冒険者ギルド
『日本サーバーに参加しました。』
いきなりのことでびっくりしたがどうやら国ごとにサーバーが別れているようだ。言語が違うから当たり前なんだけど全ての国ごとにサーバーが分けられてるとしたらすごいな。
で、ここは一体どこなのかな?街の中の広場のようだけど人が多いな。
周りを観察してみると私と同じように呆然としている人が多数見受けられた。
「こんにちは。あなたも異界人さんですか?」
後ろから急に声をかけられたのでビクッとしてしまった。後ろに振り向くとどうやら女性のようだ。異界人と言っていたので大地人だろう。
ガイド役とかかな?
「ん。ここはどこ?」
「ここはアインのという街です。私は冒険者ギルドに今日からくると予言されていた異界人の案内を頼まれているものです。名をアクアと申します。以後お見知りおきを。」
こっちも自己紹介をしたほうがいいか…苦手なんだけどなぁ
「…シズ。異界人の魔法使い志望。」
「魔法使いならば冒険者ギルドと魔術師ギルドに所属するのがいいでしょう。案内しますがよろしいでしょうか?」
「ん。よろ」
「では行きましょうか」
こんな口調だから舐められてると思ってしまう人が多いのだが幸いこの人はいい人のようだ。
「冒険者ギルドの方が近いので先に冒険者ギルドへ行きますね。」
冒険者ギルドは噴水のある広場と隣接していたのですぐに入れた。それにしても大きいな…
ガチャ
ドアを開けると意外にもキレイでいい雰囲気だった。
「…綺麗だった」
「あはは。前に来た異界人の方もイメージと違うとおっしゃっていたんですけど異界人の方は冒険者ギルドをどのようなイメージで見ているんですかね?」
…私の前に人を案内していた様子はないので前に来た異界人とはベータテストのプレイヤーのことだろう。
「…酒場みたいな雰囲気だと思ってた。」
「いや〜ギルドにはお酒を飲めない方なども所属しているしそういうお店は別になっていますね〜。」
冒険者ギルドに入ったらアクアの態度が軟化した。やっぱり緊張していたのかな。
「冒険者ギルドには誰でも所属できるし一番信頼できる身分証明にもなるので登録したほうがいいよ。こう見えて私は冒険者の中でも結構強いほうなんだよ!」
「…すごい」
「あはは。自慢じゃないけどね〜。シズのこと気に入ったから助けてほしくなったらいつでも呼んでくれてもいいよ!」
ついに敬語じゃなくなった。そっちの方が話しやすくていいけどね。やっぱりテンプレのようにランクみたいなのもあるのかなー。
『大地人:アクアからフレンド申請が届いています。承認しますか?YES:NO』
もちろんYESだ。
『アクアのフレンド申請を承認しました。』
『異界人で初めて大地人とフレンドになりました。ランダムでスキルが与えられます。』
『スキル:光魔法を習得しました。』
おぉう、情報量が多いな。
だけど、光魔法って初期スキルの中に入ってなかったよね?使えそうなスキルで良かったー。
でもアクアは会って間もないのに私のどこを気に入ったのだろうか。
「じゃあ早速登録しに行こっか!」
私達は空いている受け付けのところに向かった。
「すみまーん。この子の冒険者登録をお願いしまーす」
受け付けの人はガタイのいい強面のおじさんだった。
「おう。アクアじゃないか。ということはその子は異界人かい?」
「…ん。そう」
「じゃあ冒険者の説明をするぞ。まず冒険者にはランクがあって下からG、F、E、D、C、B、A、S、SS、SSS、X、Y、Zって言う順番で上がっていくんだ。まぁ強さの指標みたいなもんだな。嬢ちゃんはGからだ。そしてSからは実力が段違いに上がる。そこのアクアはSランクだな。」
「あ、ちょっと〜バラさないでよ〜!ビックリさせようと思ったのに!」
やはりランクみたいなのはあったね。そしてどうやら私は大物と一緒に行動していたらしい。
「話を続けるぞ。討伐任務が受けられるのはFランクからでGランクでは薬草採取や街の清掃などの任務を受けてもらう。まぁお試し期間のようなものだからよっぽど酷くない限り3つぐらい依頼をこなせばFランクに上がるぜ?後はパーティについての説明だな。パーティは最大5人まで組めて連携を取れればソロよりも大きなアドバンテージとなるぜ。まぁ嬢ちゃんは魔法使い志望なんだろ?ソロはオススメしないな。あとパーティ限定で受けられる依頼なんてのもあるから将来的には組んだほうがいいな。」
私はパーティを組むつもりはあまりないがパーティ限定というのがあるのか。どうしよう…
「パーティには固定パーティと臨時パーティってのがあってな、固定パーティはそいつらだけで殆どの依頼をこなしたり冒険するパーティだ。利点は連携が取りやすいな。逆にデメリットは小回りが効かないことだな。パーティメンバーが一人でもいないときついんだ。」
「臨時パーティは依頼が始まる前に組んで終わったら解除されるってやつだな。利点はソロでもその場で組んでパーティ限定の依頼などを行えることだ。デメリットは連携が取りにくいことだな。どちらもメリットとデメリットがあるからじっくり検討してみてくれ。」
ほう、どうや心配は杞憂だったようだ。その臨時パーティを組めれば大丈夫そうだな。
「よし、取り敢えず説明は終わりだこの水晶に触れてくれ。これで冒険者証が発行できる。」
私は言われるままに水晶に触れると少し光って幾何学模様が浮き上がった。
「ほう。この模様は珍しいな。ほれ、これが冒険者証だ。あと俺の名前はギークだ。期待してるぞ!」
鉄製の小さなカードを放られそれを手に取ると私の情報が書かれていた。
『ギークからフレンド申請が届いています。承認しますか?YES:NO』
YES
『ギークのフレンド申請を承認しました。』
「アクアが連れてきたやつだからな、ツテを作っておいたほうがいいだろう?」
【フレンドリスト】
・アクア
・ギーク(NEW)
おぉ増えてる。
私達は魔術師ギルドにも入るため、いったん依頼を受けずにそのまま冒険者ギルドを出た。
それにしても絡まれるテンプレはなかったなぁー。あっ、Sランクが隣にいたらそりゃ絡まれるわけ無いか!
アクアがシズを気に入った理由は美少女で口数が少なかったためです。