表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランドマイン  作者: 淡月 涙
24/50

『終末への一歩』

残酷描写が少し入ってます。

ご了承下さい。



さぁ、ラストまで頑張ろっ☆


爆煙が晴れ、静けさが戻った。だが、其処に彩弓の姿はない。大きな穴だけがやけに目に付いた。

「彩弓・・・」

愛理衣は膝をつき、泣き崩れる。誰もが、死んだと思った。あんな間近で地雷を踏んだらひとたまりもない。其と同時に地雷の恐ろしさを思い知った。リンはあまりの出来事に事態を把握しきれていなかった。

「一発目で当たるとは不運だったねぇ。次は慎重に動かないとね――遊音」

不意に指名された遊音は肩を震わせた。

「にぃさん・・・」

イズが彼の手を握った。

「行かないで・・・!」

「イズ・・・」

遊音は決意が固まらず、動けずにいた。

「待って!」

制止したのは、戒だった。

「僕が代わりに行くよ。だから、遊音には手を出さないで欲しい」

「戒・・・」

「君に辛い思いさせちゃったから、その罪滅ぼし」

戒は笑みを向けながら言った。

「其に、もう能力も使えなくなっちゃったし。君達には幸せになって貰いたいんだよ」

「でも・・・戒が犠牲になることなんて・・・」

「いいんだよ。覚悟は出来てたから」

戒は鉄柵を飛び越えた。

「良い覚悟だ、戒。君に居場所はもうない。せめて、死んで詫びれば悔いもないだろう」

久住が追い込むような言い方をした。

「戒!」

麗夢が叫ぶ。だが、もう彼は手の届かない場所にいる。止めるには手遅れだ。



戒は天を仰いだ。青空が綺麗に見えた。

仲間が欲しかった。ずっと一緒にいてくれる仲間が。やっと手に入れたんだ。あの子達には幸せを与えたい。こんな所で死んだら駄目なんだ。僕の事は忘れて生きて欲しい。久住の欲望を満たす道具ではなく、一人の人間として、自由に・・・。

「だから・・・」

終わらせる。こんな事無駄だったって後悔すればいい。

「戒・・・」

最後に、神流と目が合った。泣きそうな顔をしている。

そんな表情しないで。君には、笑ってて欲しい。今まで、僕を支えにしてくれてありがとう。

「―――」

戒は小さく呟き、一歩を踏み出した。土が柔らかく巧く歩けない。どこを歩いても当たりそうだ。



怖い・・・。



今更、そんな感情が溢れてきた。だけどもう後戻りなんて出来ない。死を、恐れるな。今までだってそうやって生きてきた。大丈夫だ・・・。




カチッ――




「・・・これで・・・終わる」



淡い光に包まれながら、戒は安堵した微笑みを浮かべた――。




彩弓の時と同様、大きな爆音と地響きが起こった。




ドサッ――




神流の前に降ってきた片腕。紅く染まった片腕を神流は呆然としながら、拾った。薬指には、銀色の指輪がはめられていた。

「戒・・・!」

神流は指輪を抜き取り、大事に胸に抱き締めた。



「さようなら」




戒が最後に言った言葉。

そんな事言わないで・・・。

ただ、側にいて欲しかった・・・。

あたしは、もう皆の所には戻れないけど、戒は、また仲間になれたんだよ・・・。




「ごめんね・・・」




神流は震える声で呟いた――。






彩弓に続いて戒までも、地雷の犠牲になってしまった。リン達は何も出来ず、立ち尽くしたまま。こんな事、絶対間違ってる。そう思うのに、久住には何も言えない。楯突いて次に当てられたら嫌だ。

「愛理衣」

久住が神流と話している隙に麗夢は愛理衣を呼び、小さな声で囁いた。

「お前の透視で、あと幾つ地雷があるか解るか?」

「うん・・・。視てみるよ」

愛理衣は皆の後ろに隠れるようにして、透視を始めた。土の中に埋まっている地雷がみえる。なんとかして、被害に遭わずに撤去だけを成し遂げたい。

「見えたか?」

「えぇ。数は多くないわ。でも、複雑に埋められてて一歩踏み間違えれば死ぬわ」

「・・・ちっ。厄介な代物だな」

「アタシね、彩弓には教えてたんだ。此処に着いた時から地雷の場所。でも、彩弓が踏んだ地雷だけは見えなかったの。比較的、数が少なかったからあの畑を選んだんだけど・・・。」

「見えなかったって・・・じゃあ、彩弓は何を踏んだって言うんだよ」

「解らない。もしかしたら、地雷じゃなかったのかも。ごめん。透視の時って物は白黒に見えるから同じにしちゃったんだと思う」

「・・・そっか。ありがとな」

二人の話を近くにいたアスカが聞いていた。

「リン」

「なに?」

「お前の歌声で、彼奴を混乱させられないか?」

「えっ?」

「脳に刺激を与えるだけでいい」

「・・・うん。解った」

アスカには何か考えがあるのだと悟り、リンは深呼吸してから歌い始めた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ