『もう1つの檻』
少年達は目を覚ました。不思議なくらい、疲れが取れている。其ほど眠っていたのだろうか。けれど、まだ陽射しが暖かい。一瞬、何処にいるか位置を見失いかけたが、何もない封鎖された空間を見て思い出した。元々は此処に収容所があった。暗く空も見えない毎日を恐怖に怯えて過ごしていた。逆らえば拷問、仲間を助けても拷問・・・。精神は蝕まれ、病んでいく。其でも、生きたいと願った少女の為に耐え続けた。
そして――。
あの日、ある一組の檻だけを除いた子ども達が地雷撤去へと駆り出された。もう先は見えている。失敗したら死あるのみ。鎖を引っ張られ、一人ずつその地へ足を踏み入れた。大体中央の地雷に引っ掛かってバラバラになる者が多かった。順番はすぐに回ってくる。
絶対に死にたくない――!
その思いが背中を押した。少女と親友の手を取って一気に駆け出した。監視員達が後を追う。縺れそうになる足を必死に動かし、宛もなく逃げ続けた。
「あっ・・・!」
不意に少女の手が離れ、地面に身体を打った。
「逃げて・・・!」
少女が叫ぶ。その後ろには追っ手が迫っていた。
「必ず生きて・・・!追い付くから!」
「・・・っ、行くぞ!」
親友に手を引かれ、少女を見放す形になってしまった。その後、少年達は逃げ延び、やっと収容所のあった場所まで辿り着いた。身体は満身創痍。少女の事が忘れられず、胸も痛んだまま。
「動けるか?」
「うん」
「とりあえず、あいつを捜すぞ」
「解った」
親友に付いていきながらまた長い旅が始まった――




