委ねられた触診2
前ページからの続きです。
芝内君のお姉さんが住んでいるマンションに到着してお邪魔させてもらう。
出迎えてくれたお姉さんは、笑顔で私達を迎え入れて下さいました。
『急に無理なお願いしてごめんね。遥斗の姉の奈緒です』
と私に丁寧に自己紹介をしてくださいました。なので私も自己紹介をしました。そしたら芝内君のお姉さんの奈緒さんが
『よつ葉さん、早速なんだけどこっちに来てもらっても良い?』
と言われ「はい」と返事をして奈緒さんの後を追う。
「入って」といわれ寝室に入ると奈緒さんに質問された。
『よつ葉さん達、看護科って触診とかって勉強したのかな?』
って聞かれ先日行った乳ガンの腫瘍を覚える胸を触診する演習実習しましたよ。と伝えると奈緒さんは
『私を触診してくれない?』
という奈緒さんの言葉に、驚いていると
『お願いしても良いかな?』
と優しく言われたので「はい」と答えるよつ葉。奈緒さんは、どうしたら良い? 脱ぐのかな? と聞かれた。実習で女子学生がした方法を伝えた。
『女の子同士だし、病院では脱いで行うハズだよね』
と言って上半身全て脱いで私に
『よつ葉さん、右側を確認してくれない? 少し前から気になっていたんだけど気のせいなのかな?とか考えて放置してたけど、そろそろヤバイかな?なんて思ってね』
と言って私に触診することを委ねられました。奈緒さんの右側の胸を触診。演習実習で行ったことを思い出す。丁寧に触診する。
途中で私の手が止まる。
『見つかった?』
と奈緒さんに言われて言葉が出なくて「うん」と頷く。
模型のシコリよりも少し大きいような…。奈緒さんが私を抱き締めて「正直に教えてくれてありがとう」って言ってくれた。初めての出来事に私も自分がどうして良いのかわからず涙が溢れてきた。ふたりで暫く泣いて、奈緒さんが着替えて前原君達がいる部屋に戻った。
『前原君、ごめんね。泣かせちゃった』
と言う奈緒さん。その言葉に前原君が私を見る。私は首を小さく左右に振り前原君からの言葉を止めた。
初めての経験をさせてもらいました。前原君と学友と言うだけで初めて会った私に、胸の触診を委ねられました。
1日も早く病院受診をすることを勧めました。
良性な事を祈っています。看護学生の私に恥ずかしがることなく上半身を脱いで触診を任せてくれた経験を無駄にしないようにこれからも頑張ります。