表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

2

「まったく、どうするんだよ。」


すたすたとエミリオ様がこちらへ歩いてきて、ぐわしっと首をつかまれる。


「シャーーーッ!!(なにすんのよーーーっ!!)」


手足をばたつかせて暴れてみるもののむなしく、つかまれた首を基点に、ブーラン、ブーランと体が揺れる・・・・・・ズーーーン・・・・・・(´д`|||)


落ち込んでいると、くるっと裏返されお腹をさすられる。


「こいつ、メスだな。チッ・・・女か、面倒くさい・・・」


「フニ゛ャァーーーーーーッッ!!」


メンドクサイって、オナカ、カラダさわって、オンナって、メンドクサイって!!!!

も~~~~何を言いたいのか、わからなくなってきたけど、この人、やっぱりきらぁぁぁいっ!!





*





あのバカ王子が、ちょっかいをかけてくるのが煩わしく、猫にでもしてしまえと魔法を放った。が、野性的な判断でかわされた。そこまでは想定の範囲内だったのだが、よりにもよって扉近くにあった魔道具の棚をなぎ倒し、いくつかの魔道具を巻き込んで術が展開されてしまったようだ。その中には、術を固定するものも含まれていたように思う。さらに悪いことに、扉近くにいた誰かを巻き込んでしまった。


光がおさまり、視界がひらけると一匹の黒猫がいた。間違いなく面倒な術のかかりかたをしている。術を解読して元に戻すのには時間がかかる。しかし、今は難しい案件がたて込んでおり、研究に時間をさく余裕がない。自分の短慮でしでかした事だが、思わず頭を抱えてしまう。


「にゃーにゃーとよく鳴く猫だ。」


裏返して腹をみると、どうやらメスのようだ。


「こいつ、メスだな。チッ・・・女か、面倒くさい・・・」


「フニ゛ャァーーーーーーッッ!!」


どうやら怒っているようだが、とりあえず煩いので服に突っ込んでおくか。うろうろされて、他の猫と見分けがつかなくなると面倒だ。

破壊された扉の近くに封筒が落ちており、宛名をみてみると、孤児院から俺宛だった。手紙の内容は、今年16歳になるモナ・アンジェリコの就職先を王城に推薦してくれないか、という内容だった。

おそらく、たまに変な顔をして動物を追いかけまわしている、黒髪の少女の事だろう。この封筒がここに落ちているということは、受付の誰かだろうとめぼしをつけ、受付まで足を運んだ。


「はぁーーー・・・忙しいのも、面倒なのもあのバカ王子のせいだ。」


ポケットに突っ込んだ黒猫は、いつの間にか大人しくなっている。ポケットから出してみると、のんきにねむっている。


「こいつ、暖かいな。」


能天気な猫の姿に頬がゆるむ・・・



*



その日、美しいが氷のように表情が動かない、エミリオ・チェザリスが猫を抱えて微笑んだという、嘘のような噂が侍女達の間で瞬く間に回ったとか・・・


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ