不吉な噂とイレーネの寝床
追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
神探知の範囲から外れない程度の距離を保ちつつ、オルバン達を追跡。
立ち寄った森で翼を広げてダナエ達をしまい、道々で見かけた野鳥を捕らえて生食する。
旨くはない、純粋な栄養補給としての食事。口周りを赤くした佳宏を見れば、彼こそ吸血鬼と人は言うだろう。
沢の水で口周りを拭い、見失う前にオルバン王子達を追う。一行と出会ってからは、そのように夕刻まで過ごした。
雨は夕刻になっても降り続いていた。
オルバン一行は途中で見つけた町に寄る。街道に沿って家屋や教会が立ち並ぶ、宿場町だ。
身分を明かさず夜を明かしたい彼らは、町で一泊するつもりだ。一夜の宿をとったテレサは、護衛隊の2人を聖都ヒルダに走らせる。
移送計画を早めたことを報せなければならない。
(さて…もうすぐイレーネが起きる時間だ)
佳宏は宿場町から離れた高原に陣取ると、黒翼を触腕のように伸ばして日陰を作る。
装備を替えてイレーネを取り出し、宙空に寝かせた。まもなく完全に日が沈み、イレーネが呻き声と共に瞼をゆっくりと開けた。
イレーネはあまり寝た気がしないと不満を垂れた。
ダナエ達に飢えた様子が無い点を鑑みるに、黒翼の中は時間が経過しないのかもしれない。
「状況は?」
「一応、協力の約束を取り付けたよ。めちゃくちゃ警戒されてるけど。今夜は宿場町で泊まるみたい」
「あれだけ自信満々で提案してそれかよ…で、宿は?」
「まだとってない」
イレーネは了承すると、装備に手をかける。
着替えるのだ。佳宏は背中を向けつつ、黒翼を目隠しになるように動かす。
右の翼がイレーネの頭上を覆い、左の翼が服を替えるイレーネを囲む。
双剣騎士団の装備を脱いだ2人は宿場町に向かう。
オードの森で得た器物のうち、不用品を選択して持っていく。雑貨屋で引き取ってもらうのだ。
死蔵しておくなら、金に換えたほうがいい。ナイア金貨の価値が高騰しているようなので、ルサルカの神殿で得た金貨とは別に、銀貨を路銀として持っておいた方がいいだろう。
槍や鎧、薬草を売却しておよそ40シディル銀貨を得る。
2人は早速宿をとった。オルバン王子の反応を覚えていた佳宏が、彼らとは別の宿を選択。
日の暮れた通りは、等間隔で並ぶ外灯で照らされている。小さな陶器の衝立で囲われた灯火の明かりは、佳宏からすれば暗い。
残り1時間、長くても2時間すれば町は寝静まるだろう。
佳宏とイレーネは連れ立って町を歩き、見つけた食事処に入る。
かき入れ時は過ぎたのか、6台あるテーブルのうち、埋まっているのは2台のみだ。
2人が食事している間、別のテーブルにいた2人組の客が小さな声で話している。
「聞いたか、アンドレー?粉ひき小屋で今度はロイの娘が襲われたそうだ」
「あぁ…未だに捕まらないな、強姦魔」
強姦魔、の単語を2人は脳裏で反芻する。旅人の評判を気にしているからか、ほろ酔い顔に反して目つきは冷静だ。
(とんでもない話聞いちゃったなぁ、向こうはともかく、イレーネが心配だなぁ)
食事処を出て、宿に向かう途中。
佳宏は寝ている気がしない、というイレーネの発言について考えていた。
時間の流れが違うのか、数日しまったままでもダナエ達が飢えていなかったのは、修道院での戦いぶりを見れば明らかだ。
黒翼の中では、眠っていても疲れを癒せないらしい。
(――棺桶だ)
佳宏は思いつく。
吸血鬼は昼間、棺桶で眠るという伝承がある。佳宏はイレーネに先に戻っているよう言い、雑貨屋に走った。
棺を探していると言われた雑貨屋の店主は呆気にとられたような表情を浮かべたが、この町に棺を作っている工房は無い。
1日南西にいったところにある村か、ドスラ市まで行かなければならない。消沈した佳宏は雑貨屋の店内を見て回り、置いてある長持に目を引かれた。
(これなら入りそうか?…いや。幅が少し短い)
佳宏は最も大きな長持の幅や深さを確かめる。
内寸はイレーネの身長より掌一つ分短く、奥行きも小さい。佳宏より身長が低いとはいえ、これに入るほどイレーネは小柄ではない。
「店主、こっちの箱は?」
「それはベッドだよ。庶民用の古いヤツだ」
「ベッド…」
「干し草を詰めて、シーツをかける」
ハレン大陸の家具は、身分や資産によって質が大きく異なる。
(これならいけるか?いや、蓋が無いわ。別に用意するか?やっぱ棺桶か。ドスラなぁ…明日の朝に分身を走らせようか)
佳宏は銀貨2枚と引き換えに古ベッドを買って、宿に戻る。
すれ違う人々が驚きの表情で道を開けていく。2人は別々に部屋をとっており、帰った佳宏はイレーネの部屋に直行し、思いついた内容を述べる。
ベッドを見るイレーネの表情を冴えない。
「蓋はどうするんだ。これじゃ光を防げないだろ?」
「うん、どっかで蓋になりそうな板でも調達しないとなー」
佳宏はベッドを黒翼にしまいながら答える。イレーネは鼻を鳴らした。
「そんで棺ィ?ぞっとしないなんだけど」
「けど黒翼の中だと身体を休められないと仮定すると…遮光が十分で、イレーネの身体を納められるものが必要だよ」
「入れてどうすんだよ?」
「俺が背負って歩く。念力で姿勢を調整すれば、揺れも軽減できると思う」
イレーネは気乗りしない顔で頷く。
佳宏の意見には一理あるように思うが、が何故ここまで甲斐甲斐しいのか?理解しがたいので、気味悪く感じているのだ。
ありがとうございました。




