プロローグ
突然、精霊王国王都西門前の草原に、異形の軍団が現われた。
「何なの?あれは?ケンタ、説明なさい!」
「王女殿下、あれは・・・地竜ではない。戦車だ。俺らの世界の騎士団、自衛隊だ・・です。」
「何故、魔法の射程外から、城壁上の弓兵が倒れる!」
「銃だ・・・です」
「嘘、おっしゃい!魔法のない世界の騎士団が、あんなに強力なハズがないであろう」
剣聖ケンタは、自衛隊と称したが、正式な所属は魔王軍人族軍対勇者戦闘団である。
近くで見れば、自衛隊の部隊章ではなく、四本の角が生えた雄牛をモチーフにした魔王軍の記章を付けていることが分かる。
数日前までは、この国の勇者軍は、魔族領奥深く侵攻し、魔都ガデームの城壁が見えたと報告が来ていたはずであった。
長らく不況に、王女殿下は安堵していた。
しかし、今日、魔王軍が王都近辺を徘徊しているとの凶報が届く。
王女は王都防衛軍の指揮を執るために、王都西門の楼閣まで、護衛の剣聖を連れて訪れていた。
・・・今日、精霊国王都西門に、突然、魔王軍が現われた。数は少ないが、妾の兵達が、次々に倒れて行く。
王都に籠もっていれば勝てた戦いじゃ。
数日前まで、王城には戦勝の報告が届いていたのに・・・
「ブリトニー王女殿下、ご報告があって、参りました!」
息を切らせて、西門の楼閣の上、ブリトニー王女の位置まで伝令兵が登って来た。
「ご報告!魔族領に侵攻した騎士団は全滅、防衛の辺境伯殿は4日前に討ち死にしたと、早馬が来ました」
「なんじゃと、伝令兵を追い越して来たのか?」
「はい、それから、魔族の奴らが、深緑の魔女と呼ぶ女は・・・28番ササキと魔力反応が一致したと、鑑定士から報告がありました・・・レベル36だそうです。鑑定士は報告後即死」
「なんじゃと、レベル36と言えば、中堅の魔導師ではないか?せんせいは賢者で150を超えておったぞ。高くない。せんせいは奴にやられたというのか?」
・・・解せぬ。解せぬ。一体、どうなっておるのか?
カン!
と何かが伝令兵の兜側面に当たった。
バタン!ダダダダ
階段を滑り落ちていく。もう、伝令兵は立ち上がらない。
「ヒィ、何だ、これは」
気が付くと、光る何かが、この国の王女、ブリトニーの近辺を飛んでいる。伝令兵は、たまたま光る何かに当たったのだ。
ブリトニーの巻き添えを食らった。
☆王城西門前の草原、門よりも500メートル西
「あ~あ、あの兵がカゲになったか?いや、違う。まだ、低い。照星を三下げ!」
「照星を三下げ!了解」
深緑、軍隊ではODと呼ばれる色のポンチョをまとった今年17歳になる女子、佐々木は、迷彩服を着た部下に命じる。
自身の銃の切替えレバーを安全の「ア」に切り替え。銃身を低い位置に置く。
部下に64式自動小銃の銃身先端の照星を、下げさせるためだ。
「三下げ完了」
「よし、下がれ」
ケンタが、戦車と呼んだのは装甲車である。
装甲車の陰から佐々木は狙う。
「吸う・吐く。止める・・・・撃つ」
パン!と銃声が響き。
佐々木は一言、「当たった」とつぶやいた。
「戦闘団長殿、ドローン偵察、城壁門から内側100メートルに、近衛騎士団の隊列があります」
「城壁上の兵、制圧射撃で全滅したと思われます」
「よし。前進、装甲車より前に出るな」
「「「「装甲車の前に出るな」」」
「門200の距離で、城門にカールグスタフ無反動砲を撃つ。砲撃組実施せよ」
「200の距離、カールグスタフ無反動撃つ。了解」
グログログローーーー
装甲車はゆっくり進む。
もう、城壁上からの攻撃はないからだ。
彼ら対勇者戦闘団の装備はほとんどが自衛隊である。
しかし、戦闘団長は黒髪、黒目が特徴の日本人であるが、その他、数十の所属団員は、色とりどりの髪と目の、この世界の住人である。
この戦争の発端は、佐々木たちがこの世界に召喚された一年前に遡る。
最後までお読み頂き有難うございます。