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ことだまカンパニー  作者: 今神栗八
第六章 ワーズ(一)
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第六章 ワーズ(一)(11)

十一


「先生は誤解しておられます。ちょっと聞いてください」


 そう言いながらユキは、興奮冷めやらぬ【do麻呂】を教壇まで押し戻した。


「何が誤解なんだよ」


「先生、杏ちゃんは、先生がたばかられたなどという指摘、していません」


 ユキは【do麻呂】が話を聞く気になってくれたのに安心しつつ説明した。


「【do麻呂】先生が『強調』の意味を持つのは、平叙文の時だけです。疑問文や否定文の時には、先生が強調の意味を持たなければならないなんてこと、ありません」


 ユキはそう言って例を示す。


Do you also say “Holy mackerel”?

(あなたも「ホーリー・マッカラル」と言いますか?)


No. I don’t usually say it. I say “Holy cow!” instead.

(いいえ。普段それは言いません。代わりに「ホーリー・カウ!(なんてこったい!)」と言います)


「お分かりのように、疑問文や否定文において、【助動詞do】は、特に強調の意味など持っていません。『たしかに』などと訳出する必要はありません」


 ユキのその意見に、万三郎も付け加えた。


「先生、平叙文のときに、動詞を強調する目的で先生が駆り出されることなんて、そうそうないのではないですか。ですから、先生の負担は、目くじらを立てなくてはならないほど増えてはいないのです」


 【do麻呂】は目を白黒させて答える。


「うっ、そ、そうか……そうだ……な」


 杏児がさらに釈明する。


「先生、僕は、先生に自信を持っていただきたくて、あの質問をしました。先生は先ほど、【will】や【can】のような同僚の助動詞とちがって、特別な能力を持っていないようなことをおっしゃっていたから、いや、そうではないのではないですか、【do麻呂】先生は、他のどの助動詞も持っていない、立派な個性的能力をお持ちじゃないですかと、それを申し上げたかったのです」


 【do麻呂】は、ユキと万三郎と杏児の三人を交互に見ながら、やっとの思いでかすれた声を上げた。


「君たちは、そんなにも僕のことを分かってくれているのか。ありがとう。嬉しいよ」


 椅子に座って一部始終を見ていた【be子】が高笑いをして言った。


「おーほっほっほっ。新渡戸部長、この子たちのお蔭で、面倒な釈明を免れましたわね。理解力、状況判断力、問題解決能力、人心掌握術、チームワーク。前列の三人、なかなか良い感じですわよ。前途有望なETであること、お認めしますわ」

◆◆◆



(1)from time to time 時々

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