ローズ城攻略戦―魁の目覚め、火竜の如き巨人―
追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
「あ”ぐッ…」
「ケイタ!」
十数名の兵士がドッグフードの如くさらえられる。
その中には啓太とミネルバも含まれており、歯の間に刺さった啓太は地上にいる人々を見ていた。
「たすげっ…ぶぐうぅぅ――!」
啓太は吐血しながら、首を上向けた火竜の喉の中に消えた。
魁、そして灰白色の装甲に身を包んだ利樹の脚は、彼の死に顔を認識するや俊敏さを増す。
魁は背中を晒して、逃げる。
甲冑に身を包んだ兵士に斬り込む事は出来ようになったが、あれに向かって行くのは無理だ。
俺、弱いから。何も守れないから。魁の誇りだの矜持だのは、この時にはバラバラに裂けてしまった。
魁の耳に不吉な羽音が飛び込む。確かめる勇気は無い。
ふと、魁は左手に目をやった。
10時の方向に小柄な少女の背中、七帆だ。クラスメイトと思しき背中と共にいる――それが紅炎に呑み込まれて消える。
「……」
魁の足が止まる。
深い水中に投げ込まれたイメージ。まるで溺れているみたい。
もう止めてしまおうか、あの激しい炎なら、熱いとすら思わずに消える事が出来るはず。
――諦めるな!
声が聞こえる。魁は意図して無視し、高熱の渦を待ち受ける。
――諦めるな!
今度は何者かが肩を掴んだ。
もう放っておいてくれ、と言おうとして振り向いた魁の眼前に、切子硝子のような顔があった。
「あ…」
魁が立っていたのは、やはり戦場。
たった1匹の火竜によって、崩れた戦線から離脱している最中の魁の身体に、何かが注がれた。
それは力。風船に空気を送り込むように注がれたものが、魁を後戻りできない場所に追いやろうとしていた。
地鳴りの直後、一つの轟音が空に向かって飛び立つ。
飛び立ったのは、身長4mほどの巨人だ。人間に酷似しているがライトグリーンの皮膚を持ち、毛は1本も生えていない。
両眼窩は網の目状に凹凸するゴーグルで覆われている。両眼から顎に向かって黒いラインが走っている。その顔は魁に似ている。
薄緑の巨人は竜の首の付け根に拳を突き込む。咆哮をあげて肩口に噛みつかれるも、巨人は意に介していないようだ。
炎が晴れた時、七穂達を包んでいた障壁が露になった。
内田海幸の『万難排する蕾』によって、威力の大部分が削減されていたのだ。
「ねぇ、あれ何!?」
「わかんない――」
「魁だ。魁が変身した」
「あれ、沢田君!?」
魁は空中で火竜を掴むと、大きく口を開けた。
口腔が真紅に輝き、破壊光が首を切断する。魁は火竜をブレスによって殺害すると、長剣を取り出した。
これまで使っていた能力、『神も魔も無い荒野で』。二つの力を同時に展開したまま、巨人はドリアン軍に襲い掛かった。
めまぐるしい状況の変化にユリスやオーシンもついていけていない。
★
「火竜だと!そんなものが隠れていたとは、なぜ誰も今まで気づかなかった!?」
「そんな事は些細なことだ。ドリアン公爵…」
火竜出現の報せを聞き、ドリアンは唾を飛ばして怒鳴る。
もっとも、姿自体は城の窓からでも見ることができた。戦場を睥睨する巨大な影が。
耳慣れぬ声に顔を向けると、彼は歪めた表情を正す。そこにいたのは羽虫の意匠を備えた甲冑に身を包んだ怪人。
面甲から蚊のような口吻が伸びているが、何の意味があるのだろうか?
「貴方は…もしや」
「ディマンシュ、とお呼びください。竜はこちらには来ませんよ、ドリアン公爵」
「確かですか?」
「ええ。我々が飛竜を飼いならしているのをお忘れか。もっとも、完全に支配する事は出来ない。進行方向を反らす程度です、兵達は一旦引かせてください」
ドリアンは頷くと、伝令を走らせる。
竜が出たとあっては戦場に出ようと思わない、帝国の助力を頼みに、火竜が反乱軍を敗走させるよう祈った。
天に、いやクリフ神に。
火竜撃破の報せは、20分後には伝令によりローズ城内にも伝えられた。
ドリアン公爵の両目は零れそうなほど大きく開かれ、顎は今にも外れそうだ。
火竜を撃破できるほどの戦力を、反乱軍はそろえているというのか?
「反乱軍は転進!緑の巨人と共に、ローズ城を近づいています!」
「何!?」
「ドリアン公爵、指揮は私が持ちますので、城からお逃げください」
「は!?ディマンシュ様が?」
ドリアンはすぐには承知しかねた。
ベニグラ砦を捨てたイリオス侯爵のような真似はしたくない、武人として、貴族として反乱軍に背中は見せたくない。
「妻子は既に逃がしました!家は息子たちが継いでくれます!」
「そうですか。では、城の前に出て数を減らしてきましょう」
ディマンシュは事も無げに言うと、ローズ城を飛び出していく。
解放軍は飛竜隊を魁に任せた事で進軍速度を速めており、重歩兵隊を突破すれば、まもなく最前列の兵士が城のある高台を登り始める。
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