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ことだまカンパニー  作者: 今神栗八
第四章 研修
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第四章 研修(12)

十二


 三人は新渡戸から座るように命じられた。

 髪ビシどじょう女は、社内外・勤務時間内外にかかわらず、ETとして好ましくない行動はとらぬようにとの注意を受けた。万三郎は、輝かしいETの社命をいったん受け入れた以上は、どんなハードなプレッシャーや負荷にも耐えてもらわねば困ると言われた。そして杏児は、カメラの前でやみくもに股間をいじらぬようにと言われた。

「ようし、それではオリエンテーションだ」

 自己紹介あたりから始まった三人のいがみ合いで思わぬ時間を無為に過ごしてしまったほうぶん先生だったが、それでも彼は笑顔を失わない。

「まずは、チーム結成式だな。この三人でETの一チームとなる。三人はチームメイトでござる」

「はあ……。チーム、ですか……」

 万三郎と杏児は、まだチーム形成の意図がよく飲みこめないまま生返事をした。女は、気分がすぐれないのか、終始顔をうつむき加減で、眼鏡の向こうで不機嫌な顔をしている。

 先生は言う。

「チームのルールがござる。その一つを伝えおく。チームメイトをファースト・ネーム、つまり、苗字でなく、下の名前で呼ぶようにしなされ」

「は?」

 怪訝な顔の杏児に、先生は言葉を継いだ。

「チームの結束を強めるためでござる。ほれ、まず手始めに『私のこと、〇〇って呼んでね』と英語で相手に言ってみなされ。三浦どの、おぬしなら、『コール・ミー、アンジ』ってな具合だ。ほれ、まず福沢くんの目を見て、相手を受け入れようと、微笑みをたたえながら言うのでござる。はいっ、いち、に、さん。『コール・ミー・アンジ』」

 杏児は顔をしかめてかぶりを振る。

「い……言えません」

「フ……」

 女が嘲笑めいた短いため息を吐いて脇を向いた。

 新渡戸が胸ポケットから小さなメモ帳を取り出して、文言をゆっくり口ずさみながら、ペンを走らせる。

「三浦杏児、業務命令違反……と」

「分かりましたよ! コール・ミー・アンジ」

「ダメでござる。目に笑顔がござらぬ」

「く……」

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