駐屯地襲撃達成と、東の国の噂
追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
佳宏Bの足である。
「嘘!」
そのまま身体を引き、佳宏Bを斬り飛ばそうと剣を逆手に持ち替える。
万全の状態なら胴を一薙ぎにし、更に戦斧を振り下ろしてきた佳宏Aの一撃を受け流す事ができただろう。
しかし、彼は重傷だ。常人ならばとっくに絶命している身体を、クリフ皇帝が自ら作成した邪神の鎧が動かしているだけ。
それでも、ランディは迷わず佳宏Bを斬り捨てた。
佳宏Bの胸に刃が入り、胴体が真っ二つになる。
瞬間、佳宏Aの一撃を避けること叶わず、ランディは喉からヤツデの刃を生やした。
佳宏Aは躊躇なく斬り降ろし、刃は垂直に股下まで駆け抜ける。バックステップで距離をとると同時に戦斧を一振り、汚れを落とす。
「おい、ヨシヒロ!」
イレーネの声が耳に飛び込んできた。
佳宏の目の前ではランディが膝から崩れ落ち、佳宏Bの上半身が切羽詰まった顔で佳宏Aを見ていた。
同じ顔で目配せしあい、佳宏Bは肘の力で身体を飛ばし、縮地を発動。イレーネに向かって走り出す佳宏Aの背中に突っ込む。
その身体は衝突した瞬間、煙のように消えた。佳宏B――いや、一つに戻った佳宏はイレーネの背中を叩く。
「おい、押すな!」
「帰るよ」
「はぁ?、けどアイツは…?」
「任務は果たしたよ。放っておこう」
「うぅん…ま、いいや」
イレーネは不承不承といった様子で、走力を上げた。
佳宏も並走する。疾風のように駐屯地を後にした2人の影を、未だ呼吸するランディが見つめていた。
彼らは一般兵士ではない。この重傷も、ランディの気力が続く限りは治癒に向かう――その間、地獄のような苦痛が絶え間なく彼を襲うのだが。
佳宏とイレーネは夜更け、ナックル市に帰還。
見張りについていたエルフに一礼し、自宅に向かう途中、セレスが声をかけてきた。
起きていたようだ。首尾を報告してから、佳宏は床に就いた。
翌朝、駐屯地で手に入れた物資をエルフに渡す。
黒い翼から生きたまま現れた軍馬が暴れるも、佳宏が一睨みすると大人しくなった。
念力を込めた視線だ。肉やワインは喜ばれた。刀剣や石弓もあればいい、というエルフの呟きを耳にした佳宏は分身を1体作り出し、縮地で走らせる。
「これが昨晩話していた分身ですか」
「うん。どれくらいの力が使えるのかわかんないけど」
それから10分ほどで、分身は帰ってきた。
「なにも無かった。昨日のうちに持ち去ったみたい」
肩を竦めながら、分身佳宏は佳宏と一体化する。
駐屯地から帰ってから佳宏は分身の調査の為に、3日ほど東タッカーをうろついていた。
巡回を請け負っており、帝国の兵士を目撃した際は、エルフ達と協力してこれを撃退した。
この間に分かった事は、膂力や火力において本体と分身の間に目に見えるレベルの差はないこと、分身同士とは思念で交流できる事だ。
テレパシーですらない。分身が活動している間、佳宏は統一された意思に従って動く群体と化しているようだ。
それとエルフ達の意外な戦闘力。
「心を震わす風よ、蹄となって敵を砕け!メドラノース!」
エルフは幻獣なる存在を召喚することが出来る
背中が鉱石で覆われた、見上げるほど大きな牛が、滑るように平野を駆け抜ける。
それだけで爆撃を思わせる凄まじい爆音が轟き、地面が弾けた。エルフは生まれつき幻獣界を認識しており、セレスもゼムハザなる幻獣を呼び出せるらしい。
負担は大きいが、普遍的なスキルだそうだ。
佳宏は巡回だけで1日を終えていたのではない。
時には馬のブラッシングを手伝い、ある日は豚の解体を引き受けた。鹿や魚を獲って暮らしていた為、肉の処理はお手の物だ。
曖昧な記憶頼みのため、何度か指摘を受けたが、手つきに淀みはない。
「よく働きますね、ご苦労様です」
「あぁ、セレスさん…」
革なめし職人の家の屋根に寝転んでいた佳宏の隣に、セレスが声をかけた。
佳宏は読んでいた悲恋物語を閉じ、話す態勢に入る。
「本が読めるのですか?」
「うん、おかげさまで。何が書いてあるかはわかる」
「…?どこか引っかかる言い方ですね」
佳宏にはページに記されている文章が読めない。
ただし、そこに込められた意味……つまり何と書いてあるかはわかる。だから読解可能なのだ。
「面白い話ですね。あぁ…言われるまで気づかなかったなんて」
「ねー、俺もあんまり指摘されないから、こいつら日本語喋ってんのかとたまに思っちゃうよ」
「暇のある時でよければ、私が文字を教えますよ?」
佳宏はばつの悪そうな笑みを浮かべて断った。
文字の読み方がわからない…つまり文章が書けないだけで、日本語をエリンディアの現地人に伝える事もできるし、文章も読める。
現在の文明レベルで文章を書く場面がない以上、文字を覚える必要があるとはどうしても思えない為、学習意欲が湧かないのだ。
セレスは気を悪くした風を見せない。
「差支えなければ、貴方の故郷について教えていただけませんか?」
「え……いいけど、断片的にしか話せませんよ?」
構わない、とセレスは言った。
佳宏は歴史を中心に思いつく限りの事を話し、セレスは気になった点について遠慮なく質問した。
明瞭に説明できる部分もあれば、曖昧にしか答えられない部分もあり、セレスの中で偏った日本観が形成されていった。
「似たような国について、以前聞いた事があります」
「本当に?」
「えぇ、大陸の東に7日進むと、未開の島々に出ると。そこでは我々とは異なる神々を祀って暮らしているとか」
「はぇー、そこの人たちって、こんな黒髪黒目なわけ?」
「さぁ…、父から聞いた話ですので」
「全部済んだら行ってみるかなー」
セレスも詳しい情報は持っていないが、国の名前はマジナと言うらしい。
立ち並ぶ家々の兵は白く塗られ、土地の大部分は山林で占められ、小規模な集落を僅かな平地に作って暮らしているそうだ。
ありがとうございました。




