眠るひとたち―隠れ家の洞窟と黒羽の小屋―
追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
「私は篝火の団、副長ミリア。エレアノーレから話は聞いてるけど、深くは問わないでおくわ。今は子供の手だって借りたい状況だから。そちらは50名ほどの兵力が残っているのよね?」
「はい。状況が芳しくないことは聞いています。我々はどちらに向かえばよろしいでしょうか?」
佳宏は2人の話に耳を傾けながら、砦内を精神探知により探っていた。
探知の結果はほぼ全員が人間、ただし目の前のミリアは騎士結晶の担い手である。ダナエがミリアから行き先を聞いたタイミングで、問いを投げる。
「俺からも、二つ聞いていいでしょうか?」
「…何?」
「団員は砦にいる人たちで全てですか?それと団長はこちらに?」
「ここにいるのは我が団に3つある部隊の一つ。団長はこちらにはいない」
ミリアは愛想のない口調で言った。事実と仮定するなら、ダナエ達より大きい組織だ。
「…ありがとうございます」
佳宏は頭を下げる。まもなくミリアが席を立ち、佳宏達もダナエと共に部屋を出ていく。
「あの貧乏くささじゃ、報酬は期待できそうにねぇな。若いのが多いから売れば多少作れるけど」
「それまで管理するの嫌なんだけど。ないものはないでイーじゃん。多分、面白くなると思うよ」
「根拠は?」
「神の恩寵を受けた聖騎士の力を受け継ぐ、反体制組織。事と次第によっちゃあ、大逆転が見られるかも」
砦を出てしばらく経ってから、イレーネが言った。
佳宏も言わんとすることはわかる。略奪や強姦を繰り返すホフマンに敵意を抱いているようだが、先立つものが無くては活動できないだろう。
実はスポンサーでもついているのだろうか?
(根掘り葉掘り聞いても教えてくんないだろうしなー)
入団するなら話は別だが、彼らの事情に深入りする気は無い。
金策は他で済ませる事にして、佳宏一行はエレアノーレによる案内のもと、彼らの3番隊が留まっている洞窟に向かう。
ダナエにエレアノーレを抱えさせ、3人は夜のエレミア上空を進む。
(乗り物欲しいな)
イレーネと2人旅ならともかく、最近はダナエを連れ歩くようになった。
現在はエレアノーレ含めて4人。飛んだり歩いたり、スピードに不満は無いが同行者がいるなら乗り物を持っておく方がいい。
馬でも買おうか?乗らない間は黒翼にしまうとはいえ、走らせるなら餌やりや世話が必要になるだろう。
日が昇る前に着いた3番隊アジトは、20mほどの高さの岩肌に口を開けている洞窟。
快適さは砦や宿と比べるまでもないが、100人が手足を伸ばして寝そべることが出来るほど広い。
雨風を凌ぎ、人目を忍ぶには十分だ。手前でエレアノーレを降ろすと、佳宏達は洞窟から離れていく。
「ちょっと!皆に紹介したいんだけど…」
「エレアノーレさんが話を通しておいてくれれば問題ないでしょ」
「今夜初めて顔合わせる奴らの中で寝れるわけねーだろ?」
「お二人とも警戒なさっているようですし、無理に引き合わせる必要はないかと。必要な時に、必要な働きをしますから、どうぞご心配なく」
3人はめいめい、意見を述べると夜空の向こうに消えた。
洞窟の中で休むなど、野宿と変わりがない。雨風を凌ぐ手段は用意できるし、なにより反体制のゴロツキに囲まれて眠れるわけがない―佳宏サイドは女所帯―のだ。
一行は20分ほど飛行し、山の中腹にみすぼらしい小屋を発見。湿った外壁が、長い間人の手が入っていない事を窺わせるが、洞窟よりはマシ。
佳宏とダナエが休み、イレーネが番をする。
佳宏は思いついたように広げた黒翼を丸め、ベッドのように形状を変化させる。羽は綿を入れた布のように柔らかく、のしかかった佳宏の身体を優しく押し返す。
「おぉ、いいじゃん」
「素敵なこと考えますね!ご一緒しても?」
「え?…もちろん、いいっすよ~」
ダナエが隣に来た。
彼女の体温を感じ、呼吸音を耳にすると、思わず鼓動が早まる。
しかし落ち着かない心持のまま、目を閉じて数分もすると羽が掛布団のように2人を包む。ミノムシのような姿になった佳宏が寝息を立て始める。
面白くなさそうに黒羽に包まれている2人を見ていたイレーネは、動く影に気づいた。
目を凝らしていると、イタチに似た白く細長い動物が黒羽の繭の陰から、ひょっこりと顔を出した。
近くに住む動物とも思えない、魔物か?剣の柄に手をかけるイレーネだったが、イタチは警戒する素振りを見せず、ゆったりとした足取りでイレーネの前まで歩いてきた。
おもむろに掴むが、か細い声で鳴くだけで抵抗はしない。
手に取り矯めつ眇めつして見るが、正体の手掛かりはつかめない。
暗示の魔眼を発動して、佳宏を噛みつくよう命令してみるが、命令を受け付けない。
「やめた。下らん…」
白けたイレーネは小動物を放り出し、出入口に向かう。
視界の端に映る黒、彼女を取り巻くように迫る黒羽に気づいたイレーネは音を立てて扉を開ける。
ドアを吹き飛ばし、小屋から脱出。振り返った先で、ドアが嵌っていた木枠の内側が黒一色に染まった――2人は黒羽に呑み込まれたというのか。
イレーネは恐る恐る近づき、指を突っ込んでみる。黒羽は抵抗なく彼女を受け入れる。
指を引き抜いたイレーネはマクリルを目指して駆け出した。
用事があるのではなく、この時間でもだれか歩いているかもしれないと思っただけだ。
数十分で市街まで駆け抜けた彼女の期待に反し、町は既に寝静まっている。通りで喚く酔漢の姿が目に入るが、夜盗や夜警の姿は見当たらない。
イレーネがよく知る、退屈な夜の光景だ。
ありがとうございました。




