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魔法少女

 

 最初はまるで未確認生命体を見るような目で私を見ていたジェネジオだけど、無事に魔法のステッキが伝わってよかったわ。

 言葉で通じないときは、絵で伝える。

 これが私にはいいみたいね。

 動作で伝えようとしても、だんだん残念な子を見るような目になっていたものね。

 絵で伝えてもあまり変わらなかったけれど。


 魔法のステッキが乙女の夢だってわからないのも仕方ないわ。

 ジェネジオは乙女ではなくおじさんだもの。

 だけどシアラは絵を見てすごく顔を輝かせていたから、やっぱり魔法のステッキは世界共通、乙女の憧れよね。


 あとは、変身のときのポーズも考えていたほうがいいかしら。

 って、変身はできなかったわ。

 せっかくこの世界には魔法があるのに、変身も瞬間移動も空を飛ぶこともできないのよね。

 それって魔法の意味なくない?


 そうだわ。

 なければ、生み出せばいいのよ。

 変身魔法や瞬間移動、浮遊魔法も頑張ればできるかもしれない。

 念じれば通ずって言うし……あら、窮すれば通ず、だったかしら。


 まあいいわ。

 とにかく箒に跨って念じてみれば意外と飛べたりするかもしれないもの。

 でも私よりも魔力実力ともにあるフェスタ先生のほうが可能性もあるわね。

 一度試してもらうのもいいかも。


 万が一、飛びすぎて制御できなくなったら困るから、お部屋の中での実験がいいわよね。

 よし、今度チェーリオお兄様の陣中見舞いにお邪魔したときにお願いしましょう。


 だけど嫌な予感がするから、殿下もお誘いしましょう。

 フェスタ先生も王太子殿下を前にすれば、その婚約者である私にも遠慮するはずだわ。

 ふふふ。

 策士・ファラーラ。殿下をもって、ブルーノ・フェスタを制するのよ!


 思い立ったら吉日。

 乙女の必須アイテムである便箋もあるし、殿下へお誘いの手紙は今から書けばいいわよね。

 殿下の都合のいい休日をお伺いして、それからフェスタ先生に伝言。



「親愛なるエヴェラルド殿下……そうか。婚約者と仲が良いのはいいことだが、授業中にすることではないな、ファッジン君」

「はい、申し訳ありませんでした」



 ここは素直に謝罪するのが一番。

 たとえ授業が退屈だったとしても、口にしてはダメ。

 フェスタ先生はすぐに謝罪した私にちょっと驚いたみたいだったけど、仕方ないなって感じで教壇に戻られた。


 それにしても以前の私は教師に叱られるなんてことなかったのに、優等生ファラーラの名誉に傷がつくわ。

 まあ、今もフェスタ先生以外には何も言われないけど。

 そもそも悪夢の中でフェスタ先生の記憶がないのよね。


 それってやっぱり私が謙虚で可愛い生徒に変わったから?

 以前の私には叱る気持ちも起きなかったのかも。

 クラスの子たちとも仲良くなれそうだし、やっぱりフェスタ先生には感謝の気持ちを表したいわ。


 この前のキラキラうちわは断られてしまったけれど、今度のは喜んでくれるかしら。

 ジェネジオに注文したときには難しそうな顔をしていたけれど、できないことはないって言っていたから大丈夫よね。

 お兄様へ会いにいくときにあと必要なのは……。

 あ、そうそう。箒も一応用意しておかないと。

 フェスタ先生のあの別邸にあるとは限らないもの。


 新品でいいのかしら。

 それとも使い古したほうが魔力が宿ったりするのかも。

 待って。そもそもこの世界に箒ってあるの?

 掃除をしているところを見たことがないからわからないわ。


 シアラは浄化魔法を扱えるけれど、ほとんどの使用人は魔法と言えるほどのものは扱えないはず。

 ということは、どうやって掃除をしているのかしら。

 蝶子の世界では機械を使っていて、映画や絵本で見たような箒を見たことがないわ。



「はい、先生。質問してもいいですか?」

「どうぞ」

「箒って、ありますか?」

「すまない、ファッジン君。その質問の意味が私には理解できないんだが、授業内容である〝魔力を高める三つの要素〟とどういった関係があるのかな?」

「今のところ関係はありません。ただ存在が気になっただけです」

「……少し整理させてくれ。要するに君は、掃除道具の箒が気になると?」

「掃除道具ということはやっぱりあるんですね。安心しました」

「それはよかった。それで、その質問はこの授業に必要ではないな?」

「先生、初めから必要ないと否定していては前へ進むことはできません。魔力を高めるということで素晴らしい案を思いつきました。ありがとうございます」

「そうか。それでは、その〝素晴らしい案〟が私と関係ないことを切に願うよ」



 先生はいつもより迫力のある笑顔を浮かべられてから授業に戻ったけれど、残念ながらその願いは叶わないと思うわ。

 だって私、新しい発見をしたかもしれないもの。


 魔力を高める魔法の杖はただの棒切れではなく、魔力の宿るナントカって木から削られているって聞いたことがあるのよね。

 要するに素材の問題。

 ということは、そのナントカっていう木から作った箒なら空も飛べるはず!


 帰ったら大急ぎでジェネジオに注文しないとね。

 お金は惜しまないわ。





皆様いつもありがとうございます。

次話より隔日更新にさせていただきますので、次は明後日の更新です。

よろしくお願いします(*´∀`*)ノ

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いの一言につきます。 これ以上の表現が思いつきません。 [気になる点] マスクと腹筋がなければ、これ以上外で読めない点。 声を出して笑いそうになるので中々前へ読み進められない点。 この…
[良い点] 大人二人がファラーラちゃんに振り回されてるのとても楽しいですねwwwめっちゃ笑いましたw 考えてることが方向的に間違ってないと言うかそれなりに結果が出そうなところがまたタチが悪くて最高です…
[一言] ふは♪小さい愛菜ちゃんが音楽流れてると踊り出してて、大きい愛菜ちゃんが(モノマネされてる愛菜ちゃん?)同居している感じww 「愛菜ちゃんが言わない台詞・・・クビよ。」 気ままに?気負わずで…
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