目覚め 彷徨いは美女を呼ぶ
ついにエイト目覚める。ここからはエイト視点です。
気づいたら知らない所にいる。そこは深く静まりかえった夜のように、真っ暗で、静寂で、何もない。そんな無の空間に1人孤独に彷徨っていた。
俺は知らず知らずの間に記憶がない。最後の記憶はいつのどんなものであっただろうか。だんだん遠のいていくような気がした。
今この瞬間にも大切なものを失っているように思える。
気づいたら目の中に明かりが入りこんでいた。同時にうっすらと音を聞き取れるようになる。なんだろうか、声が聞こえたような気がしたが、全く聞き取れなかった。こうして、またぼーっとする。
「ねぇ、大丈夫!?」
その声ではっきりと意識を取り戻したのに気がついた。白い建物の壁によしかかっている自分がいた。まわりは木々に覆われている。しばらく意識がなかったようだ。
不機嫌そうな顔でこちらをみている。黒髪ので女性でかなりの美人だ。大きい目に、高い鼻、整った顔。文句の付け所がない。服装は派手。
何度も呼ばれていたのか、発せられた言葉は力強いものだった。俺が気づいたことを確認してまたその女性は口を動かす。
「はぁ、やっと気付いてくれたみたいね。こんなところで気失ってたから心配した。」
さっきの力強さは抜けてしまっていて、柔らかなトーンでこちらに話しかけてくる。やっと気づいてくれたことにほっとしているようだ。
「ご、ごめん。ほんとに気づいてなかったんだ」
「本当に?」
そういって彼女は疑いの目を向けた。
「まぁ無事ならいいの。貴方は誰?どこから来たの?」
そう聞かれると、自分は答えるのに戸惑ってしまった。だが、今必要なのは自分を助けであることを悟り、今の状況をとりあえず話しつ見ることにする。
ちなみに自分の特徴は分からない。顔すら覚えていなかった。確認できるのはボロい服装をしているということ。年齢分からないが若いはず。たが、本当の自分を知って失望をするのは避けたい。
「そう、記憶がないのね…ごめんなさい、勝手に変な人だと思い込んでいたわ。」
変な人ではないという誤解は解けたようだ。とりあえずほっとする。同時に目の前の美人が少し毒舌であることも理解する。
「あ、自己紹介がまだだったわね。私はメモリア。仲間達の中ではリアって言われてるからリアで呼んで。よろしくね」
「ああ、よ、よろしく、リア」
自分がコミュ障であることを自覚して大きなショックを受ける。ショックのあまり俺に100のダメージ、もう倒れる寸前である
「それじゃあ、ちょっと調べさせて。」
「…何すんの?」
俺は疑いの目を向ける。見知らぬ人であったし、第一彼女のことを全く知らないのだ。すると、彼女は俺の服を上にあげ、脱がし始めていた。
「ちょっと何やってんだ、リ、リア!」
「いいから、ちょっと大人しくしてて。」
「おい、やめろ!」
全裸にされるのかと思い、必死に抵抗しようとした。だが体を動かそうとしても、疲れているのか言うことを聞いてくれなかった。
言っとくけど変なことは考えていない。また変な人扱いされるのは困る。というか、気づいたら俺が彼女を変な人ではないかと疑っていた。
抵抗する俺だったが早々に上半身が裸にされた。心底情けないと思う。
「やっぱりね…」
彼女がわかっていたかのように呟いた。
「魔法をかけられた形跡が残っているわ。」
衝撃の一言に俺は、俺はさらに追撃をくらったような気がした。