篝火の団アジトを訪ねよう
放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
更に日が経ち、3日後の昼間に佳宏とダナエはミーシェルグと呼ばれる村に到着。
彼らは遂にトット領に入った。宿場町が形成されるほど余所者に寛容な社会とはいえ、一般人が知り合いでもない者を泊める事はまずない。
巡礼なら修道院、騎士なら城館といった具合に伝手を頼ることもできようが、佳宏達には無理な相談だ。金を幾らか掴ませることも佳宏は覚悟する。
「私、この村に知人がいるので泊めてもらえるかもしれませんよ」
「え!」
佳宏達が声を上げたとき、女が一人駆け寄ってきた。
「ダナエ!あなた……双剣騎士団のダナエでしょう?」
後ろ髪をアップにした、若い女だ。
鼻から両頬にかけて、そばかすが広がっている。口ぶりから察するにダナエの知り合いか?佳宏が同行の女に顔を向ける。
「篝火の団の…エレアノーレさんですね!覚えています」
知り合いだ!
佳宏の胸中に焦りと倦怠感が広がる。面倒くさい事になりそうな予感がする。双剣騎士団が西ダーナで活動していたことを、佳宏はいまさら思い出した。
佳宏はハラハラしながら、ダナエとエレアノーレの会話に耳をそばだてる。
間に割って入りたいが、藪をつついて蛇を出す結果になるかもしれないと思うと躊躇してしまう。
口を挟むと、怪しまれそうだ。ダナエに任せていて平気だろうか?
「貴方たち、最近見かけなかったけど無事だったの?」
エレアノーレは人家の疎らな方に2人を引っ張る。彼女は棺を背負っている佳宏に気づくと、探るような視線を向けた。
「こっちの男は?初めて見る顔だけど、それにあなた一人?」
「こちらは我々の新しいリーダー、ヨシヒロ様です」
「リーダー…この人、ダーナの人間じゃないでしょう?」
佳宏は緊張を和らげるべく、深く長いリズムで呼吸する。
言い繕うにしてもあれこれ突っ込んだ質問をされたらボロが出るし、組織を半壊させたなどと言ったら警戒されてしまう。
これ、八方塞がりじゃない?開き直った佳宏は冷静さを保つことに注力する、新しい身体がもたらす万能感が有り難かった。
「出自は知りません。ヨシヒロ様の前に屈服した騎士団は半数は、ヨシヒロ様に素晴らしい力と新しい肉体を与えられたのです」
(ちょっと……その紹介はどう考えても大丈夫じゃない)
佳宏が聞いていても、頭が痛くなってくるような発言。
陶酔した声色は、神憑った巫女のようだ。案の定、エレアノーレは激しい混乱に襲われたらしい。
「ちょっと、待って…いろいろ言いたいことあるけど。ねぇ、双剣騎士団はどうなったの?」
「半分ほどに人員は減りましたが、存続していますよ」
「存続?噂すら聞かなかったけど」
「それはそうでしょう。佳宏様が貴族打倒を目指していない以上、我々も以前の方針を掲げているわけにはいきません」
エレアノーレが厳しい目で佳宏を見る。
佳宏にとって、都合の悪い想像を逞しくしているのだろう。佳宏から見ても、今のダナエは暗示か洗脳でも受けているようにしか見えないのだから。
「ところで、何か御用ですか?」
「…!助勢を頼みたい、んだけど」
「詳しく聞かせて」
咎めるように見つめるエレアノーレは近況を説明する。
戦役勃発前から古参の騎士ホフマンが略奪や強姦を繰り返し、団長ベルトルトとの関係を悪化させていた。
一部の団員と共に脱走した彼に協調する団員は徐々に増え、東ダーナで衝突が起きるようになった時点で1/3を超えていた。
ベルトルトは騎士団の連合軍のほか、団の風評を守るべく、ホフマンの追跡を並行して進めている。貴族による搾取の打破を目指している彼女らからすると、ホフマンの行為は目に余るものらしい。
「貴族どもの攻勢が激しくなっていて、こっちも他の組織と連携して対抗することになったの。それで団員があちこちに声をかけて回ってるときに、貴方たちと出会ったのだけど…」
エレアノーレはそこで言葉を切った。
交流があったらしい組織に助力を乞おうとしたら、妙な日本人に乗っ取られているとあれば、それも仕方ない。
佳宏はやや考えてから、引き受けることにした。
エレアノーレは目を瞠ったが、力を貸してくれるらしいと理解すると頭を下げた。
無論、佳宏は彼らの徒党に加わりたいわけではない。西ダーナの情報が欲しいのだ。篝火の団と共に貴族たちと戦うがてら、怪しまれない範囲で情報を引き出す。
情報を絞り終わったら、さっさと手を引けばいい。
(相手の戦力について確認しないとなー…あんまり強い奴がいないといいけど)
2人はエレアノーレの案内に従って、エレミア地方北東端の砦に足を運ぶ。
林に隠していた馬を駆る彼女に、難なく並走する佳宏とダナエに大口を開けて驚いたエレアノーレだったが、時間がかからないのは好都合。
佳宏達とエレアノーレは、日暮れ間もない頃に篝火の団のアジトに到着。
途中、佳宏は2人から外れる。
エレアノーレは急いでいた為、気づかない。佳宏は日没を確認すると、イレーネの体を棺から引き出そうと蓋を開ける。
蓋を開けてすぐ、彼女は目を覚ました。佳宏はさっそく、エレアノーレから聞いた内容、彼女らと合流することにした事、これから篝火の団のアジトに向かう事を伝える。
「アタシも連れてくのか?」
「そのつもりだけど…いや?」
「うんにゃ……じゃあ、行くか」
佳宏達が合流したのは、ダナエとエレアノーレが空堀を渡ろうとした頃だった。
その頃には佳宏が姿を消したことに気づいていたが、ダナエが必ず追いつくの一点張りだった為、先行したのだ。
文字通り突風のような速度で追いついた佳宏が連れていた女に、エレアノーレは警戒の視線を向ける。
「本当に来た…そっちの女は?」
「斥候のイレーネちゃんです!」
「よろしく☆そんなに怖い顔しなーいで、仲良くしよ?」
胡散臭そうな顔のエレアノーレは、佳宏が棺を背負っていないことに気づく。
「貴方、棺はどうしたの?」
「魔法でしまった。ほら、早く行こうよ」
「あ、ちょっと……」
アジトとして使っている砦は、山の峠に建てられている小さなものだ。
中には80名ほどの男女が潜んでおり、彼らはエレアノーレに先導される佳宏達を怪訝な顔で見送った。
佳宏一行は砦の一室に通され、そこでしばし待たされた後、長髪の若い女と顔を合わせた。太い眉毛とすっと通った鼻筋が、彼女を勝気に見せている。
茶色の髪は肩にかかるくらいまで伸ばしており、戦場では邪魔にならないかと佳宏は思ったが口には出さなかった。
ありがとうございました。




