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俺は今猫を飼っている。いや、実際は猫になった女の子を飼っている。はじめは嫌々だった。責任を取ってもとに戻すまではと家に置いておいた。猫の正体があのモナって女なら、たいして害にはならないだろう。そう思った。
実際側に置いてみるとなかなか面白い。初めは毛を逆立てこちらを警戒していたが、空腹には負けるのか食事の時間になり食べ物を用意するとじわりじわりとよってきた。涎をたらしながらじっと耐えていたが、5分もたたないうちに夢中でがっついていた。一度猫缶を用意したら、怒って俺の料理を食べられた。人間の料理は猫にとって塩分が高すぎると思うのだが・・・しょうがないので猫用に塩分控えめで作り、自分のはソースや塩コショウで味をととのえている。美味しそうに食べる彼女を見ているといつもと変わらないはずの料理がうまく感じるから不思議だ。
玩具をちらつかせると、関心がないようなポーズをとるが、どうしても気になるのか目だけをきょろきょろ動かしていた。しまいには体が猫の性質に引っ張られるのか全力で遊んでいる。実に興味深い。
はじめは怒っていたポケットの中も意外と居心地がいいのか自ら入るようになった。居間で寛いでいると、撫でろと言わんばかりに膝の上で丸くなる。はじめは一緒に生活するのが面倒でたまらなかったが、案外いいものだと思い始めている自分に苦笑する。
一応仕事の片手間に魔法をとく方法を探している。猫になったからか、元々の性質かすぐに眠ってしまう彼女は気付いてないが何度か人間に戻ったことがある。しかし、まだ何か足りないのかすぐに戻ってしまう。最初の実験の時は服を着ておらず、少々焦ったが、まぁ気づいてないからいいだろう。
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最近、エミリオ様がよく笑うようになったのよね。バカにされてる気がしてムッとするときもあるけど、たまにとっても優しい顔で笑うから心臓がドキドキするっ!!!顔が整っている人の笑顔は誰でもドキドキするよね!!あれは卑怯よね・・・でもまぁ、少しは心をひらいてくれたのかなぁ~なんてちょっぴり嬉しい自分がいるの~!
今日は仕事帰りに商店街でお買い物♪♪
「にゃー、にゃにゃにゃにゃにゃーにゃにゃ、にゃにゃにゃー!(ねぇ、魚もいいけどお肉が食べたいなぁー!)」
「猫なのに肉をたべていいのか?」
「にゃっにゃにゃにゃー?(ちょっとくらいいいんじゃなーぃ?)」
「しょうがない、少しだからな。」
「にゃぁぁぁぁあ(やったぁぁぁぁあ)!!」
その時、たまたま通りかかった少女は思った。
あの人、猫と会話してる・・・残念なイケメンってはじめて見た。
モナとであってキャラ崩壊の一途を辿るエミリオだった。