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ダンジョンカード  作者: 喜右衛門
三章 不思議が日常
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委員長のカード


 町の中を散策して暫くたった。

 未だに何も見つかっていない、カードも魔物すらも。

 だけど、町の奥に行くほどに森の侵食の影響も少なくなっている。

 今のこの辺りは、草も木もかなり減っていた。

 たちこめる靄は相変わらずなので、そのせいで光が薄いのが影響しているのか?

 草木よりも人工物の方が多く見られる、ただし元人工物だが。


 そして、何軒目かの家を覗く。

 屋根も残り、壁もしっかりしているそんな建物だ。

 入り口らしきものをくぐると中は床と、釜戸までが残っていた。

 石で組み上げられた薪をくべる形のやつだ。

 初めて人の暮らしが見えるモノがソコに在った。

 奥には部屋も見付けられる。

 そこに猫と鎧が覗きに入った。

 鎧のだすカシャンカシャンと足音が響く。

 

 「ニヤ」

 猫の声だ、ナニかを見付けたのか呼んでいる様だ。

 

 何事かと見に行けば、ソコに少し大きな壺が在った。

 

 中を覗く委員長。

 「何も無いわね」

 

 「ゲームとかだと、割ってみるんだけどね」

 笑いながら。

 「でも、中身が空なら割ってもしょうがないよね」

 の、俺の後半部分を聞きもせずに、そこらの石を拾い投げ付けていた。


 ガッシャン。


 割れた壺から突然に虫が飛び出す。

 「キャ!」

 それに驚いた委員長が尻餅だ。


 「そんなもんだよね」

 無いモノは無いのだ。

 「ソレよりも魔物を探した方が早くないか?」

 いい加減、退屈してきた。


 「その魔物も居ないじゃないの」

 自分の尻をはたいて恨み節。


 カシャン、カシャン。


 「鎧君、もう探さなくても良いよ……もっと奥に行こう」

 と、発した俺の袖をその鎧君が引っ張る。

 さっきから動いてないよと、首を振りつつ。


 「……?」

 俺も鎧君を見て首を傾げた。

 「今、歩く音がしなかった?」


 「気のせいじゃない?」

 スタスタと歩き始める。

 「もう一軒だけ探さして」


 まだ、諦めて無いのか……。


 カシャン、カシャン。

 後ろから着いてくる鎧君が歩く度に音がする。

 さっきのはヤハリ、気のせいか。 


 カシャン、カ、カシャン。

 カシャ、カ、カ、カシャン。

 ? リズムが悪いなと、振り向けば普通に歩いている。

 これも気のせいか?


 「ここで最後にするわ」

 委員長の声に、見れば今までで一番大きな家、2階建てだ。

 しかも、壊れ具合もそんなに酷くない。

 2階の床が石造りなのが他と違って頑丈に出来ていたのかもしれない。

 ソコに、やはり躊躇せずに入り込む委員長。


 直ぐに石窯、さっきと同じ造りだ、1階の入り口横は台所なのがこの街の標準の様だ。

 ただ、さっきとは違うのはそこかしこに壺が並んでいる。

 

 そして、委員長。

 手当たり次第に割り始めた。

 今度は虫に驚かされない様に少し距離を開けて、拾った石を投げ付ける。


 ガッシャン、ガッシャン。

 カシャン。

 ガッシャン。

 カ、カ、カシャン。

 ガッシャン。


 「なんか……妙な音が混じってない?」


 「鎧の歩く音でしょ」


 見れば、首を振る鎧君。

 「違うようだよ」


 「うるさいわね邪魔しないで」

 と、幾つか目の壺を割ったときに、ボヤっと煙が上がった。

 「あ! 出た!」

 飛び付く委員長。

 「触っちゃ駄目よ、私のだからね」

 素早く拾い、自分の額にくっつけた。

 ソレがナニかも確認しないで。


 チラッと見えたその絵。

 甲冑を見に着けた、ロバに乗ったおじいさんと、その後ろには大きな風車。

 ……。

 俺の知っているそのままなら、これはハズレのカードだと思う。

 たぶん、あれだ。


 が、もう遅い。

 カードは煙に為り。

 そして、委員長の体が少しだけ光った。


 だが、ソレだけだった。

 ナニかが出てきたわけでもなく。

 委員長自身にナニかの変化が有ったわけでも無さそうだし。

 その本人も首を傾げている。


 カシャン、カシャン。

 俺の袖を引く鎧君。


 それに頷き。

 「ハズレだね」

 小声で。


 カシャン、カシャン。

 首を振る鎧君。


 それを見ていた委員長。

 「ナニよ、言いたい事が有るならハッキリと言いなさいよ」

 キッと、睨む。


 カシャン。

 俺の袖を引く鎧君。


 「そんな為りなんだから本当は喋れるんでしょ!」


 それはチョッと無茶な理屈だ、人形に喋れってのは無理だろう。


 が、委員長は続ける。

 「あんたもよ!」

 今度は猫を指差し。

 「二本足で歩けて、何で喋れないのよ!」


 俺の袖を引く鎧君。

 「イヤ……普通に考えれば……」

 と、俺の言葉を遮って、袖を引く。


 「あの、聞いてくれます?」

 鎧君の発言だった。

 「喋れたのか!」


 「はい、でもそんな事よりも」


 「何で今まで黙ってた?」


 「おい! 聞いてやれよ」

 今度は猫だ。

 

 「お前もか!」


 「だから喋れるに決まってるじゃない! そう言ってるでしょ」

 委員長のヒステリックな叫びにもめげずに喋り続けようとする鎧君。


 「だから、その」


 「お前も、ハッキリと喋れよ」

 猫も少しイラつき気味だ。


 「魔物に囲まれています」

 叫んだ鎧君。

 「家の外に沢山居ます」


 「え?」

 

 「バカ、そんなのもっと早くに言えよ」

 叫んだ猫が入り口に走った。

 

 「ズット、教えようとしてたのに」


 さっきから袖を引っ張ってたのはソレか!


 「骸骨が歩いてる……」

 猫の報告。


 「ソレはスケルトンですね」

 今までで黙っていたランプちゃん、魔物の名前は私の担当だから譲らないと、慌てて割り込んでくる。

 そして、何時ものごとくに得意気だ。


 カシャン。

 入り口からスケルトンが顔を覗かせた。


 すかさず猫が剣を突く……だが。

 スカッと、肋骨の間をすり抜けた。


 その骸骨、剣と盾を装備している。

 その盾で猫を弾き飛ばして、家の中に入ってきた。

 幸い入り口はそんなに大きく無い、壁もしっかりしている。

 一斉には入って来れないのか一体づつだ。

 

 そして、スケルトンが倒れた猫に剣を振り立てた。

 カン!

 スケルトンと猫の間に走り入った鎧君の肩に剣が止まる。


 「骸骨の頭よ!」

 俺の横に来た委員長が叫ぶ。


 頷く間も惜しんで、パチンコを構え銀玉でその頭を撃ち抜いた。

 パン!

 弾けて粉々に為る頭蓋骨。

 と、同時にその場に崩れて落ちる。


 「鎧! 剣と盾を拾って!」

 また、叫ぶ委員長。


 「いや、煙に為って消えるのでは?」

 その疑問の通りに煙となる骸骨。

 だが、鎧の取った剣と盾は何故か残った。


 「ほら、ヤッパリ」

 何がヤッパリなのかはわからないが、しかし思いがけずに武器は手に入った。


 「鎧君、ソレは使えるか?」


 それに返事返す代わりに、次に入ってきたスケルトンの頭蓋骨を叩き割って見せた。


 「使えるに決まってるじゃないの、鎧なのよ武器は剣と盾でしょ」

 その自信は何処からだ?

 何処にも根拠は無いと思うのだが……。

 しかし実際に使いこなしているのだから、突っ込み様もない。

 

 「とにかく、入って来ない様にソコで押さえておいて」

 そう指示を出し新たにパチンコを構える。


 「これ、使えるわよね」

 そう言いながら、猫にオモチャの弓を渡す委員長。


 たとえ使えたとしても、オモチャの弓をどうする。

 ソレが意味を出すのは俺の威力100でないと。


 が、弓をつがえた猫。

 次に入ってきたスケルトンの頭蓋を撃ち抜いた。


 「何で!」


 「不思議の猫だもの、オモチャも本物に為るのよ!」


 絶対に無茶苦茶だ。

 さっきから何でもかんでも委員長の言うとおりになってる。

 思い込み、そのままだ!

 あれ?

 さっきのカード……たぶんドンキホーテ……。

 風車をドラゴンと思い込んだ爺さんの話。

 ……。

 もしかして、あのカード……思い込んだ事が本当になるカード?

 そんなバカな!

 でも、さっきからの事を考えれば……。

 「イヤイヤそれは……チートすぎだ!」


 「なにブツブツ言ってるの! あんたも撃ちなさいよ」

 俺の肩越しに指を差し。

 「また、入ってくるじゃないの!」

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