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佳宏はエルフ村に泊まる

追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムは展開次第。


・デスゲームなし。


・俺tueee、チート能力。


・中二主人公。


・読みづらい。


・残酷な描写や暴力表現あり。


・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 その後、ナックル市を陥落させたセレス一行に混じり、佳宏は東進。

彼らは空中に円を描き、佳宏が数日かけて踏破した距離をショートカット。


 広大な森林に分け入り、佳宏はエルフの集落を訪れる。

これまで訪れたドーター、ナックルほど発展していない、こじんまりとした家々には全て、小さいが庭がついている。

しかし、夜も更けたというのに、村は不思議な明るさに満たされていた。篝火を焚いていないというのに、視界に不自由しない。

佳宏は村長らしい壮年男性の前に案内され、これまでの経緯を話す。身についた能力については全て話さない。

人間より力が強く黑翼で空を飛び、火と風を操る力を得ているとだけ、彼らには説明した。


 内容の荒唐無稽さに自嘲しつつ、佳宏は話し終えると口を閉じた。


「ヨシヒロさん、私は貴方のお話を信じます。それにアンダカ、という名前には聞き覚えがあります」

「何者でしょう?」

「ガラン…交通と暴風を司る神の眷属ですよ。異なる世界の存在には面食らいましたが、災難でしたね」


 まったく、と佳宏は頷く。


「こちらの世界についてお話しする前に、お尋ねしたい事があるのですがよろしいですか?」

「勿論」

「1週間ほど前、人間に囚われていたドワーフ達が何者かによって解放されました。聞くと黒髪の男が人間の兵士を次々と殺戮していったが、ドワーフには手をつけなかったと…貴方ではありませんか?」

「えぇ、覚えています」


 佳宏は涼しい顔をしつつ、内心ハラハラしていた。

怒られるのかしら、村長宅の周囲にエルフの兵士が展開している様子は無い。


「あの都市は我々エルフやピクシーが治めている土地を人間が侵して建てられたものでね…些か血で汚れているとはいえ、追い払っていただき感謝しております」

「あ、そうですか。お役に立てたならよかった」


 間もなく、佳宏はこちらの世界エリンディアについての説明を受けた。

村長の曾祖父が童だった頃、3つの大陸に広がっていた人間文明が崩壊、世界は一度滅んだ。

全ての生命が死に絶えた訳ではなく、春が1000度繰り返された後、エリンディアはほぼ現在の形になった。

エルフにとってはつい先月、人類が突如、エルフやドワーフなど、他の霊長を攻撃し始めた。全ての部族が抵抗を続けているが、戦況は芳しくないらしい。


「とはいえ、良い知らせもあります。人間の間も一枚岩ではないらしく、解放軍なるものが組織され、クリフ帝国に反抗しているのだとか」

「クリフ帝国?」

「70年ほど前に建設された、人間帝国ですよ。外界に侵略を続けているのです」

「ふーん、それで僕のクラスメイト…に心当たりありません?」


 村長は待ってましたといわんばかりに頷く。


「存じています。ここより西で転戦しているオーシン義勇軍が呼んだ聖騎士が帝国軍を蹴散らしているとか。こちらでは手に入らぬほど、仕立ての良い衣服を纏って現れたそうです」

「……マジで」


 確信には至らないが、気になる情報だ。

現代日本の学生が戦場に送られて活躍できるとは思えないが、配られたチート能力というやつの恩恵で活躍できているのだろうか。

佳宏は我知らず、口元を綻ばせた。


「学友の方々を探されるつもりですか?」

「ハイ。有意義なお話を聞けました。ありがとうございます」


 佳宏は村長に礼を言ってから、集落を去る旨を告げる。


「何も出て行かなくても、今日は泊まっていってください」

「そう言っていただけて嬉しく思いますが、無理に泊めなくてもいいですよ?」

「私からもお願いします。急ぐ旅だとおっしゃるなら、引き留めはしませんが」


 セレスまで佳宏を引き留める。

美女にお願いされて悪い気はしなかったので、今夜は村に泊まることにした。

このような提案を断るのは気遣いを無下にするので失礼に当たると、本で読んだことがある。

腹に何かあるのかもしれないが、その時は判断が甘かっただけだ。


 佳宏は村長宅の客室に通され、この日は柔らかな寝床で休む事が出来た。翌日、佳宏はセレスの案内で森を抜ける。


「ヨシヒロさん、また御縁があれば」

「はい。世話していただき、ありがとうございます。この御恩は忘れません」

「フフフ…お気になさらず」




 佳宏と別れ、集落に戻るセレスは薄い笑みを浮かべる。


(風と炎を自在に操る力も刺激的ですが、何より面白いのはあの身体)


 殴った感触が告げる、あれはエルフやドワーフでも人間でもない。

あえて言うなら、よくできた「人形」。外見が人間なだけで、実態は全く違うのだろう。

では人間型の魔物なのかと言えば、それは違うとセレスは断ずる。その程度の肩書では彼から受ける印象を表現しきれない。


(今はまだ弱いですが、鍛錬が成ってきたら、手が付けられなくなりそうですね)


 セレスはエルフの高い聴力により、彼の呼吸音、心音を捉えていた。

やや緊張していたが、恐怖や動揺が全く感じられなかった。戦いの心構えは十分、実力は伴っていないが、肉体的な強さは及第点。

これからも彼が戦いに身を置くなら、次に会うときはもっと満足できるはずだ。


ありがとうございました。

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