてくる。

「「「ギャアアアアアア」」


「ヒィ、お尻に火がつきました!」


 砲撃が、近衛騎士団の後端部に着弾し負傷者が出始めた。

 既に、後方から逃亡兵が出ているが、

 たまらず。前列からも、前に出ようと意見具申する者が現われた。


「突撃しましょう。前の敵を何とかすれば、魔法が切れますよ!」


「ええい、仕方ない。徒歩突撃だ!」


 ・・・・


 騎士団の突撃に合わせ

 指向性散弾が炸裂し、機銃掃射を行い。騎士団は壊滅的打撃を受けた。



 ☆☆☆王城内


「いい。ここからは、獣人族と共同作戦よ。連射、三連射を禁止します。理由は?」


「「「跳弾を警戒です!」」」


「良し」


 ・・・城は石で出来ている。屋内戦闘は跳弾が怖い。

 ここまで来ると、もはや、文字通り敵は自分たちになる。


 獣人族を先行させ、手に負えない戦闘員がいたら、うちらの出番。

 特に、勇者がいたら・・・私らに通報が来るように指示をした。


 王城の中庭に、ロゼ入れて、本部班13名を予備兵とし、

 他の30名は分散して、獣人族と行動を共にさせる。

「王がいたら、捕らえよ。抵抗する者は殺していい」


「「「「了解!」」」


 しかし、いくら、待っても、王捕縛の報が来ない。

 今日は王はいると捕虜の尋問の結果から判明したが・・・


 メイドから、とんでもない情報が来た。


「入浴中ですって?」

「ええ、王城突入後、あれほど、騒ぎになっているのに・・王が?」


「オルトと、リアスキー、付いて来て、エミリアはここで待機、何かあったら、トランシーバーで連絡をせよ。符号は忘れるな」


「「「了解!」」」



 ☆湯殿


「ここは、陛下が入浴中ですよ!」


 制止するメイドを押しのけて、湯殿に来た。

 そう言えば、風呂長いこと入っていない。


 湯煙でゴーグルが曇るだろう。ゴーグルを外し、独りで入ろう。


「「私らに・・」」


「いいえ。同士討ちが怖い。ここは一人で行く。合図があったら来るように」

「「了解、合図があったら、突入します!」」


 ・・・


「キャー、陛下!」


 薄い湯着を来たお姉さんが二人いた。王はゆったりと広い湯船に浸かっていた。


「・・何だ。さっきから、騒々しい。お、ブリトニーが召喚した使役獣か。まあ、無粋な姿だが、顔は可愛いではないか。使役獣と子を為すのも一興か。脱げ」


「やかましいわ!」


 バキ!と銃床で殴った。


「団長殿・・・」

「何か、無性に腹が立った。降伏文書に署名させなければいけないのは分かっているけどね」


 王は裸のまま牢に入れ、精霊国の降伏書に署名をさせた。


「無線封鎖解除、辺境伯領攻略のブゼンさんとイワンさんの騎士団に連絡!」


「15!・・・こちらは、精霊国王城占拠完了!」


 辺境伯領も占領が完了し、先遣隊が後7日を目安で来る。

 忘れていた。ここは異世界、車の感覚でいた。大狼や地竜の足は馬と同じだった。

 それまでは、勇者戦闘団と獣人族で城を警戒し、王都内の王都防衛軍、近衛騎士団の残党狩りを行う。


 しかし、日が経つにつれ、違和感が段々と大きくなる。


 この国の王は無能で堕落している。滅亡の危機に陥っていてものんびり風呂に入っていた。

 あり得るだろうか?


 まるで、王は、会社の経営はどうでも良いただ利益が出ればの大株主の経営者一族のような。

 そして、ブリトニーが代表取締役?

 社会経験のない私には、イマイチ、分からない。


 ならと、歴史官を尋問した。


「カス王家は、歴史は千年以上あります。太古の神魔大戦でも活躍した一族です。30年前に、民衆の推薦を受けて、当時の精霊の愛し子から、禅譲され、王位を継ぎました・・・」


 なるほど、カス王家の歴史は浅く、30年前にクーデターが起きたと、


 私は、ヨドムさんが、カス王家の対抗勢力だったことを思い出す。

「戦闘団長殿・・ヨドムさんが来られました」


 ちょうど、来た。


 だから、単刀直入にたずねた。


「ねえ。ラスボスはどこにいるの?」


「我が主のことですね・・・良いでしょう。是非、お会いして下さい」


 ・・・


「何だと、戦闘団長殿に貴殿の主の元に、こちらから訪問せよと!無礼だ。それに、危険だ!」


「ええ、場所ごと、我が主を見て頂いた方が、理解が早いからですよ。護衛に何人連れてきても結構ですよ。勿論、対魅了の魔道具をつけて頂いて結構。むしろ、魅了でないとわかれば、我が主の魅力が分かるというものです」


 ・・・どうしたものかと考える。魅了魔法は危険とされ、失伝している。一応、アリーシャさんに対魔道具をもらった。

 ヨドムさんの主とは、

 私の考えでは、精霊の愛し子、前の王朝の王族の子孫・・・


「そんなに魅力ある一族なら、何故、人の手で追われたの?」


「おや、そこまで理解されていたとは、このヨドム・・・恐れ入りました」


「王位を追われても、根絶やしにされない理由があると・・・」

「おや、理解が早い。さすがです」


 そう言えば、この国の帳簿を見て、愕然とした。

 魔族を動物園のように展示する魔族園の建設、ダークエルフ債、地竜債・・・ダークエルフの子供予約購入券での収益。

 人族の方が、よっぽど、「魔」ではないか・・・


 地方政治は任せっきり、貴族は王都に住み。領地から上がってくる作物をただ受け取っているだけ。

 王都市民は、作物を安く買い。獣人族を安くこき使い。労働無しで暮らしている者も多数いる。

 王家主催の格闘技大会を観戦し、享楽を貪っている。


 ・・・もしかして、精霊の愛し子がいれば、国は回るシステム?


 それから、ブゼンさんとイワンさんの部隊が来たので行ってみることにした。


「行くのは、ミーシャと、運転手で数名連れて行きます。エミリアは、ここで私の代わりに業務をお願いします。私が帰って来るまでは現状維持で・・・

 占領政策は、精霊の愛し子と会見して決めます」


「ミーシャ、了解です!」

「団長殿・・・了解です。しかし、護衛に、戦闘団一個班は付けて下さい!」


「了解、エミリアの言う通りにするわ」


 戦闘団全軍で行きたいが、そうは行かない。


 王城には勇者がいた。檻に閉じ込められていた委員長と、負傷した委員会パーティーと言われた数名。

 そして、行方不明の勇者もいる。


 少なからず、勇者に対抗できる部隊を残しておかなければ、


「さあ、ご案内しますよ。主は貴女にお会いするのを楽しみにされています。

 もし、気にくわなければ・・・殺して頂いて結構だそうです・・」


「・・・そう」

 そう言えば、ヨドムさん。怪しい裏組織だけど、私に対して嘘は言わない。

 きちんと、獣人族にも、人族と変わらないお給金を払っていた。


 聖人じゃなくて、カルトの教祖のような人かもしれない。

 もし、聖人としても・・・

 そう言えば、聖人と言われているけど、とんでもない価値観を持っていた人が、地球にもいたわね。カルタッカの・・・


 私は何だか漠然とした不安を感じながらも、ヨドムさんの主がいると云う精霊国の北方に向かった。



最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
やっぱりクズへのざまぁはいいですね。
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