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ことだまカンパニー  作者: 今神栗八
第六章 ワーズ(一)
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第六章 ワーズ(一)(1)


 新渡戸部長がゆっくりと六人を見渡す。


「今日のET合同研修、ワーズ・トークの時間は、ワーズ社員の中でもトップクラスの大物にゲスト講師として来てもらうことになっている。しっかり勉強させてもらおう」


 そう言って新渡戸は腕時計を見る。


「もう、来てもいい頃だ。だが、超多忙な二人だから、少々遅れるかな……」


「部長、今日の、トップクラスの大物ゲストって、二人いるんですか?」


 二列目に座っている祖父谷義史が訊いた。


「ああ。be動詞、そして助動詞doだ」


 新渡戸は答えの途中で手にしている書類から祖父谷に視線を移しながら答える。


 一列目奥の席に座っている杏児が反応する。


「おお、確かに大物たちだ」


 新渡戸はまた書類に目を落とす。


「ただ、今日のゲストたちは今、それぞれ、【西園寺be子】(さいおんじ びーこ)【東醍醐do麻呂】ひがしだいごどぅーまろと名乗っている」


「西園寺? 東醍醐? なぜそんな苗字を……」


 万三郎が訊いたが、新渡戸は首を傾けるばかりだ。


「私にもよく分からん。【be子】については、今日の面談の時間を連絡するのに電話した折に、『ハイ、西園寺です』と名乗った。以前は武者小路さんだった。気分で苗字を変えるらしい。まあ、社員名簿には【be子】で載っているから、お遊びのつもりなら、好きに名乗っても構わんのだがな。【東醍醐do麻呂】については、ただ単に、【be子】にライバル意識を持ってのことだと思う」


 四葉京子が、隣に座っている綾目小路奈留美に訊いた。


「二人とも、あんたの知り合いとちゃうん?」


 奈留美は澄ましてかぶりを振る。


「わたくしには友達がおりませんの」


 京子は苦笑した。


 ユキが新渡戸に訊く。


「普通に【be動詞】さん、【助動詞do】さんでいいのに。何か、おかしな感じの人たちなんですか」


新渡戸は少し目を泳がせたが、気を取り直してユキに答える。


「二人ともセレブな美男美女だよ。ちょっと派手だがね。二人とも、揃いもそろって、KCJ(うち)ではいったい、働いているのか異性ワーズたちとデートして惑わせているのかよく分からんが、とにかく、うちにとっては二人とも非常に大事な存在なんだ。君たちはETとして、しっかり二人のキャラクターをつかんでくれ。ただし……」


 新渡戸はそこで黙り込んだ。話を続けるかどうか、一瞬迷っているようだった。


「ただし?」


 ユキが促す。新渡戸はため息をついた後、声をひそめて、飲みこみかけた言葉を続けた。


「彼女は、多重人格者なんだ。【be子】は、ベースの人格は【be】、つまり【西園寺be子】なんだけど、状況によって、特にデートする相手によって人格が変わるんだ」


「は、はあ……」


「それは、彼女をシートレに呼ぶ時にも関係してくる。車両に乗せる主語によって、彼女は人格や姿を変えるから、現場で間違えないようにしっかり覚えるんだ」


「なんやそれ。それって、男ウケめっちゃええけど、女からは、めっちゃ嫌われるキャラちゃうのん?」


 京子の言に新渡戸は困った顔をした。


「西園寺さんは、自分が六人姉妹の一人だと思い込んでいる。つまり、六人の人格を持っていることを自覚していないようだ。その点を踏まえて言い分を聞いてやって欲しい」

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