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オルバン王子とマッタール修道院

追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムは展開次第。


・デスゲームなし。


・俺tueee、チート能力。


・中二主人公。


・読みづらい。


・残酷な描写や暴力表現あり。


・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


「………見つか…」

「……大臣が……」


 大臣?佳宏の好奇心が刺激される。


「……」

「………」

「……修道院……」


 声にもならないざわめきの中から、佳宏は修道院の語句を拾う。

それから5分ほど粘ったが、礼拝堂内の何者かは早々と密談を切り上げ、別れた。この扉とは別の出入り口があるらしい。

佳宏は城を一巡りしてからイレーネの精神波が発せられている一角に向かう。


「どうした?こっちは何もなかったぜ、起こしてもいいんだがまだ騒がれたくねぇ」

「手掛かりは見つけた」

「!上出来だ。下手を打たないうちに帰るか」


 聞こえるか聞こえないかの小声だが、吸血鬼の耳には十分だったようだ。

2人は来た時と同じようにマルドニア城を抜け出し、拠点にしている夫婦の家に帰った。佳宏が聞き取った僅かな手掛かりを聞くと、イレーネは渋い顔をした。



「なんだよ、手掛かりっていうから居所突き止めたのかと思ったじゃねーか!期待させやがって」

「ごめーん、ぬか喜びさせて…」

「ぬか?って何だ」

「え、そこ拾う?」

「ちょっと気になったんだけ、別に知らないならいい」


 イレーネは眉根を寄せたが、すぐに戻した。佳宏も具体的な知識はないので、話を流してもらえるのは有り難い。


「とりあえずこの辺の修道院調べてみようよ」

「それなら大体頭に入ってるから、行くぞ」

「へぇ、ひょっとしてこのあたり来たことある?」

「人間の住んでる土地は大体巡ったよ。しかし修道院は無かったんだがな…」


 イレーネは一瞬、疲れたような表情を見せた。

気づいた佳宏だったがそこには踏み込まず、日が沈んで間もないマルドニア市を抜け出した。

しばらく経ってから城壁が見えなくなった頃、イレーネが佳宏に精神探知を促す。


 イレーネが知っている限り、ルービス東部には神殿が三棟あったきりだ。小さな礼拝施設なら集落にもあった覚えがあるが、ひとまず後に回す。


 佳宏は精神探知を目一杯広げる。

その探知網はルービス地方を瞬く間に埋め尽くし、ハレン大陸の東部をほとんど覆った。

佳宏は集落から離れた場所にある施設を発見。ルミナス公爵領に建っている修道院は、マルドニア北にあるロイス修道院、南西にあるマッタール修道院、東にあるシュラーハ修道院だ。


 佳宏とイレーネの脚力なら1時間ほど、体力を費やせば半分以下に縮められる。

しかし、オルバン王子がもし修道院に匿われているなら――乏しい手掛かりから逞しくした憶測に過ぎない――、イレーネは侵入できない。

佳宏が単独で探っていくことになる。佳宏は分身を1人イレーネのそばにつけると、ロイス修道院から調べていくことにした。一番近いロイス修道院でも、人間の足で2日かかる。



 佳宏達がオルバン王子捜索を開始した翌朝は、陰鬱な雨模様だった。灰色の雲が、蓋のように空を覆っている。


 マルドニア南東の山脈の麓近くに建っている、マッタール修道院。

その居室の一つで、10代前半の男子が身支度を整えていた。ぱっちりと開いた目は翡翠色。顎は小さく、頬の丸みはリンゴのようだ。茶髪を耳にかかるほど伸ばしており、少女でも通じる線の細い少年。


 オルバン王子だ。

争いを避け、修道院で暮らしている彼をユリス教の聖都ヒルダに移送する計画が、水面下で密かに進行している。

聖都ヒルダはエレミア地方、西ダーナにある。ユリス教皇庁が治めているため、両国には属していない中立地帯。

危険な旅にはなるが、オルバン王子を探す王弟派から確実に逃れることが出来る。もっとも、それは今日明日の話ではない。


 明くる日の、早朝。

朝の礼拝を行っている最中の彼の耳朶を、護衛兵の声が打った。


「敵襲――!!」


 正面と裏手に、総勢20を超す兵士が迫る。


 若い女が王子の前に立ち、襲撃者を刺すような視線を投げる。

細身だがよく鍛えられた体躯はまるで雌獅子のようだ。敵に掴まれないよう髪をベリーショートにしており、眉は細い。

切れ長の目も相まって、すっきりした印象を人に与える20代前半の女性の名を、テレサという。

彼らが身に着けているのは、梯子の上に目が描かれた紋章。テレサは正体に思い至った。


「フォート公の手の者か!そんなに――」


 ガダリー騎士団の紋章をつけた騎士達は、無言のままテレサに襲い掛かる。

修道院の内外で、護衛隊が応戦。打ち合いが始まった。襲撃者は身分を述べる事なく襲い掛かったが、すぐに攻勢が弱まった。


 新手が飛び出してきたのだ。

外套を目深に被った彼らは騎士達は二本の剣を紋章としており、ガダリー騎士団員に斬りかかっていく。

西ダーナで活動している彼らの紋章について、テレサ達は見覚えはなかった。

正規の騎士団でもない、大小含めると指の数より多い革命組織の紋章など流石に覚えていない。


 双剣の騎士達は3倍を超える数に任せて、ガダリーの騎士を圧殺していく。

彼らの一撃は重く、一人の斬撃を剣で受け流すと同時に死角から別の刃が襲い掛かる。

襲撃隊を撃滅すると、双剣の騎士達は正面扉からゆっくりと後ろに下がる。テレサ達が出ていくと、独りを除いて跪いた。



 テレサは50名ほどの馴染みのない戦士達を、凍てつくような目で眺める。


「貴様らは?所属を述べろ」

「我らは双剣騎士団。西ダーナの体制を変えるべく戦う、革命の戦士であります」

「双剣騎士団……御助力感謝する。報酬を用意しよう。少し待っていてくれ」


 テレサは部下に命じて、銀貨30枚を用意させた。

なぜ王子の前に姿を現したか、気になる点は幾つもあったが下手に食って掛かると王子の存在を感づかれそうだ。


「オルバン王子」


 銀貨の入った袋を掴み、男は彼女らに聞こえるようはっきりと名前を告げた。

金を渡す役を担っていた護衛兵が足を止める。テレサの計算は、立っていた男の告げた名前に打ち砕かれる。場に剣呑な雰囲気が満ちていく。


ありがとうございました。

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