女吸血鬼イレーネ登場
追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
鉄格子を歪め、引き千切って入口を作る。
生きているのか死んでいるのか?呼吸音は聞こえない、心音は聞こえない。
自身の聴力が死亡前と比べて上がっているのか、佳宏は把握していない。落ちてはいないはずだ。
顔を確認するより先に、佳宏は鎖を切ってやることにした。
鎖を切った途端、感情波が浴びせられた。
裸の女は跳ねるように飛び起き、佳宏の首筋に噛みつく。
抵抗を試みるより早く、針を刺されたようなかすかな痛み――酩酊感が押し寄せてきた。
絶頂よりも脳を揺さぶり、アルコールよりも心を蕩けさせる甘い痺れが、佳宏の全身を駆け抜けていく。
「ん、バッチィな!漏らしてんじゃねぇよ!」
若い女の罵声とともに、触れるものを蕩けさせる潮が急速に引いていく。
佳宏はしばしうっとりとしていたが、股間の湿りに気づくと、血の気が引いた。
「わ、ゴメン!ちょっと、上で着替えてくるから!」
牢屋から足早に立ちする直前、女の顔を横目でちらりと見る。ネコ科の動物を思わせる、可憐な顔立ちだった。
上層で着替えを取り出し、下を履き替えると濡らしたズボンは捨てた。司祭のものと思しきローブを手に地下に戻る。
「これで隠しといたら」
「アイツらのじゃねえか……まぁ、ないよりましか」
女はローブで身体を包むが、動こうとしない。
「どうした?」
「……まだ日没まで間があるだろ、アタシは動けない」
「あぁ、吸血鬼だから?」
首筋をさすりながら、何も無かったような口ぶりで言う。
「……そうだよ」
「すごいな!生で見たのは初めてだよ!」
吸血鬼は眉根を寄せた。
「なんで嬉しそうなんだよ、打たれて喜ぶ趣味か?」
「いや、吸血鬼に血を吸われるなんて初めての経験だからね。嬉しいというか、感動してるんだ」
「ハぁ?どうかしてるんじゃない?怒りもしないなんてさー」
女は露骨な嘲笑を顔の上に作った。
「なんで?油断してた俺にも落ち度はあるし、そっちは食事をしただけでしょ?たまたま人間を食うってだけだ、責める謂れがない」
「ッッ!?――本気で言ってる?ていうか正気か?」
「フフフ…それより、何故こんなところに?」
「聞くまでもないだろ!ここの奴らに捕まって、身ぐるみ剥がされて放り込まれたんだよ!」
女は壁に背をつけ、呆れたように言った。
「そこはわかるけど……まぁ、無理に聞き出すものでもないか」
「フン。上でなんかあったらしいが、アンタ?」
佳宏は施設に侵入してからの経緯を話す。彼はこの時点で、施設が捕虜収容所であると知った。
「流石に同情するわ。変なのに引っかかっちまった…」
佳宏は苦笑した。
「そろそろ行くから。日没までは上にいるよ」
「なんで?」
「何人か逃げたみたいだ、応援が来ないとも限らないし、貴方に後始末させるのも悪いじゃない。だから夜までは上で見張ってるから、なんかあったら呼んで…俺はヨシヒロ」
「変な名前」
女吸血鬼はイレーネと名乗った。
「あぁ、ちょっと待って。最後にあんた、人間じゃないよな?」
「いや、人間だけど」
「嘘つけ」
「嘘って言われても…人間だよ?いや、わかんねーけど」
「どっちなんだよ」
佳宏は身分を明かした。
地球からエリンディアから一人、着の身着のままで召喚された一方、学友達は聖騎士として戦える力を受け取った。
早々に死んだが訳も分からぬまま蘇り、戦ったり、出会った人々と会話しながら、大陸を放浪していると佳宏は静かな口調で語った。
「そんな舐めた扱いされて、なんでヘラヘラしてるんだ?せっかく力を手に入れたんだ、復讐しようとか思わないの?」
「復讐って……結構、楽しくやってるしなぁ。まぁ、思うところはあるし、あいつ等とはそのうち会うつもりだけど。ほかに何かある?」
イレーネが手をひらひらと振った。
出て行け、というサインと解釈した佳宏は牢獄を出て、小さな書庫に入る。
古い時代の愛の詩を収めた詩集や、風刺のこもった喜劇物語を読みながら、日没まで時間を潰した。
そのうちの半分ほどを黒翼に詰め込むと、タイトルが頭に浮かんできたが、やはり現代的な作品はないようだ。
ありがとうございました。




