力試し、斧戦士トミー戦
追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
前庭には60名ほどが屯していた。
彼らは突如始まった決闘に興味を示し、観戦する構えに入る。
佳宏は広間に入ると、居並ぶ面子を順繰りに見回した。見覚えのある顔が幾つもある、七帆はいない様だ。
模擬戦に使っているのか、正面扉に通じる階段の陰に木剣や棍棒が転がっている。トミーは歩み寄り、棍棒を拾った。
「おい、早く来て武器をとりな。オーシンがうっせぇから刃ありの武器は使わないけどな」
動かない佳宏を見咎めたトミーは面倒臭そうに言った。
佳宏は無言で拳を、胸の前で打ち鳴らす。それで意図を了解したらしいトミーは、獰猛に笑った。
「面白れぇ、無手か。いいぜ」
トミーは棍棒を構え、走り込んできた。
木を削っただけの素っ気ない代物だが、体格に優れたトミーが振るえば、丸太のような威力を発揮する。
刃や棘がないとはいえ、当たり所が悪ければ死ぬだろう。
佳宏はトミーの間合いに入る寸前、一気に距離を詰めた。
リーチの長さは歴然。先手を取ることはできない、自分の技量では。
唸り声をあげるクラブを左手で受けると、ハイキックを右肩に浴びせ、後ろに下がった。
後ろに下がる佳宏の眼前で、大柄なトミーが得物ごと薙ぎ倒される。
(蹴りの引きが速い……ま、あれだけの態度だ、このくらいはな)
ディムナは小さく鼻を鳴らす。
トミーは転がって立ち上がり、棍棒を構える。
「頑丈な奴だな~、避けるでもなく手で受けるか…。お前みたいな奴、初めてだぜ」
よく喋る男だ、と佳大は呆れる。
ただ倒すだけなら、あのまま畳みかければいいのだが、要らぬ警戒をされたくない。
無論わざと負けようとは、佳宏は毛ほども考えていない。
(早く降参してくれねえかな、殺すまではやらないって言われても困るんだけど)
トミーの技量は、お世辞にも高いとは言えない。
勘と膂力を頼みにした、野性的な戦法だ。急所目がけて、迷いなく武器を振り抜くのみ。
愛用している武器が斧や鎚矛など鈍器である点も、そこに拍車をかける。場数を踏んでいる為、下手な騎士では相手にならない。
そのため、佳宏は最初の一撃以来守勢に回っている。
突きを繰り出そうとした瞬間には、棍棒が振り上げられるのがわかる。
ローキック、ジャブの要領で放つ順突き…円運動を絶えず行い、打ち合いを避けている。
「おい、調子がいいのは最初だけか?」
挑発するトミーだが、無傷ではない。
左足は痺れるような痛みを発し、棍棒の範囲の内に飛び込んだ佳宏のブローに腹部を打たれた時などは転倒した。
倒れる寸前、距離を離そうとした佳宏を左手で掴み、お返しに頭突きを喰らわせたが。
(ごちゃごちゃうるさい、カスのくせに。一度に両方を相手にするチャートじゃないの!)
トミーは脳天を一撃で割りかねない振り下ろしを繰り出す。
刹那、顔に動揺が浮かんだ――止められたのだ。それだけではなく、軽々と腕を引き、トミーを引き寄せた。
思わず棍棒を取り落とす。魔人と化した佳宏の握力はおよそ200㎏、チンパンジー並みに上昇している。
本気で握ったなら紙ロールを潰すように逞しい手首が裂け、温かな血が流れ出しただろう。佳宏が握力を全開にしていなかったのは、トミーにとって幸運だった。
佳宏は身体を捻り、側面に回り込む。
トミーの右腕を自身の左脇で固め、左腕を支点に引っ張る。
「おい、止めろ!アーヴァイン!」
ディムナが思わず止めに入った。
その態勢を見た瞬間、古い記憶がまざまざと浮かび上がったのだ。
読み齧った知識だが、古代ガリアの拳闘士達が修めた体術にあった技に似ている。
無手で戦う彼らは組手において打撃のほか、投げたり、関節を極めて勝ちを収める事があったという。
ディムナ自身、武器を持たないで戦う体術の訓練は先代ダーナ王のもとで少年時代に受けている。
「力試しはもういいだろう、トミー…シンシアに治療してもらえ」
右手首を診た瞬間、ディムナは息を呑んだ。
アーヴァインの指の痕が濃い赤紫色でくっきりと描かれている。トミーは脂汗を垂らしており、骨まで負傷しているかもしれない。
怪我の度合いによっては、しばらく後方で休んでもらう事になる。トミーは如何にも辛そうに口で呼吸しながら、神殿に戻っていった。
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