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伯爵の命運は風前の灯火

追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムは展開次第。


・デスゲームなし。


・俺tueee、チート能力。


・中二主人公。


・読みづらい。


・残酷な描写や暴力表現あり。


・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 農家らしい建屋と畑が、ちらほら横目に入る。

バーハラ市民の所有する農地である。登り勾配の向こうにバーハラの城壁が見えた頃、矮躯の騎士が槌矛を振り回して進行を阻んだ。

フルフェイスの兜に覆われ、人相はわからない。


「解放軍のヨシヒロ!これ以上の狼藉は、このバデムが許さん!」

「どけ」

「どかしてみろぉ!!」


 佳宏は大風で兵士の壁を裂き、その中央を突っ切る。

今はバーハラ市に向かう事で頭がいっぱいなのだ、彼らと戦う余裕はついさっき無くなった。

縮地を体感で1秒使用すると、バーハラ市まで100mの位置に近づくことができた。


(え!!)


 城壁のそば、西門の前で武力衝突の反応がある。

北方方面、第6軍とダヌー伯爵の軍が戦っているのだ。彼らはバーハラ東の峠を越えて攻め込んできたのだ。

ダヌー軍の奮闘の甲斐あり、城壁の中にまでは侵入できていない。

黒い翼を広げ、バーハラ市街を囲う城壁を越えた。密集する住宅の屋根、教会や尖塔の向こうに、城館を護る壁が見える。

高度を下げると、無数の矢が飛んできた。


「俺は解放軍の杉村佳宏!オーシン殿の命を受け、助力に来ました!」


 街全体に声が届くと同時に、矢の飛来が止んだ。

佳宏は伯爵への面会を願うつもりだったが予定を変更し、西から迫る軍に向かって飛ぶ。


(いきなり会える状況じゃないよな……あっち行くか)


 この襲撃を防いだ後のほうがスムーズに面会に入れるだろう。

そもそも、解放軍を名乗る身元不詳の翼の男と、伯爵が面会するかどうか甚だ疑問だったが、佳宏からすればどちらでもいいのだ。

急いで解決せねばならない問題が無いため、暇つぶしに顔を出しただけであり、門前払いを食ったなら別の場所に旅立つだけだ。

ただ……どちらにしても柔らかいベッドでのんびり昼寝はできないだろう。


 東の丘陵で衝突していたダヌー軍の歩卒は、突如現れた援軍を呆気にとられた様子で見ていた。

佳宏は黒い翼を羽ばたかせて姿を現すと、敵軍の頭上にその数1000にも及ぶ火箭を並べ、一斉に落としたのだ。

伯爵軍が巻き添えを食わないよう、第6軍の最前列には被害が出なかったが、前を進んでいた部隊はこの一撃で壊滅。

佳宏は翼を背中にしまうと地に降り、天に向かって指を伸ばす炎をバックに、残った騎士達を戦斧で薙ぎ払っていく。


 1時間経つ前に、ルシア将軍は退却を命令。

東からやってきた第6軍を撃退した佳宏は、シャーロットが属する第5軍が接近する南門にとんぼ返り。

城壁に殺到する第5軍を、戦斧を振るって食い止める。柄の長さ分、リーチが伸びたことで劇的に殺害効率が上がっている。

敵はたった一人ながら体力は無尽蔵だと言わんばかりに動きが鈍らない、犠牲ばかり増えていく。夕刻に入る前にディーン軍は撤退した。




 その夜は兵士たちに囲まれながら、城の一角で一泊。

力づくで拘束されなかったのは、鬼神のごとき戦いぶりに恐れをなしているのか。

翌朝、佳宏はダヌー伯爵と面会することになった。

彼は解放軍の進軍状況を把握しており、彼らと合流する望みはないと踏んでいたので、佳宏がやってきた事に大層驚いていた。


「黒髪に黒目、それに北部人とも南部人とも似つかぬ…失礼」


 両軍は退却こそしたが、両将軍は存命。

態勢を立て直し次第、再度の総攻撃が始まるだろうと伯爵は予想した。


「市民の中には市から避難する者もおり…」

「伯爵もいっそ落ち延びては?死んだら元も子もありませんよ」

「友人に手紙を送っていますが、色よい返事は無く…」


 逃げ切る望みも薄い。

領土のほぼ全てを武力により制圧され、唯一残ったバーハラ市に籠城しているといった有様だ。

いっそ投降するべきか、と伯爵は漏らした。悲嘆と疲労が滲む、憐れな声色だったが佳宏には届かない。

見ていても面白くないし、適当な所でお暇しようと心に決める。


 ややあって、彼は自刃することに決めたようだ。

妻子に悪名高いクリフ神殿の巫女をさせるくらいなら、と彼女らと心中を図ったのだ。

行動の早さを見るに、あらかじめ相談していたようだ。ご丁寧に配下に決を採り、彼らに投降の意志ありと見るや行動するに至った。

佳宏は伯爵から言伝を預かると、足早にバーハラ市を去った。伝えに行く気はない、湿気た空気を吸いたくなかったのだ。


ありがとうございました。

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