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マリのお家

「即興小説のお題決めたったー」で作られたお題に沿って、

90分→(寝て起きて食って労働)→60分

くらいの時間をかけて書いた

初めての小説になります

よろしくお願いします。

マリは目覚めた。寝ぼけ眼であたりを見回す。

自宅の寝室ではない。サチカの家のベッドとも違う。

壁も床も天井も鼠色の金属で覆われ、

ぶら下がる白熱電球の照明以外には何もない、四角い部屋。

なぜここに?たしか飲み会で沢山お酒を飲んで・・それから先は思い出すことができなかった。

くよくよしてもしょうがない。マリは脱出を決心した。

4つある壁のうちの1つに、直線を見つけた。

近づいて見てみると、深い溝だった。

壁に馴染んでいるが、四角く、人がちょうど通れそうな大きさで、

マリはそれがドアだと直感した。

手で押し、両手で押し、両足で踏ん張って押してみたが、開かない。

ルビーのように輝くマニキュアが塗られた長い爪をかけて引っ張ったが、びくともしない。

隙間からの冷たい空気の流れが指にまとわりつく。

やはり、この先は別の空間に通じている。

直感は確信に変わった。しかし、力ではこのドア(暫定)を開けることができない。

手を腰に、もう一方の手を顎に当てて考える。どうすればこのドアを開けられるか。何をするにもアクティブなマリは歩きながら考え始めた。

8畳程度の部屋を2周半した頃、「リモコンだ!」思わず声に出した。

リモコンが無いかと、もう一度部屋全体を調べてみたが、やはり何もない。

万事休す。恋人のサチカに頼ることを除いては。

マリは持っていたスマホを取り出した。サチカに通話をかける。

「おーい、サチカ?なんか閉じ込められちゃってさ。ちょっと」

「え、マリ大丈夫!?閉じ込められたってどういうこと?」

「わかんない。何も」

「うそ!位置情報だとマリ、海の上って出てる!埼玉湾沖の・・」

「何それ、受ける」

「受けてる場合じゃないよ、早く出ないと。Siriに呼びかけて!パスワード入力って」

「え、ヘイシリ、パスワードを入力」

サチカが迷わず命令したのでマリは不思議に思った。出る方法を知っているのか?

すると、大きな電子音声が響いた。

「パスワードを発音してください」

「マリ!私たちの合言葉だよ!」

「え?えっと・・花吹雪!」

ドアは真下に沈み、道が開けた。外の光が眩しい。

「マリ、ごめんね・・ドローンタクシーが誤動作しちゃったみたい。"マリのお家"じゃなくて、"丸の内"って所に連れてきちゃった、ドローンが勘違いして・・私がちゃんと言い直せばよかったね」

「丸の内・・?全然大丈夫!景色良いし、すごく」

海面の下には、海藻に覆われ損壊した構造物が列を成していた。

その壊れた構造物に、かつて栄華を誇った都市、東京のビル群の面影を見るのが、東京マニア達だ。サチカもその一人だ。

「わたし、丸の内にプラットフォームを買ったんだ。マリが今いる所」

「え!高かったんじゃないの?その・・サチカには。」

「うん。でもわたし、どうしても東京の遺物の水揚げがしたくて。わたしの先祖、漁師だったんだ。漁師って職業が無くなって大分経つけど、同じ血が流れてるせいかな、海に惹かれるんだ」

「ふーん・・」

「って、のんびりしてる場合じゃなかったよね。すぐタクシー手配するね。」

「いや、もう少し海を見ていたい。」

マリはそれからしばらくの間、景色を眺めながら考えにふけった。今日の出来事は単なる手違いではなく、運命的な導きによって引き起こされたのではないか。マリの曽祖父は、かつてのこの地、東京の丸の内に居を構えていた。100年ほどの時を超えて、子孫である自分がこの地に戻ってきたという事実が感慨深く、海に沈んだ構造物が一層愛おしく感じられた。

「おーい、もしもーし!マリ、寝てないよね?」

「あ、サチカ。ここ、プラットフォームにしちゃ何も無さすぎるよね。設備を整えよう。まずは・・表札から。」

「・・・え?」

マリとサチカが同じ苗字になる頃には、この建物を二人の住居にしようと提案したのだ。だが、あまりに唐突すぎたマリの話はサチカに通じなかったようだ。

二人は少し沈黙した。しかし幸せな沈黙だった。広い海の音をマリは聞いていた。サチカはスマホのスピーカーから聞いていた。彼女らが求めるものがある地の大きな響きが彼女らを包み込んでいた。

お読みくださいましてありがとうございます。


ゲームのシナリオを書くのに備えて、

自分が物語を書くスキルがどれくらいか確かめたくて、

また、物語を最後まで書く練習として、

今回の小説を書いてみました。


もしかしたら今後も別の小説を投稿するかもしれません。しないかもしれません。

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