バンド要塞蹂躙、イレーネの血の魔術
追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
黒犬は成人男性を丸のみにできるほど大きい。
甲冑をもろとも音を立てて咀嚼する巨体に、義憤に囚われた兵士が槍や剣を突き立てるが痛痒にもなっていないようだ。
イレーネの剣が奔らせると、小振りな刃が頭蓋を貫通し、脳髄をかき回す。腕を伸ばしきった一瞬に反応し、大柄な兵士が組み付く。
「おい、触んじゃねえよ!気持ち悪い!」
イレーネが声を荒げると、破裂するように突き出た鹿の角に貫かれて絶命。
蹴りを受けた兵士の背中から、シェイクされた腸が噴き出す。
イレーネは華奢だが、打撃一つで命中部位が爆ぜたように吹き飛ぶ。
佳宏はヤツデの戦斧を小枝のように振り回し、数を減らしていくが彼らの勢いが弱まる気配はない。
王子の無事は把握しているので、佳宏に焦りはない。害獣を駆除する業者のように守備隊を相手取る。
佳宏とイレーネは正面入口から中庭に抜ける。
2人は第二兵舎のワイン貯蔵庫を侵入すると、ワインをストックした大きな樽を3つ発見。
無造作に選び出して黒翼に収納。第二兵舎を抜け、突風のように再び屋外に出る。
彼らを見るや相変わらずの勢いで押し寄せてくる兵士達が蹴散らしている途中、不意に退いた。
「なんだ、もう降参か!?つ、まんねぇぞ!!」
囃すイレーネは猪のように腰の引けた兵士に側面をとり、頭を掴んで振り回す。
二回転もすると、脛骨で内出血が起き、振り回された兵士はまもなく息を引き取った。
調子のよさそうな相方とは裏腹に、佳宏は不吉な予感を覚える。
要塞に留まっている兵士の数はまだ数えきれないほど。以前に似たような状況に陥らなかっただろうか?
思い出せなかったが、戦略シュミレーションゲームの記憶が浮かび上がってきた。
(遠距離攻撃か!!)
佳宏はイレーネをひょいと抱え、縮地によって離脱。
彼らの背後に麻痺の呪詛、周囲に埋め火の魔法陣が展開される。
前者は完全に回避したが、後者は命中。地面に足をつけた一瞬に反応し、爆発するも2人は無事だ。
高速で駆けていたので、起爆した瞬間にはもう爆風の範囲から抜け出しているのだ。
「魔法使いか!?」
「みたいだね。建物に隠れてるのがそうじゃない?」
佳宏は魔法陣の範囲外でイレーネを降ろすと、敵の精神反応目指して駆けだそうと足を向ける。
イレーネは佳宏を待つことなく、潜んでいる兵士を始末することにした。彼女に感情を探知する能力は無いが、夜闇に意識を広げれば生物の位置を把握することは可能だ。
暗示の魔眼や怪力、動物への変化とは別に、イレーネは血液を媒介にした技を幾つか習得している。
身を隠しながら歩兵部隊を援護していた魔法使いは、不意に腐臭を嗅いだ。
思わず咳き込んでしまうほどの鉄錆めいた、血の匂い。直後に全身に激しい痛み――あらゆる箇所から血液が噴き出す。
全身を通る血管が裂け、噴き出す血液が骨を断ち、内臓や筋肉が穿たれた。
「あれ!?死んだ」
佳宏が駆け付けた頃には、既に事は終わっていた。首をひねりつつイレーネのもとに戻り、見てきたものについて口にする。
「アタシがやったんだよ…」
ふぅっとイレーネが重い息を吐いた。
時間が急速に経過したように全身が疼き、口喝がしきりに身体の飢えをイレーネに訴える。
佳宏は視線が交わった時、イレーネが飢えている事を悟ると、空白地帯となっている間に血を飲むようイレーネに首筋を差し出す。
佳宏はオルバン一行の面倒を分身に任せ、イレーネと要塞を探索する。
第一兵舎にて丈夫なテーブルと椅子2脚を入手するも、目ぼしい物品は見当たらない。武器庫に予備と思しき剣や甲冑が幾つか残されていたので、黒翼に納める。
この頃には兵士もほとんど見かけなくなった。襲い掛かってくる者は紙粘土のようにちぎられ、逃げ出すものは銃火のごとき念動波によって全身を穿たれた。
「まだいるみたいだが、誰もこっちに来ねぇな」
「王子があっちにいるから、出払ってるんでしょ」
隊長らしいおじさんが偉そうに言っていたが、あまり強い兵隊ではない。
帰ろうかと思った途端、不意に激しい頭痛が2人を襲った。寒気が全身を包むが、すぐに引いた。
――熱病の戦術陣形である。
しかし、魔法に対する抵抗力を備えている佳宏と、その血を摂取しているイレーネには効果が薄い。
影響が重大化する前に、免疫系に病原が駆逐されるように症状は治まった。2人は壁を砕き、部屋に潜んでいた魔法使いを捕らえる。
「変わった技使うねぇ、今のも魔法?」
「くぅあ…、炎の矢!」
「幽鬼の招来!」
佳宏とイレーネに火箭が降り注ぐが、命中する端から燃え尽きてしまう。
部屋に現れた3体の筋肉や骨が露になるほど腐敗した人影――ゾンビは佳宏達ではなく、召喚主の魔法使いに襲い掛かった。
「あぁ…!!なんで!?」
「そりゃ吸血鬼にゾンビ程度が逆らうかよ」
「な…!?」
面食らったらしい魔法使いたちが、目を見開いたまま食い殺される。
敵の掃討を終えたゾンビたちは、イレーネに命じられるままに殺し合いを始めるが、見るに堪えなかったので佳宏が炎で焼いて始末した。
イレーネは佳宏に、要塞内を探し回った結果を聞いた。
こちらにいる彼自身は、敵の掃討に集中していた為、話題にしているのは分身のことだ。
佳宏Cが儲けた分を聞くと、彼女は頬を緩ませる。佳宏はオルバン達と顔を合わせることなく、要塞から空を飛んで脱出しようとしたが、イレーネに止められた。
「オルバンだっけ?一度くらい、顔を拝んどきたいぜ」
「あ、そう?じゃ、顔だけ出して行こっか」
「…お前も来んの?」
現在、オルバン王子達は分身と共に行動している。同じ顔が2つ並んでいたらまずいとイレーネは判断するが、佳宏は能天気な様子だ。
「魔法があるんだから、それで押し切れるでしょ」
「ふーん、勝手にしな」
吸血鬼、という部分さえごまかせれば紹介しても問題ないはずだ。
オルバン王子達と直に顔を合わせた結果、魔術などに心のある人物は見当たらなかった。見破られはするまい。
ありがとうございました。




