帝国軍も弱くはありませんよ
追放されるのがトレンドと聞いて。読む前に、以下の注意に目を通してください。
【注意事項】
・ハーレムは展開次第。
・デスゲームなし。
・俺tueee、チート能力。
・中二主人公。
・読みづらい。
・残酷な描写や暴力表現あり。
・この作品はフィクションであり、実在の地名や人名、団体名とは一切関係ありません。
(君らに用はないんだよね)
炎が城壁のように立ち上がり、魔道士部隊を挟み込む。
使う度に馴染んでいく異能の数々、発生させられる炎の最高温度は摂氏1000度を超えていた。
呼吸すら許さない高熱を惜しげもなく放ち、佳宏は追ってくる兵士の只中に戻っていく。榴弾が炸裂したような勢いで地面を蹴り、歩兵目がけて突撃していく。
左の順突きが歩兵の顔面を面甲ごと陥没させる。これでもかと言わんばかりに死の演舞を続けるも、帝国兵は行進を続ける。
一つわかったことは、急所の破壊では彼らは止まらないという事だ。
心臓や脊椎を砕かれようと、兵士達は向かってくる。無力化するという点では、手足を切断する方が効率がいい。
文字どおり這ってでも己に向かってくる敵兵の上を飛び回り、生き残りの兵士達と戦い続ける。
旅人の装束はあちこち破け、囚人の着るぼろ布の方がまだマシといった風体だ。
もっとも、イリオス軍も佳宏に対して何も感じなかったわけではない。
最初は気狂いかと思われた、しかしその身体能力!姿が霞むほどの速度のステップと弾丸の如き速度の拳打と蹴り上げ。
たった一人が5000の同胞が着々と減らしていくとあっては、慢心してはいられない。
謎の襲撃者について一つ分かったのは、攻性魔法が一切通じないらしいと言うことだ。
皮膚はなめした革のように強靭で、その全身からは巨大な斥力が絶え間なく放たれている。これは魔法の効き目を殆どゼロにまで持っていく。
全く影響がないわけではないが、浴びる度にそのダメージは減少していった。
報告が入るにつれて、イリオス侯爵の顔色は悪くなる。
「フレッド、敵はどうやらドラゴニュートでも解放軍でもないらしい。これはただごとではない。私は帝国に報告に上がらねばならん、シロプフに指揮を預けるので、以降は彼の指示に従え」
伝令が出て行った頃、彼は近衛の騎士フレッドに神妙な顔で告げると部屋を出て行く。
「お待ちください、シロプフ様が戻らぬ今、我らだけで持ち応える事が出来るかどうか…」
「うっ…よし、これを持て」
「これは?」
イリオス侯爵は懐から、4枚の札を取り出した。
杖を突いた老人の図画が描かれたそれからは、言いようのない不吉な印象を受ける。
フレッドは素人ながら、魔道士が使うものだろうと見当をつけた。
「ケヒト司祭から渡された札だ。4枚ある、簡易な方陣を作り出すものらしくてな。陣の中に入り込んだものを石に変えるらしい。私はもう行く!」
「わかりました。お気をつけて……」
イリオス侯爵は僅かな手勢を連れて、砦から脱出した。
砦より東、下流に大きな橋が懸けられている。謎の襲撃者に悟られぬことを祈りつつ、馬を一目散に走らせた。
一方、そんな事とは露知らず。
佳宏は敵兵の殲滅を続ける。頭からつま先まで返り血と泥に染まった彼の姿に、経験の薄い者は恐れをなして身を引いた。
間合いを計り損ねる事も少なくなり、打撃のコントロールは飛躍的に向上。しかし、彼は独りだ。
四方から剣と槍が迫り、幾つかは佳宏の身体に命中した。
皮膚に食い込んだ刃が腕に伝える感触は、大木。錆びた斧を樹齢千年の大木の幹に打ち込んだように鈍い手応え。
衝撃は伝わるらしく態勢を崩すも、佳宏は常に動き回っていった為、深くは刺さらない。
(ん…?)
兵の一部が背を向け、逃走し始めた。
視界の端に映ったものに興味を惹かれた佳大はなんだ?と思いつつ追跡。行く先々で兵士が取り囲む。
彼らはこれまで遭遇した中で最高の士気を発揮し、佳宏に猛攻を加える。
砦に近づいている事が分かり、佳宏は足運びを速める。損傷と再生を繰り返し、鋼の如き堅牢さを得た拳を、自ら浴びに行くように向かってくる兵士達。
困惑し、たじろいだ瞬間、兵士達が佳宏に覆いかぶさってきた。
「やれ!」
石化の陣が発動した。
30名を超える捨て石と引き換えに、佳宏を物言わぬ石像に変える。
到着にはいましばらくの時間がかかるらしいシロプフを待ち兼ねたフレッドが立てた作戦である。
イリオス軍の兵士達は散っていった仲間を悼みつつ、小山のように積み上がった人々の彫刻に歩み寄っていく。
札による方陣は永久に続くものではなく、仕掛けた側が起動させる罠のようなものであり、既に効力を失っている。
それから石像を破壊するか、もろとも襲撃者を砕いてしまうか兵士達は揉める羽目になったが佳大には関係ない。
(不死身になったって事か?)
荷物を回収しながら、佳宏は黙考する。
最初にエリンディアにやってきた時と同じ、死んだと思ったら別の場所にいる。
内心首を傾げるが、自分にとって都合が悪いわけではない。深く考えずに佳宏は荷物を拾い、ベニグラ砦を離れた。
佳宏は去る。
敗走と言っていいかもしれない。身体が動かなくなり、石化したと自覚した直後、隠しておいた荷物の側に立っていた。
その時点で気持ちが冷めてしまったのだ。
ありがとうございました。




