プロローグ
皆さん初めまして、柘榴矢薫です。本サイトでは初投稿となります。
今回は、数年前からざっくりとした設定と部分部分のストーリーを考えていた物語を、一部修正して執筆させていただきます。
正直、R指定は設定しようか迷いましたが、時々暴力的なシーンがあるので念のため設定しておきました。グロ描写はほとんどありません。
楽しんでいただけたら幸いです!
あの驚くべき光景は、今でも覚えている。
目の前に、突如現れた巨大な怪物。
夜の陰に包まれた、人間の背をはるかに越えたそれは、ゆっくりと、大きな歩幅でこちらに向かって前進した。
しかし隣にいた彼女は、怪物から逃げるどころか、勇敢にも、怪物のほうに向きなおった。
するとあたりは突然光に包まれ、視界がくらんだ。
――そして次に見たのは。
風になびく金色のサイドテール。淡いピンク色を基調とした、大きなリボンが腰で揺らめくワンピース。
そう、彼女は魔法少女になったのだ。
白いステッキを構え、怪物のほうへと彼女は駆け出した。
ジーンズのポケットから、白く透き通って輝く石を取り出し、雲一つない、澄んだ青空にかざした。
爽やかな風が、蒸し暑い空気と、濡れた頬をそっと撫でる。
やはり、思い出さずにはいられない。
······まさかおまえがな、奏。