薄緑の巨人は仲間の意思をその身に乗せる
追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
ランディの変生が解け、甲冑に身を包んだ偉丈夫が現れる。
牛頭の怪物と同じように、偉丈夫もまた上半身がバラバラに散っていた。兜の中の顔は驚愕と満足に包まれていた。
まだ粘るつもりだったランディからすれば半ば事故のような死だが、これほどの強敵に出会えた幸運を思えば恨みはない。
僅かな心残りだけを置いて、ランディはこの世を去った。
「前座ながら中々でした、感謝いたします」
セレスは小さく一礼すると、佳宏Bのもとに走った。
佳宏Bの静まった気持ちを反映して、積乱雲も徐々に散り、姿を消しつつある。雹はいつの間にか止んでいた。
クラスメイトの前に顔を出し、怯える彼らを追いかけまわす。それで殆ど満足した。向かってくるなら相手にするが、皆殺しにするほどの執着も興味もない。
利樹は空に上がった佳宏Bと位置を調整する。
射線が地面と水平になった瞬間、口腔に溜めていたブレスを放つ。視界に輝きが満ちたときには、佳宏Bは真紅の熱線を全身に浴びていた。
(よし、決まった!)
巨人の最大火力を命中させられたことに気を良くした利樹は、ブレスの勢いを強める。
両目を覆うゴーグルにより熱線の放つ光はカットされているが、佳宏Bの姿は完全に呑み込まれて見えない。
だから赤銅色の肌の魔人が口腔目がけて投擲した、ヤツデの葉を模した斧を避けることはできなかった。
「!!?」
ブレスの放出が止まった。喉仏が貫かれ、開いた刃が首の背から飛び出す。
佳宏Bの戦斧は独りでに動き、そのまま首が断たれるかと思われたが、佳宏Bに光の槍が衝突すると速やかに彼の手元に戻った。
殆ど間を置かずに暖かな光が利樹を包み、負傷が癒える。左目に視力が戻った。これほどの回復能力は巨人にはないはずだ、利樹は困惑する。
(新手か!)
疑った佳宏Bは精神感知を開くと予想通り、範囲内に反応が3つ。
解放軍の仲間と悟るが、何故3人きりなのか、佳宏Bにはわからなかった。目の前には闘う力を取り戻した薄緑の巨人。
正体は恐らく教室にいた誰か……随分と生き意地の張った奴だ。
こういうヤツは嫌いではない。
生きるか死ぬか選ぶなら、生きるほうを選ぶべき。
少しでも楽しく、面白くなる可能性を自分から投げ捨てるなど論外。自死を選んだところで、得することなど何もないのだ。
彼らから少し離れた位置に、僧侶シンシアがいた。
彼女は2人の騎兵のうち、片方の馬に騎乗している。彼女は馬の操り手に何事か告げる。
シンシアは皇帝の城に向かう一行から外れ、利樹の援護に向かったのだ。騎兵2人は、この援護に乗り気ではない。
ヨシヒロが自分達の存在を知ったらどう思うだろう、自分が同じ立場なら回復役は確実に潰す。
突如、2頭の軍馬が宙に持ち上がった。
壁に激突したように舞い、3人は地面に投げ出された。
立ち上がった騎士とシンシアが見たのは、馬の首を掴んで放り捨てるエルフの女。
剣を抜き、斬りかかってきた騎士の間を、狩人風の美女が残像を描いて通り過ぎる――2人の身体がシュレッダーにかけられたように細かく刻まれた。
セレスは両手を振り、指に付いた血を払う。
シンシアは腰を抜かしてしまった。身を屈めたセレスに、首を掴まれるが身体が言うことを聞かない。
「ヨシヒロを狙い撃たなかった一点によって、見逃してあげます」
セレスは腕一本でシンシアを宙吊りにすると、あらん限りの力で投げ飛ばす。
「生きていたらそのまま逃げなさい」
如何なる剛腕バッターのバッティングも、彼女の投擲には及ばない。灰色の雲の切れ間から覗く青空に向かって、シンシアは一直線に飛んでいく。
セレスは周囲の警戒を緩めることなく、利樹とヨシヒロの戦っている座標に向かう。
欲を言えば両方『喰いたい』のだが、ヨシヒロの花道を汚すのも忍びない。彼とは約束している、勝ち残った暁には逃げることなく相手してくれるはずだ。
セレスは最初に拳を交わした時から、佳宏に対してある種の信頼を抱いていた。
ありがとうございました。




