第七章 ワーズ(二)(8)
八
三人のETにとって、【be子】のこれまでの告白は、驚きの連続だった。【be子】は、酔いに任せてなのか、自覚した上でなのか、とにかく若い三人に対してあけすけに真情を吐露するほど心を開いていた。三人はいつしか【be子】の恋バナの聴き手になっている。
杏児が気を効かせて、そばを通りかかった五郎八に、【be子】のためのビールのお代わりを頼んだ。
万三郎が訊く。
「どうして本気で【be子】会長を挑発する必要が?」
【be子】は再び両手で髪を内側から掻き上げて、酔いで火照った顔の周りの温まった空気を逃がした。
「ワーズ総会で、あたしが進行形制作委員会の委員に決まった時、あたしはちっとも嬉しくなかった。だけど、彼はあたしのことがうらやましかったみたい。彼は、大切な役をもらって自分に箔をつけたいと考えてたのに、逆にそういうことを望んでいなかったあたしに白羽の矢が当たったから」
杏児が突っ込む。
「でも、今日の研修では、【do麻呂】先生、『僕はうまく言いくるめられて役を押し付けられたのか』と言って、新渡戸部長に詰め寄りかけてたじゃないですか」
「それは現在の心理状態。きっと歳取ってきて、疲れたのよ。若かったあの時は違ってた」
「【be子】会長に嫉妬していたと?」
「さっきの話、受け身形制作委員会の委員に、結局あたしが無理やり選ばれたんだけど、その総会が終わってから、ここ、『いろは』に一緒に来たの。最初は我慢してたけど、お酒が入ってあたしは彼に喰ってかかったわ。どうしてあたしに助け舟を出してくれなかったのかって」
「そしたら?」
「『あの場面で僕にどうしろってんだ。僕が代わりを務めてやれない限り、どうしようもないじゃないか。僕がやれるんなら、喜んで引き受けてたよ。受け身形なんてメジャーな委員会の委員長なんて名誉なことなんだから、喜んで引き受けて、死ぬ気で働けよ』だって」
杏児が確認した。
「【be子】会長、落ち込んでいたのに、【do麻呂】先生の嫉妬で突き放されたわけですね」
ユキが怒った口調でつぶやく。
「【do麻呂】先生、男としてサイテー」




