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ローズ城攻略戦――七神騎ディマンシュ――

追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。


【注意事項】


・ハーレムは展開次第。


・デスゲームなし。


・俺tueee、チート能力。


・中二主人公。


・読みづらい。


・残酷な描写や暴力表現あり。


・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。


 弓兵レベッカの耳に、羽音が俄かに絡みつく。

鬱陶しく思った彼女が足を止め、叩き殺した瞬間、脇腹から細長い脚が突き出た。

痛みは無く、ひたすら痒い。疼く両眼にこすろうと指を当てた時、あり得ない位置に手応えを感じた。

同様の騒ぎがあちこちで上がり、解放軍の歩みが止まった。


 蚊が戦場を舞い始めると同時に、ディマンシュはクリフ教司祭達に命令を下す。

司祭達は転移魔法で戦場に出現。戦闘不能に陥った女性兵士を捕虜として確保、ある程度の数が集まると、戦場から速やかに離脱した。

騎士の斬撃や刺突を浴びたものもいたが転移の間隔は早く、討ち取られたものはいない。


 剣士ジークは殺気を感じ、手にした大剣を動かす。

腕が衝撃を伝える。顔を向けつつ後ろに下がると、奇怪な甲冑に身を包んだ騎士の姿が目に入った。


「いい反応ですね」

「何者だ?」

「では名乗りましょう。私はクリフ帝国七神騎、ディマンシュ」


 ディマンシュは袈裟斬りを弾かれるや剣を引き、ジークの左肺を狙った突きを繰り出す。

打ち合う暇を作ることが出来ず、ジークは辛うじて身を捻り、致命傷を避けた。胸当が裂け、鎧下の衣が隙間から覗く。

ジークの耳に、羽音が飛び込んできた。


「アニキ!蚊を潰すな!身体が変わるぞ!」


 斧戦士ウォードの声。

ジークは次第に数を増やしていく蚊に顔を顰めつつ、ディマンシュから距離をとる。


「そろそろ気付く頃だと思っていましたよ。彼らを潰すと蚊になるんですよ、面白いでしょう?」

「ふざけた話だ」


 魔戦士の放つ蚊はドリアン軍を器用に避け、解放軍の兵士に付きまとう。

腕で払ったり、身体を振る程度では死なないのが救いだが、埒が明かない。

魔法で焼き殺す策を進言されたが、成功の保証がない以上はユリスも許可できない。


 守勢に追い込まれた瞬間を狙ったように、雷撃がディマンシュを貫く。

放ったのは10代前半の少年、魔法使いレオだ。現場を見ていた騎士ロイドが近づき、身体の異変を尋ねるが何ともないようだ。

ディマンシュとジークの周りには蚊が大量に飛び交っており、軽く十匹は焼け死んだはずだ。近くにいた海幸は走り出した。


「はるか!こっちこっち!」

「ちょっと、痛い!引っ張らないで!」


 数分後、ボストンタイプの眼鏡をかけた尾白晴香おじろはるかが、海幸に連れられてディマンシュの近くにやってきた。


「アイツの弱点、見て!」

「はぁ?えーと、距離が短い。あいつから10m離れた相手は、蚊に変わらない…って」


 情報は瞬く間に広げられる。

ディマンシュ自身は能力の弱点を知られてなお、余裕の態度を崩さなかった。


「見事だ!異界の戦士よ!戦場に馴染んできたらしいな、ではこれならどうか!!」



 ディマンシュの鎧が飴細工のように溶けた。

どろりと蠢き、騎士の皮膚に張り付くと、その体を粘土のようにこねくり回す。

目の錯覚だろうか、ジークは眼を瞬かせた。腕が4本ある――いや、錯覚ではない!

ディマンシュは見る間に身体を巨大化させ、尖塔のごとく聳え立った。黒い身体で直立するそれの手足は長く、指が膝の位置にある。

背中からは一対の羽が生え、顔は巨大な複眼で覆われ、口吻が長剣のごとく伸びている。


 ディマンシュはまず、硬直していた晴香と海幸に襲い掛かった。

すかさず利樹が前に出て、2人を浚って後方に逃がす。彼は全身を灰白色の装甲『白鉄の闘士』で護っている。

蚊の化け物は見上げるほど大きい。変身した魁とさして変わらない。

足を沈めたまさにその時、強風が吹き下ろしてきた。薄緑の巨人が切っ先をディマンシュに向けて降下してきたのだ。


 聖剣はディマンシュは捉えることなく、地面に突き刺さった。

土煙と振動を掻い潜り、成人男性の親指サイズの蚊の群れが四方に拡散、攻撃を加えようとしていた射手に襲い掛かる。

口吻は板金を破り、筋肉を抉るが痛みはない。麻酔効果を発揮する成分が打ち込まれ、被害者は酩酊状態に陥ったのだ。

近くにいた者が思わず手で払い、虫への変化を思い出して手を引っ込めるが、変化は起きない。


「今は虫にならないようだ!潰しても問題ない!襲われている者がいれば連れ出せ!!」


 魁が口から破壊光を細く吐き、あたりに広がった蚊を狙う。

矢や刀剣をものともしない蚊の軍団だが、魔法や彼の破壊光は効果覿面だ。

しかし、ディマンシュもそれは承知。蚊が黒い渦を描き、再集合すると再び巨人となった。

両腕からは、骨が変化したようなブレードが前腕から手の先に向かって伸びている。


「ああいうの、どう思う?巨人君。蚊にならない保証などないのにな」


 ディマンシュは両腕のブレードで、打ち込んできた魁の剣を受け止める。その間にも火球や稲妻、呪詛の闇が彼を襲うが堪える様子はない。


「こういうの、好きなんだろう?いいよ、付き合おう」


 ディマンシュは魁の腹部に左前蹴りを差し込むと、空に飛びあがった。魁もそれに応じるように、無言で飛翔。まもなく空中戦が始まった。

蚊の巨人を魁が抑えている間に解放軍は城に雪崩れ込む。ディマンシュは身体の一部を矢のように飛ばし、薄緑の巨人めがけて投擲。

蚊の軍勢の一部を解放軍の一部に張り付けており、彼らの体液を吸い取れば傷を癒し、体力を回復できる。


 解放軍はローズ城を制圧したが、損害は大きかった。

解放した地域を守らせている者たちを含めても生存者は11000を下回り、クラスメイトも23名にまで減った。

また、生き残った者の一部にも、中途半端に巨大蚊となったもの、完全な蚊の魔物となったものがいる。

ディマンシュ、ドリアン公爵は討ち取られたが、皆の心に苦いものが残る結果となった。


ありがとうございました。

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