表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ことだまカンパニー  作者: 今神栗八
第三章 由紀
44/368

第三章 由紀(3)


 私は頬杖をつくのをやめて、グラスを持ってもう一口ごくりとやると、意地になってマスターに言った。

「次のお客さんがいる前で、マスターが『マサヨたん』と言った瞬間、お客さんが凍ったり、驚いたり、笑ったりしたら私の勝ち。来店中、お客さんが『マサヨたん』をスルーしたら、マスターの勝ち」

 マスターは注文控えに記入する手を止めて、澄まして言った。

「いいよ、ユキちゃん。ユキちゃんが勝ったら?」

「『マサヨたん』の永久禁止。それから、白須田ハンバーグ定食、私は一生無料」

 マスターは驚いたようだった。

「大きく出たねー。一生無料とは……」

「マスター、自信があるんでしょう? だったら、一生分っていっても、私一人の分くらい大丈夫でしょ?」

 私はマスターにそう言っておいて、あとは誰に言うともなく小さな声でつぶやいた。

「一生っていっても、いろいろあるでしょ。一年もしないうちに死んじゃうことだってあるんだよ」

 私はまた少し、気分が悪くなった。マスターは私を見て少し考える風に言った。

「ふうん。じゃあユキちゃんじゃなくて、私が勝ったら?」

 私は少し考えて、

「『マサヨたん』の永久許可」

と言った。

 マスターは笑った。

「なに、その、ただ『現状OK!』みたいな不公平な取引条件は」

 確かに不公平だな……アルコールで弱った思考回路でもそう思った。

「いいよ、私だって自信あるから、じゃあマスターが何でも言ってみてよ。裸踊りでもなんでもやってあげるから」

「ははは、ユキちゃんの裸踊りかあ。見てみたい気もするが、そりゃあまりに可哀そうだから、そうだな、ドジョウ掬い踊りでもやってもらおうか。鼻に割り箸刺してさ」

 マスターはそう言ってクックッと笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ