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別れ話は理屈じゃない?

作者: あまね

 放課後の空き教室に男女が二人きりだとロマンを感じてしまうという人は中々想像力豊か、あるいはそれなりに何かが溜まっているのだろう。



 私の場合、ロマンは感じていないが、それでも嬉しいものだと感じていたが、どうも目の前の彼、もっと関係性を言うのであれば彼氏と言ったほうが正しい。


 3ヶ月と少しの関係であるが。


 しかし、彼もまたロマンを感じているわけでもなく、二人きりの感動で押し黙っているとは到底思えないほど真剣に口を真一文字にしたままである。


 かと思うと、口を開こうとしては急に天井をみるかのように首をあげて、首を下げてまた私の顔をみると口を真一文字にとじてを繰り返す。


 一種のルーティンなのか、壊れかけた玩具のような可愛いと言えなくもない行動を繰り返す彼氏にかける言葉としては、それなりにあるのだがそれを言う前に彼のルーティンがようやく終わったのか彼の口から、ようやく言葉がきこえた。


「別れよう」

「なんで?」

「他に好きな娘が出来たし、お前と違って向こうは俺といて楽しそうだし、お前と違って一人にしたくないし守ってあげたくなるほどほっとけない感じで可愛い」


 言いづらそうにしていたわりには、一旦口に出した後からはせき止めていたものがなくなったかのように、彼は喋った。


「私に付き合って下さいと言ったのは君だよね」

「そうだけど、なんか思っていたのと違うし、とにかく別れよう俺もうお前の事好きじゃないから」


 彼が言いきり、肩で息をするぐらい怒声にもにているぐらい、エネルギーを使ったのだろう。


 だけど、私はまだ喋り終えてもいないし、伝えてもいない。


「そんなんじゃあ別れられないよ、なんでかというと、恋人というのはお互い了承してなりたったものだよね、君が付き合って下さいとラブレターを送り、君が告白して、私が了承した時から恋人関係であるんだから、別れる時だってお互いに了承が必要だと思うし、君もそう思う所があるから私に別れ話をしたんだよね、一方的に別れるとか君だけが決めていい話じゃない」

「お前のそういう理屈っぽい所が嫌いになったんだよ」

「理屈でいうと、私と違って、守ってあげたくなるほどほっとけない感じで可愛いと言っても、君が嫌いになったら別れようと言って彼女を身勝手に傷つけるんだろ? 守るとか格好良い言葉で言ってたとしても身勝手な君を彼女が信じるか疑問だ、今でさえ不貞行為をしているんだから、なぁ傷つけること前提で付き合おとしている自分自身に君は疑問を抱かないというのか? それで彼女を幸せにしたいとか本気かね? それよりは君のいう所の一人でも平気な女と付き合っていたほうがまだ彼女のためじゃないのか? 」


 何も言い返す事ができないのか項垂れてしまった。

 このままでは、さらに追い打ちをかけそうになる。


 流石にこれ以上、彼氏に言うことはできない。


「まぁ君が私と別れたいなら、付き合った時以上の時間を六ヵ月ほど別れたい理由を原稿用紙数枚ほどに直筆で届けてくれれば、別れよう」


 そう最後に優しくした。


 一人でも平気なら、最初から付き合わないという当たり前の事実を突き立てる事はせずに。

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