表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ことだまカンパニー  作者: 今神栗八
第四章 研修
68/368

第四章 研修(14)

十四


 初めて三人の意見が合った。万三郎が新渡戸に確認する。

「あの……、古都田社長は昨日、『みどり組』にしなさいと」

「あ、そうだったかね?」

 ユキがまた立ち上がって言う。

「私、みどり組も、ぜったい嫌です!」

 もう反射のように、杏児も立ち上がって言った。

「僕も嫌です。もっと洗練されたチーム名がいい」

「ふん、杏児とやら、あなたが洗練されないと名前負けするわよ」

「な……なんだって! このアマァ!」

「私の名前はアマではありません、ユキです。一分前に教えたことを忘れるなんて、相当頭悪いわねー。私がいなければ、ミドリムシーズがふさわしいチーム名ね」

 万三郎も立ち上がる。

「ちょっと、ユキ! なんで俺も巻き込むんだよ!」

「まあまあ三人とも」

 ほうぶん先生が苦笑しながら両手をひらひらさせて、三人を宥めた。

 ユキが新渡戸部長に訴える。

「普通、チーム名なんて自分たちで決めさせてもらえるものではないのですか」

 新渡戸はユキを見て、それからほうぶん先生を見る。

「三人仲良く協力し合い、知恵を出し合って、良いチーム名が決まるのであれば……」

 ほうぶん先生がそう言って頷いたのを見て、新渡戸は答えた。

「よし、まあいいだろう。では十分間、時間を与える。ほうぶん先生と私はこれから能力開発課に行って、君らを教える他の先生方を呼んでくる。その間に自分たちで話し合って決めなさい。三人の最初の共同作業だ。相手の意見を尊重し合い、仲良く決めなさい」

 そうして、新渡戸部長とほうぶん先生はガタガタとやっとこさ扉を開け、連れだって出て行った。


 十分経って二人が再び扉を開けたとき、研修室はしんと静まり返っていた。

 新渡戸もほうぶん先生も、教室に入るなり「おっ!」と驚きを口にした。割れたチョークが散乱していたのを踏みつけたのだろう。

 そう、ユキの机の上にはトートバッグが立てた状態で置かれ、その表面の数か所にチョークが直撃した跡がある。そして当のユキは、椅子ごと新渡戸たちとは反対を向いて座っていて、背中しか見えていない。

 ユキとチョーク戦を闘った杏児は、机に両肘をついてあごを乗せ、正面上方の時計を不機嫌そうにじっと睨んでいた。肩で息をしている。

 杏児が睨む時計の下の黒板には、白いチョークで「みどり組」と書かれた、その四文字全体が大きくバッテンで消され、その下に、チーム名の候補だった名前が三つ並んで書かれていた。

 万三郎だけが新渡戸たちを振り返り、両手を上に向けて肩をすくめた。

「あの……やっぱり、みどり組でお願いします」

 新渡戸はフッと笑って三人に言った。

「よろしい。諸君は今から、みどり組だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ