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ある男の物語

重ね着した男

作者: REIZO

男の物語は、ごく単純なものだった。

むしろ、これを物語と呼んで良いものか

怪しかった。


トレーニングを終え、ジム用のシャツから

二枚重ね着したTシャツに着替えようと

袖を通したところで

男は、違和感を感じた。

重ね着した感覚が無かった。

シャツの首から中を覗くと

確かに一枚しか無かった。


ロッカーの中を見たが

Tシャツらしき物は無かった。


重ね着したTシャツが一枚

忽然と姿を消した。

男は、かつて無い経験に戸惑いながら

一旦シャツを脱ごうと裾をまくり上げた所で

重ね着していたもう一枚のシャツが

ポトリと床に落ちた。


男は、推理した。

恐らく重ね着したTシャツの一枚目と

二枚目の間に体を入れたため

中のシャツは、男の体を包む事なく

只、背中にへばり付いていただけだったのだと。


男は、謎を解いた探偵の気分を味わった後

もう一度自分に問いかけた。


これを本当に物語と呼んで良いのか?と。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 恐ろしくシュールで素晴らしいです。いや、素晴らしいと言っていいのか。失礼な言い方かもしれませんが、素晴らしくないところが素晴らしい。 もしこの話が読むのに数時間かかる長編だったらブチ切れる…
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