『最後の手段』
ちょっと短いです。
その歌に、神流は素早く反応した。初めて聴いたあの歌だった。優しい歌声。嫌な事も忘れさせてくれる。
「痛っ・・・!?」
久住が頭を抱えながら膝をついた。激しい痛みが彼を襲う。神流は咄嗟に彼を支えた。
「久住・・・?」
「っ・・・あの歌・・・やめさせろ・・・」
「えっ・・・」
「頭が・・・」
リンちゃんの歌が、久住を苦しめてる。彼に死なれてはならない。
「やめて・・・」
神流は銃に手を伸ばした――。
「無駄だ」
背後から腕を掴まれ、神流は身動き出来なくなった。歌は続く。久住の悲鳴が徐々に掠れていく。
「離して・・・」
神流は腕を掴むアスカに言った。
「歌を止める訳にはいかない。悪いけど、彼奴には苦しんで貰う」
「・・・久住・・・」
苦しみに耐える久住を他所に麗夢は冷たい眼で、彼の前に立っていた。
「お前もこれで終わりだな」
「・・・っ!」
「今まで散々好き勝手してきた罰だよ」
麗夢は右手に電撃を帯びた。
「やめて、麗夢!久住を殺さないで!」
「何言ってんだ?神流。彩弓と戒はこいつに殺されたんだぜ。今更、自分は死にたくないとか、そんなもん通じねぇんだよ」
「麗夢・・・」
「最期に言い残す事はないか?」
「・・・フッ」
久住は意味深な笑みを見せた。
「何笑って・・・」
カチッ――
その瞬間、全ての地雷が一気に爆発した。
辺りは淡い光に包まれ、地響きと爆風が彼らを捲き込んだ――。




